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第3章 自由連合同盟都市国家メルキオール 地方城塞都市カイロス編
第67話 盗賊団を壊滅させた後に燻る違和感の件
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盗賊団を全滅させた後に発生した違和感はいつのまにか消えていた。
しかし、なんかモヤモヤして気持ち悪い。だが、それ以上に、さっさと寝室に戻って休みたい。
それなりの広さの村の中を駆け回った肉体的疲労よりも、精神疲労の方が今回は大きい。18禁G映像はもうお腹一杯です。おかわりはいりません。
『大分精神的に参っているのうご主人』
クロエさんや貴女も見るかね?死体置き場のグロ映像。
一応活動記録として、今回も小型カメラで録画した動画を保存してある。大半が俺の不殺の”しまっちゃうおじさん”コンボで外道な盗賊共をどんどんしまっていく映像だ。
しかし、後半には悪夢になって出てくる死体置き場の18禁G映像もきちんとカメラが納めている。
本当に、「どこのCERO”Z”のVRホラーゲームだよ!?」というレベルのえぐい光景だった。
『……我は遠慮しておくのじゃ』
まぁ、いいけどな。おっ、どうやら野営地に戻ってきたようだな。
『うむ、湯船に浸かってさっさと寝るかの』
「オ帰リナサイマセ、マスター。異常ハアリマセン」
「ああ、ただいまケイロン。ご苦労様」
幼竜形態からメイド幼女形態になったクロエがそう言うと同時に、俺達の到着にいち早く気づいたケイロンが労ってくれた。
「おお、戻ったか。ユウ君」
「お疲れ様です」
ヘリオスさんとヘファイスさんの両名とも起きて待っていてくれたようだ。
「ただいま戻りました。六連団は全員石像にして【空間収納】に入れています。それとは別に分けていますが、囚われていた女性達も同様です。損壊の激しい被害者の遺体は棺に納めるのが精一杯でした。奴らが溜め込んでいた財産も押収しています」
「そうか、ご苦労様。目的地の城塞都市カイロスにある冒険者ギルドに連絡をいれて、明日には冒険者達を派遣して、六連団の根城の調査を行うことになった。詳しいことは明日、カイロスに到着して冒険者ギルドで改めて話そう。今日はもう休んでいいよ」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えてお先に失礼しますね」
『おやすみなさいなのじゃ』
俺はクロエを伴って寝台専用馬車の自分の寝室へ移動した。
■
『ぬっふっふっふ。今夜は久しぶりにご主人を独り占めなのじゃ!』
寝室に入って、2人っきりになったらクロエが身長差から腰に抱きついてきた。メイド服越しにクロエの柔らかい感触が伝わってくる。
そういえば、何やかんやで大所帯になってしまって、クロエと2人きりは本当に久しぶりだな。
まだ挙式してないけれども、暫定嫁も3人……ハーレムを目指してないのに何故だ。
俺にはもうキャパオーバーだよ。低確率で発生するらしい”発情”なんて鬼畜な仕組みが人族にも適用されるこの世界のが悪い。
流石にもう増えないよな……なんかフラグっぽい。大丈夫か?
『またどうでもいいようなことで悩んでおるようじゃな、ご主人』
クロエが苦悩している俺の顔を見あげ、嘆息してそう言った。
そういえば【念話】相手にはある程度思考が漏れてしまうんだったか。
「クロエにとってはどうでもいいことかもしれないが、俺にとっては大切なことなんですけどね」
『不満かの? 我等とて、ご主人のそういう態度は不満じゃ。我等は、我もアスカもメイド長も、納得ずくでご主人の下に来たのにそのような詮無きことで悩んで一緒にいる時間を浪費されるのは不愉快じゃのう』
「ぐっ、それはすまない」
『謝る位なら、態度で示して欲しいものじゃのう』
そう言って、クロエがしなだれかかってきた。
俺はクロエを胸に抱きしめて、唇を重ね、小柄なクロエを抱き上げて、部屋の浴室部へ向かうことにした。
■
「そういえば、飛鳥の幼馴染の脳筋とロリっ子、武と小鈴がオディオ王国と手を切ったんだったか?」
明けて翌朝、復活した飛鳥とベル、ヴァルカさんを加えたフルメンバーで朝食を摂り終え、お茶を飲んで一服しているときに俺はふと思い出したのだが、
「それは本当ですか?」
『しかし、なぜ疑問系なのじゃ?ご主人?』
飛鳥は嬉しそうだ。
しかし、クロエの疑問ももっともなものだ。
なぜか、脳筋とロリっ子が離反した情報をどこで得たかが、頭に残ってない。
「ああ、確かにあの盗賊共の親玉がいる悪趣味な屋敷で、聞いた、はず、なんだが……??」
おかしい。たしかに俺は、2人がオディオ王国の駄メン達と離反したのを聞いた。
そのソースは誰からだ……記憶にないな。何故だ? そういえば……、
「クロエ」
『なんじゃ?』
「昨日、盗賊共がいた村の入り口に門番の2人組み以外に誰か他に人はいなかったっけ?」
『ん? なにを言っておるのじゃ、ご主人。あの2人組みの門番以外は誰もあの場にはおらんかったではないか』
どういうことだ? クロエが嘘を言っている様子はない。嘘を言う理由もない。
しかし、このボタンを掛け違えた様な不快な違和感は一体なんだ?
