とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星

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第3章 自由連合同盟都市国家メルキオール 地方城塞都市カイロス編

第66話 極悪盗賊になった元勇者達を俺が捕らえた件……ん?

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俺は地面に着地して【竜人化】を解いて、翼を消す。

【索敵】と連携させている【マップ】を確認して物陰に身を潜めているが、盗賊達が反応した形跡は全くなかった。

門番やっていた2人の盗賊の会話からオディオ王国から勇者が来ていることは推測できた。

飛鳥のストーカーだった御上勇太駄メンと上から目線で俺を見下していた皐月昴メガネがここにいるのは間違いない。

話に上がらなかった土門武脳筋回復術師ヒーラーである三条小鈴ロリっ子の2名がここにいるのかは分からない。

俺がもっとも注意すべきは【障壁】を持っているロリっ子だ。【障壁】は結界魔術の1種。順調に【結界魔術】の【障壁】が成長しているならば、【探知結界】を覚えているはず。

【探知結界】に引っかかると【認識阻害】と【気配遮断】は即座に無効化されて、強制使用不可時間クールタイムが発生することがわかっている。

その上、俺にが施されて施術師に居場所が丸分かりになるという状態になる。故に俺は【探知結界】がこの村のどこに張られているか気をつけなければならない。

【探知結界】の有無は【鑑定】で判別できる。しかし、視界に結界が入らなければ分からないため、油断できない。

範囲内に俺がいる状態で新たな【探知結界】を張られてしまっても、【認識阻害】と【気配遮断】が剥がされてしまう。

ロリっ子は飛鳥と仲が良かった同性の友達だったことから、俺が殺すことにならなければいいとは思っているが、俺に事ある毎に突っかかってきていた脳筋の彼女であるから、俺の敵となる可能性は高い。

もし、他の勇者面子達と共に今も一緒にいるのであれば、回復役から倒す定石に従って、ロリっ子にはあの4人の仲で三途の川を最初に渡ってもらうつもりだ。

侵入しつつ、高いびきをかいて眠っている間抜な盗賊共を片っ端から定型となりつつある”しまっちゃうおじさん”コンボで石像化して次々に【空間収納】へしまっていく。

中には夫婦でお楽しみ中だった盗賊もいたが、さくっと【石化】して【空間収納】に放り込む。

前回の豚鬼事件のときよりも血が流れることは全くなくなっているのだが、豚鬼達のいた村より悪臭が酷いのはどういうことだろう。

そして俺は村長のものと思われる一際大きな建物、豚鬼村と同じく周囲の建物よりも無駄に豪華で悪趣味な屋敷を残し、村は完全に制圧した。なんで、放棄された村落の村長の家は悪趣味なものしかないんだ?

無理矢理連れて来られていた女奴隷が集められている場所も発見し、見張りの盗賊を”しまっちゃうおじさん”コンボで無力化して、彼女等の話を一応聞き、ここから脱出するために俺の【睡眠魔術スリープ】で眠ってもらった後に【石化】して、【空間収納】で盗賊達とは別枠に収納した。

女奴隷達の処遇についてはヘリオスさんに相談し、彼に決めて貰うことになった。

屋敷の入り口には警備の人間が立っていなかったが、扉は固く閉ざされていたので、他の侵入路がないか探して裏に回った。

すると、無用心にも窓が開いている部屋があったので、そこから侵入した。



消臭デオドラント】をかけていたから気がつかなかったが、侵入した部屋は死体置き場だった。

しかも、またも18禁G確定の腐敗のパラダイスで、いろいろ湧いてウネウネしていた。正視できない過去最悪のグロだった。

【消臭】で臭いがないのが救いだが、それでも視界に入ってくるものはキツイ。

俺は【清潔】と【殺菌】、【殺虫】を即座に部屋全体に使用して、【索敵】で敵がいないかも警戒して部屋を浄化した。

この部屋にあった死体を修復するには損壊が激しくて無理だ。可哀想だが、【空間収納】に入れた後にソート機能で分類、その後に【空間収納】のなかで棺に遺体を個別に納めた。

