とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星

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第3章 自由連合同盟都市国家メルキオール 地方城塞都市カイロス編

第68話 城塞都市カイロス到着と、どこかで見たことのあるハゲTAKE2の件

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丁度太陽が一番高い位置、昼時に俺達は目的地のエレボール山脈の麓にある城塞都市カイロスに到着した。

城塞都市カイロスは、かつてはバルタザール騎士王国とメルキオールを結ぶ貿易都市だった。

しかし、エレボール山脈から魔物の氾濫スタンピードが発生した際、魔物の氾濫に対抗するため、貿易都市から城塞都市に生まれ変わった中規模都市だ。

その魔物の氾濫はカイロスの冒険者達だけでは鎮圧できず、バルタザール騎士王国の援軍が加わったことによって、ようやく鎮圧された。

現在は理由で魔物の氾濫は起きなくなっているが、カイロスの冒険者ギルドは貿易都市だったときに魔物に蹂躙された苦い記憶を忘れず、カイロス周辺の魔物討伐に精を出している。

カイロスは北東を森林地帯、街道を挟んで南東部は平原だが、更に南下して行くと、カスパル帝国の砂漠地帯に入る。

カイロスの西はエレボール山脈が連なり、山間を通って西に伸びる街道を進めばバルタザール騎士王国に到着する。街道は横幅馬車6台分の石畳の道で、定期的にカイロスにある駐屯地に駐在しているバルタザール騎士王国の騎士団が騎士王国までを定期的に往復している。

騎士王国をメルキオールと往来する商隊の護衛依頼を受けて往復しているため、彼等に護衛として同行してもらえば、騎士王国までの道中の危険度は通常の街道よりも一気に下がる。

ただし、バルタザール騎士王国の騎士団に護衛してもらうと、彼等に相応の見返りを求められるので注意が必要だ。冒険者ギルドに護衛を頼むよりも割高で費用がかかるだけでなく、彼等の道中の食費も依頼側持ちになる。

しかも、騎士とは名ばかりの素行に問題のある輩もいるため、同行してもらう場合は相手をきちんと選ばないと余計な出費が嵩んでしまう。

とはいっても、商取引と命には代えられないので、商人ギルドは依頼主の商人ギルドのランク毎にバルタザールの騎士団に同行してもらう際の費用の貸付や立替を行っているそうだ。

過去、護衛対象である商人を見捨てて逃亡した騎士もいたそうなので、現在は魔術誓約書で護衛依頼を交わすことが

もちろん、冒険者ギルドでもバルタザール騎士王国までの護衛の依頼は受け付けている。しかし、カイロスの高ランク冒険者は専らカイロス周辺の討伐依頼を中心に受注するため、どうしても護衛依頼を騎士団頼みになりがちであるのが、冒険者ギルドと商人ギルドの悩みの種らしい。

閑話休題、エレボール山脈は前述のバルタザール騎士王国への街道で北と南に二分され、生態系が全く異なっている。

南の山脈には太古に作られてた魔導具によるが張られているため、弱い魔物も存在しない。そのため、エレボール南山脈ではカイロスの酪農農家が牛や羊、山羊を放牧している。

常設結界を張っている魔導具の技術は完全に遺失しており、再現不可能となっている。過去、技師ギルドが総力をかけて解析を行ったにも関わらず、解明に至れなかったとヴァルカさんとヘファイスさんからカイロスまでの道中で教えてもらった。

ヴァルカさんとヘファイスさん、そしてヘリオスさんが用があるのは結界がない危険な北の山脈。

以前は南の山脈にも多数の鉱脈があり、鉱山として機能していたのだが、ほとんどが掘り尽くしてしまい、今では南の鉱山は多くが廃鉱となった鉱山は野生生物が住み着かないよう厳重に封印されているらしい。

そして、結界の外にある北の山脈も南の山脈と同じ鉱脈が確認されている。しかし、こちらは結界がない分、危険な魔物も生息しているため、容易に採掘できない。

そのため、未だに鉱脈から鉱石を採掘可能で、確認されているだけでも南の鉱脈よりも上質の鉱石が採掘できるらしい。

一例としては、魔銀ミスリル鉱石は南の鉱山で採掘できるものでも、最高は中級ミドルクラス。しかし、北の鉱山で採掘できるのは最低で中級。運を引き寄せることができれば、超硬度剛石アダマンタイト神硬金オリハルコンが採掘できるかもしれないという眉唾の話まである。

だが、エルボール北山脈には翼竜ワイバーンも生息しているため、行きと帰りは命の危険が付き纏っている。

俺達の目的であるヘリオスさんの親友というのはその好機チャンスと危険のあるエルボール北山脈に長年住み続けているそうだ。

一先ず、ここ、カイロスでエレボール山脈の情報を収集してから、3日かけて準備を整えて、北山脈に向かうことになった。

今日は宿でみんな休み。ヘリオスさんと俺は冒険者ギルドに顔を出すことになっている。



「ようこそお越しくださいました。ヘリオスギルド総長、そして、ユウ・アンドウ殿、ベルリアーナ・メリクリウス嬢。私はディナダン。カイロスの冒険者ギルド長を務めさせていただいております」

カイロスの冒険者ギルドにて個室に通された俺とヘリオスさん、そしてベルは茶髪をオールバックにした40代中盤と思しき男性と対面した。

挨拶を手短に終えて、俺は昨夜壊滅させた六連団の報告を行い、証拠である石化させた団員達の石像を出した。

「なるほど、賞金首の連中も中にはいますね。後で牢獄に案内しますので、そこに収めてください。石化の解除はこちらでします。賞金の引渡しはお帰りのときにお渡しします」

「分かりました」

「あとは、オディオ王国の勇者の暗躍ですか……」

「なにが狙いかは現段階ではわからないが、なにかよからぬ事を企んでいるのは確実視すべきだろうね。あの国は先々代と先代はまともだったけれども、他はどうしようもない連中だからね」

ディナダンギルド長の考え込む様子にヘリオスさんが警戒心を顕にする。

「……実は昨夜、閉じた西門を強行突破した4人組がありまして、目下、バルタザール騎士王国が追跡しておりますが、おそらく成果はあがらないでしょう」

ため息とともに苦々しげにディナダンギルド長がそう告げた。

やはり、バルタザール騎士王国のカイロス駐在騎士団とカイロスの冒険者ギルドの仲は芳しくないようだ。

「それから、ヘリオスギルド総長にはおそらく連絡が行き違いになってしまったと思われますが……入りなさい」

ディナダンギルド長が奥の部屋に声をかけると、スキンヘッドの男とフードを被った女子の2人が俺達がいる個室に入ってきた。

どちらも俺は見覚えがある顔だ。それもそのはず、

「オディオ王国に召喚されて、彼国の非道により亡命してきたため、当ギルドで保護しましたタケシ・ドモンとコスズ・サンジョウです」

駄メンとメガネ達と道を違えた脳筋とロリっ子はカイロスの冒険者ギルドで保護されていたのだった。

【鑑定】で確認したが、2人とも俺とクロエ、飛鳥がオディオ王国を脱出したときよりも強くなっていた。

おまけに俺がかけた【脱毛の呪い】も効果発動中であった。

脳筋は隠していないのに対し、フードで隠しているが、ロリっ子の頭には毛がないのは確定的に明らかだ。

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