俺の頭には誰か他の人間があの場にいたのを覚えている。けれども、誰だったのかが、霞がかかった様におぼろげになっている。
「あ!」
『どうしたのじゃ、ご主人?』
「昨日のことはカメラが映像と音声を記録しているから、それを確認してみる」
「出発はどうしますか、ご主人様」
席を立った俺にベルが問いかけてきた。
そうだ、まだ俺達はヘリオスさんの護衛依頼の移動中だった。
「みんなの出発準備が出来次第、出発しよう。俺は動画の確認は移動中にするから、カイロスに着いたら教えてくれ、ベル」
「畏まりました」
「私になにかお手伝いできることありませんか?」
ベルが答え、飛鳥が俺に訊いてきた。
「いや、気持ちだけ受け取っておくよ。気持ち悪くなる状態の腐敗死体も映っているからな。飛鳥達は今日は走らないで、運動はストレッチなどに留めておいて、体を休めておいてくれ。とりあえず、訓練は終了だ。クロエは飛鳥のサポートを頼むよ。ケイロンはこれまで同様、道中の警戒をよろしく。ヘリオスさんは馬車の中でゆっくりしてください」
「はい、わかりました。無理はしないでくださいね」
「おお、わかった。あたいはヘファイスと一緒の馬車でゆっくりさせてもらう」
『任せておけ』
「了解シマシタ」
「分かった」
飛鳥、ヴァルカさん、クロエ、ケイロン、ヘリオスさんがそれぞれ応え、ヘファイスさんも席を立ち、移動準備のため解散となった。
「では、よろしく頼むよ」
俺達の様子を見守っていたヘリオスさんも紅茶を飲み終えて、そう言って席を立ち、箱馬車へ向かった。
■
この部分だ。確かに2人組みの門番の盗賊以外にも人がいる……この人物は、あのイーヌ・カマセだったのか。なぜ、俺の記憶で、この女の顔がおぼろげになっていたんだ?
俺は寝室として使っていた寝台馬車の部屋でモバイルPCに動画データをコピーして、動画を視聴している。
確認して1つの疑問が解けたところで、新たな疑問が浮かびあがった。
歳はそれなりに重ねているが、俺はまだボケる歳ではない。頭もどこにも打っていないから、大丈夫のはずだ。
しかも、クロエもこの場にいたのは俺とクロエの会話をカメラのマイクが拾っていたから、単純に俺が健忘症になった訳ではないようだ。
この辺は覚えている光景だな
門番の1人がイーヌに懸想していたが、俺が容赦なく”しまっちゃうおじさん”コンボでもって、仕事をしている様で仕事をしていない門番2人を石像に変えて、【空間収納】にしまう映像を皮切りに、廃れた開拓村の中を静かに素早く移動して、盗賊共を次々に無力化していっている。
そして、屋敷の裏側から入った問題の死体置き場の映像は早送りだ。正視に耐えぬ。
ん? ここから記憶と違っているな。
死体置き場を俺が完全浄化したところで動画の早送りを停めて、通常再生。
この映像にあるイーヌの嬌声なんて聞こえなかったから、俺はそのまま最奥の部屋へ踏み込んだ。けれども、中はもぬけの空だったから、クロエと合流して帰投したのを覚えている。
しかし、カメラの捉えている内容は全く違う。これはどういうことだ?