死体置き場の部屋を出て、先ほど村の門に来たときマーカーを付けておいたイーヌがどこにいるか確認したら、奥から2番目の部屋にいた。

【結界魔術】がないか警戒して進むのだが、耳に届いてくるのはイーヌのものと思われる女性の嬌声。

声のする部屋へ警戒を緩めず近寄る。その部屋の扉が半開きになっていたため、声が漏れているのだろう。

しかし、音量自体がでかいから扉をきちんと閉めていても意味をなさない可能性は高い。

寝台の上でローブを肌蹴たイーヌの上に圧し掛かっているのは駄メンだった。

「飛鳥! 飛鳥! 飛鳥ぁああ!!」

駄メンもやはり頭髪がないスキンヘッドだった。
その瞳は誰が見ても正気ではないことが分かるほど暗く澱んでいた。

しかも、自分が組み敷いている女性の存在をを重ねて、その行為に没頭している。

一番無防備になりやすい状況トップ3に入る状況に絶賛突入中の駄メンとイーヌに俺は【石化】を発動した。

完全無防備状態だったから、【石化】は問題なく通り、ベッドの上に1つの石像が出来上がった訳だが、正直、この石像は破壊したい。特に駄メンの部分は念入りに。

とはいえ、駄メンは洗脳状態が悪化していたから、それを解除したら、更生できるかもしれない。
もっとも、更生しても、俺はこいつに飛鳥を会わせるつもりは微塵もない。

少しでも飛鳥をストーキングする素振りを見せたら、俺が裏世界でひっそりと駄メンの人生の幕を下ろしてくれる。

それはそれとして、俺はさっさと不愉快な石像を【空間収納】にしまった。

すると、隣の部屋の扉が開け放たれる大きな音がして、ガウンを纏ったメガネが部屋に入ってきた。
その頭には駄メンと同じく髪の毛はなかった。

「勇太! イーヌ! いない?」

「どうしたのですか?スバル?」

駄メンとイーヌの不在に驚愕するメガネにガウンを羽織ったスキンヘッドのアリシア王女が頬を紅潮させながら問う。

どうやら、この2人も隣の部屋でお楽しみ中だったらしい。

激しくブーメランな発言になるが、敢えて言おう! 爛れた生活送っていやがるな!!

なんらかの方法でメガネが駄メンとイーヌの異変を感知して、様子を見に来たということか。

「2人の姿が突然消えました。おそらく侵入者によるもので、2人はもう生きていないと考えたほうがいいでしょう」

「なんですって? せっかくここまで来れて、バルタザールへもう少しで到達できるのに!」

なに? こいつ等の目的地はバルタザール騎士王国だと? 一体なにしに行くつもりだ。

アリシアの更なる失言がないか期待したのだが、

「事ここに至って、私とアリシア、貴女だけではバルタザールに辿り着いても大願成就できないですね」

「……ええ、そうね。タケシとコスズが離反し、イーヌとユウタまで失ってしまった私達だけでは忌々しいカイロスを通過するのすら危ういわね」

なるほど、脳筋とロリっ子はこいつ等と袂を分かったのか。真っ当な道を歩んでくれていればいいが……。

「では、手筈通りに」

ん? なんだ? なにをするつもりだ。この2人は。

「ええ、次もくださいね

メガネが救世主? この2人はなにを言っている?

「ああ、。絶対に”ッ……」

肉を貫く音と共にメガネはアリシアが手にもつ駄メンの得物だったと思われる長剣によって、

「ぐッ……」

驚いている俺の前で続いて、アリシアがメガネの心臓を貫いた長剣で自身の心臓を一思いに貫いて自決した。

俺が止める間もなく、俺の目の前に2つの死体ができあがっていた。

死体にまで鞭打つ趣味は俺にはないので、メガネとアリシアの死体は傷を【時間遡行リトログレイタイム】で塞いで、【空間収納】に仕舞った。

ん? なんだこの違和感は? なんだ? 気の所為か??

を俺は頭部に感じたが、凶悪な盗賊団である”六連団”の首魁と思しきメガネとアリシアが死亡するという予期せぬ形で六連団は全滅して幕を下ろしたので、俺はクロエと共に帰投することにした。

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