動画は正気を失って、狂気を見せている駄メンがイーヌの体を貪っているところを【石化】して、【空間収納】に納める光景を映していた。
『勇太! イーヌ! いない?』
『どうしたのですか?スバル?』
すぐにメガネ、次いでアリシアがガウンを羽織って、頬を紅潮させた状態で、駄メンとイーヌがいなくなって、俺が潜んでいる部屋の中に駆け込んできた。
2人共、頭に髪の毛がないのが滑稽だ。
2人の会話が進み、メガネは駄メンとイーヌが既に死んだものと考え、バルタザールが目的地であることを漏らしていた。
『……ええ、そうね。タケシとコスズが離反し、イーヌとユウタまで失ってしまった私達だけではあの忌々しいカイロスを通過するのすら危ういわね』
アリシアが脳筋とロリっ子離反のソースだったか。疑問が氷解して、俺は安堵したのだが、
『では、手筈通りに』
『ええ、次も私達を導いてくださいね救世主様』
『ああ、次はこの轍は踏まない。絶対に”ッ……』
『ぐッ……』
画面の映像は一気に不穏な空気を漂わせて進み、アリシアが駄メンの長剣でメガネの心臓を貫き、そのまま自分の心臓に切っ先を突き立てていた。
なんだこれは? そういう言葉が俺の頭の中で何度も反芻される。
目の前の画面の映像は俺の昨夜の記憶と異なり、駄メンとイーヌの情事の光景と2人を石像にして、【空間収納】に入れているのを映している。その後、駆けつけて来たメガネとアリシアがまるで示し合わせていたかのように、アリシアがメガネを殺し、そのまま自決した。
その場にいた俺も、目の前の信じられない一連の光景に狼狽していたのか、ようやく動きだし、メガネとアリシアの遺体の傷を治して、【空間収納】から棺を取り出し、2人の遺体を其々の棺に納め、【空間収納】に収納していた……収納していた!? それだ!
俺はすぐに【空間収納】に入っている収納物のリストを表示して、駄メンとイーヌの石像とメガネの遺体が入った棺、アリシアの遺体が入った棺を探した。
しかし、それらは空間収納の収納物リストの中に、痕跡すらなく、それぞれの名前を冠したものも何一つ存在しなかった。
しかし、なんかモヤモヤして気持ち悪い。だが、それ以上に、さっさと寝室に戻って休みたい。
それなりの広さの村の中を駆け回った肉体的疲労よりも、精神疲労の方が今回は大きい。18禁G映像はもうお腹一杯です。おかわりはいりません。
『大分精神的に参っているのうご主人』
クロエさんや貴女も見るかね?死体置き場のグロ映像。
一応活動記録として、今回も小型カメラで録画した動画を保存してある。大半が俺の不殺の”しまっちゃうおじさん”コンボで外道な盗賊共をどんどんしまっていく映像だ。
しかし、後半には悪夢になって出てくる死体置き場の18禁G映像もきちんとカメラが納めている。
本当に、「どこのCERO”Z”のVRホラーゲームだよ!?」というレベルのえぐい光景だった。
『……我は遠慮しておくのじゃ』
まぁ、いいけどな。おっ、どうやら野営地に戻ってきたようだな。
『うむ、湯船に浸かってさっさと寝るかの』
「オ帰リナサイマセ、マスター。異常ハアリマセン」
「ああ、ただいまケイロン。ご苦労様」
幼竜形態からメイド幼女形態になったクロエがそう言うと同時に、俺達の到着にいち早く気づいたケイロンが労ってくれた。
「おお、戻ったか。ユウ君」
「お疲れ様です」
ヘリオスさんとヘファイスさんの両名とも起きて待っていてくれたようだ。
「ただいま戻りました。六連団は全員石像にして【空間収納】に入れています。それとは別に分けていますが、囚われていた女性達も同様です。損壊の激しい被害者の遺体は棺に納めるのが精一杯でした。奴らが溜め込んでいた財産も押収しています」
「そうか、ご苦労様。目的地の城塞都市カイロスにある冒険者ギルドに連絡をいれて、明日には冒険者達を派遣して、六連団の根城の調査を行うことになった。詳しいことは明日、カイロスに到着して冒険者ギルドで改めて話そう。今日はもう休んでいいよ」
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えてお先に失礼しますね」
『おやすみなさいなのじゃ』
俺はクロエを伴って寝台専用馬車の自分の寝室へ移動した。
■
『ぬっふっふっふ。今夜は久しぶりにご主人を独り占めなのじゃ!』
寝室に入って、2人っきりになったらクロエが身長差から腰に抱きついてきた。メイド服越しにクロエの柔らかい感触が伝わってくる。
そういえば、何やかんやで大所帯になってしまって、クロエと2人きりは本当に久しぶりだな。
まだ挙式してないけれども、暫定嫁も3人……ハーレムを目指してないのに何故だ。
俺にはもうキャパオーバーだよ。低確率で発生するらしい”発情”なんて鬼畜な仕組みが人族にも適用されるこの世界のが悪い。
流石にもう増えないよな……なんかフラグっぽい。大丈夫か?
『またどうでもいいようなことで悩んでおるようじゃな、ご主人』
クロエが苦悩している俺の顔を見あげ、嘆息してそう言った。
そういえば【念話】相手にはある程度思考が漏れてしまうんだったか。
「クロエにとってはどうでもいいことかもしれないが、俺にとっては大切なことなんですけどね」
『不満かの? 我等とて、ご主人のそういう態度は不満じゃ。我等は、我もアスカもメイド長も、納得ずくでご主人の下に来たのにそのような詮無きことで悩んで一緒にいる時間を浪費されるのは不愉快じゃのう』
「ぐっ、それはすまない」
『謝る位なら、態度で示して欲しいものじゃのう』
そう言って、クロエがしなだれかかってきた。
俺はクロエを胸に抱きしめて、唇を重ね、小柄なクロエを抱き上げて、部屋の浴室部へ向かうことにした。
■
「そういえば、飛鳥の幼馴染の脳筋とロリっ子、武と小鈴がオディオ王国と手を切ったんだったか?」
明けて翌朝、復活した飛鳥とベル、ヴァルカさんを加えたフルメンバーで朝食を摂り終え、お茶を飲んで一服しているときに俺はふと思い出したのだが、
「それは本当ですか?」
『しかし、なぜ疑問系なのじゃ?ご主人?』
飛鳥は嬉しそうだ。
しかし、クロエの疑問ももっともなものだ。
なぜか、脳筋とロリっ子が離反した情報をどこで得たかが、頭に残ってない。
「ああ、確かにあの盗賊共の親玉がいる悪趣味な屋敷で、聞いた、はず、なんだが……??」
おかしい。たしかに俺は、2人がオディオ王国の駄メン達と離反したのを聞いた。
そのソースは誰からだ……記憶にないな。何故だ? そういえば……、
「クロエ」
『なんじゃ?』
「昨日、盗賊共がいた村の入り口に門番の2人組み以外に誰か他に人はいなかったっけ?」
『ん? なにを言っておるのじゃ、ご主人。あの2人組みの門番以外は誰もあの場にはおらんかったではないか』
どういうことだ? クロエが嘘を言っている様子はない。嘘を言う理由もない。
しかし、このボタンを掛け違えた様な不快な違和感は一体なんだ?
俺の頭には誰か他の人間があの場にいたのを覚えている。けれども、誰だったのかが、霞がかかった様におぼろげになっている。
「あ!」
『どうしたのじゃ、ご主人?』
「昨日のことはカメラが映像と音声を記録しているから、それを確認してみる」
「出発はどうしますか、ご主人様」
席を立った俺にベルが問いかけてきた。
そうだ、まだ俺達はヘリオスさんの護衛依頼の移動中だった。
「みんなの出発準備が出来次第、出発しよう。俺は動画の確認は移動中にするから、カイロスに着いたら教えてくれ、ベル」
「畏まりました」
「私になにかお手伝いできることありませんか?」
ベルが答え、飛鳥が俺に訊いてきた。
「いや、気持ちだけ受け取っておくよ。気持ち悪くなる状態の腐敗死体も映っているからな。飛鳥達は今日は走らないで、運動はストレッチなどに留めておいて、体を休めておいてくれ。とりあえず、訓練は終了だ。クロエは飛鳥のサポートを頼むよ。ケイロンはこれまで同様、道中の警戒をよろしく。ヘリオスさんは馬車の中でゆっくりしてください」
「はい、わかりました。無理はしないでくださいね」
「おお、わかった。あたいはヘファイスと一緒の馬車でゆっくりさせてもらう」
『任せておけ』
「了解シマシタ」
「分かった」
飛鳥、ヴァルカさん、クロエ、ケイロン、ヘリオスさんがそれぞれ応え、ヘファイスさんも席を立ち、移動準備のため解散となった。
「では、よろしく頼むよ」
俺達の様子を見守っていたヘリオスさんも紅茶を飲み終えて、そう言って席を立ち、箱馬車へ向かった。
■
この部分だ。確かに2人組みの門番の盗賊以外にも人がいる……この人物は、あのイーヌ・カマセだったのか。なぜ、俺の記憶で、この女の顔がおぼろげになっていたんだ?
俺は寝室として使っていた寝台馬車の部屋でモバイルPCに動画データをコピーして、動画を視聴している。
確認して1つの疑問が解けたところで、新たな疑問が浮かびあがった。
歳はそれなりに重ねているが、俺はまだボケる歳ではない。頭もどこにも打っていないから、大丈夫のはずだ。
しかも、クロエもこの場にいたのは俺とクロエの会話をカメラのマイクが拾っていたから、単純に俺が健忘症になった訳ではないようだ。
この辺は覚えている光景だな
門番の1人がイーヌに懸想していたが、俺が容赦なく”しまっちゃうおじさん”コンボでもって、仕事をしている様で仕事をしていない門番2人を石像に変えて、【空間収納】にしまう映像を皮切りに、廃れた開拓村の中を静かに素早く移動して、盗賊共を次々に無力化していっている。
そして、屋敷の裏側から入った問題の死体置き場の映像は早送りだ。正視に耐えぬ。
ん? ここから記憶と違っているな。
死体置き場を俺が完全浄化したところで動画の早送りを停めて、通常再生。
この映像にあるイーヌの嬌声なんて聞こえなかったから、俺はそのまま最奥の部屋へ踏み込んだ。けれども、中はもぬけの空だったから、クロエと合流して帰投したのを覚えている。
しかし、カメラの捉えている内容は全く違う。これはどういうことだ?
動画は正気を失って、狂気を見せている駄メンがイーヌの体を貪っているところを【石化】して、【空間収納】に納める光景を映していた。
『勇太! イーヌ! いない?』
『どうしたのですか?スバル?』
すぐにメガネ、次いでアリシアがガウンを羽織って、頬を紅潮させた状態で、駄メンとイーヌがいなくなって、俺が潜んでいる部屋の中に駆け込んできた。
2人共、頭に髪の毛がないのが滑稽だ。
2人の会話が進み、メガネは駄メンとイーヌが既に死んだものと考え、バルタザールが目的地であることを漏らしていた。
『……ええ、そうね。タケシとコスズが離反し、イーヌとユウタまで失ってしまった私達だけではあの忌々しいカイロスを通過するのすら危ういわね』
アリシアが脳筋とロリっ子離反のソースだったか。疑問が氷解して、俺は安堵したのだが、
『では、手筈通りに』
『ええ、次も私達を導いてくださいね救世主様』
『ああ、次はこの轍は踏まない。絶対に”ッ……』
『ぐッ……』
画面の映像は一気に不穏な空気を漂わせて進み、アリシアが駄メンの長剣でメガネの心臓を貫き、そのまま自分の心臓に切っ先を突き立てていた。
なんだこれは? そういう言葉が俺の頭の中で何度も反芻される。
目の前の画面の映像は俺の昨夜の記憶と異なり、駄メンとイーヌの情事の光景と2人を石像にして、【空間収納】に入れているのを映している。その後、駆けつけて来たメガネとアリシアがまるで示し合わせていたかのように、アリシアがメガネを殺し、そのまま自決した。
その場にいた俺も、目の前の信じられない一連の光景に狼狽していたのか、ようやく動きだし、メガネとアリシアの遺体の傷を治して、【空間収納】から棺を取り出し、2人の遺体を其々の棺に納め、【空間収納】に収納していた……収納していた!? それだ!
俺はすぐに【空間収納】に入っている収納物のリストを表示して、駄メンとイーヌの石像とメガネの遺体が入った棺、アリシアの遺体が入った棺を探した。
しかし、それらは空間収納の収納物リストの中に、痕跡すらなく、それぞれの名前を冠したものも何一つ存在しなかった。
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