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第3章 自由連合同盟都市国家メルキオール 地方城塞都市カイロス編
第81話 依頼完了? いいえ、お家(メルキオール)に帰るまでが依頼です!の件
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ルールミナスがいたこの建物にはどうやら正式名称がちゃんとあったらしい。
ヘリオスさんもルールミナスも一言も教えてくれなかったのだが、ルールミナスが俺に付与した代理管理者権限から代理がとれたことにより、マルーシュという名称であったことが判明した。
俺は管理者権限でできることと、できないことの切り分け作業を丸1日かけて、保守管理のためのゴーレムを倉庫にあった高純度の魔石をゴーレム核石に加工して、12体を新造した。警備用ゴーレムも全てメンテナンスを行い、破損部分が数体にあったので、補修した。
作業が一段落し、ヘリオスさんの友人であるルールミナスに会うという当初の目的を達成したので、俺達はカイロスを経由して、メルキオールに戻ることになった。
管理者権限により利用できる設備が増えたため、可能であればいろいろ試したかったのだが、ヘリオスさんはメルキオールに戻らなければならない。当然、カイロスまで送って終わりという訳にはいかない。
それに、遺言の様なものであるが、ルールミナスからヘリオスさんだけでなく、ミーネさんにもルールミナスの遺骸の一部の素材となる鱗と血液を渡してほしいと頼まれていたので、俺達もメルキオールに戻ることになった。
ヴァルカさんとヘファイスさんの目的である採集と採掘も完了している。カイロスに戻って、冒険者ギルドに寄って一泊し、翌日メルキオールへ向けて発つことに決まった。
■
「では閉鎖します。以後、俺が開放しない限りここには入れませんが、いいですね?」
「ああ、頼むよ」
ヘリオスの返事を聞いて、俺は管理者権限でマルーシュの入り口の端末を操作した。すると、隔壁に加えて、更にシャッターが降りて完全に入り口が見えなくなった。
なぜ閉鎖をしたかというと、当然俺達がいない間の侵入者対策だ。
ルールミナスが健在のときは彼女が判断して、侵入者の選別をしていた。
ヘリオスさんがここに最初に来れたのも、魔物に追われて、エレボーレ山脈の崖から転げ落ちてきたという奇跡的な確率によるものだった。
傷だらけだったヘリオスさんに敵意と悪意がないのを確認したルールミナスが治療をしたことで、九死に一生をヘリオスさんは得たのであった。
入り口の結界が物理的なものでない以上、不可抗力で侵入されることは多分にある。そして、その侵入者がヘリオスさんの様な人物である保障がない以上、俺はゴーレムだけにここを任せるのには心もとないため、戻ってくるまで閉鎖して誰も入れない様にすることにした。
次回戻ってきたら、このマルーシュを拠点の1つにするために改装する。既に居住性と利便性を上げることは俺達の間では確定している。
採掘採集場所にも恵まれている点からも拠点にするのは好都合な面が多々あるため、反対意見はでなかった。
問題点の1つは食糧の調達になるだろう。俺のスキル【空間収納】と【共有収納】を使えばある程度は大丈夫だが、限度がある。自給自足環境は必要で、お米様栽培にも着手する予定だ。
とはいえ、他にも問題はまだ山積みだったりするから、少しずつでも片付けていかなければならない。
当面の問題だが、
『……』
「はぁ、クロエ、気になるのはわかるが、まだ孵化はしないぞ」
現在、ケイロンが牽いている馬車で移動中なのだが、俺は膝の上に抱っこ紐で固定したルールミナスの卵を載せ、その上に両掌を当てて、魔力を送っている。
そして、クロエがメイド姿ではなく、俺の頭の後ろに幼竜形態で張り付いて、俺が卵に魔力を送っている様子をじぃっと眺めているのだ。
ルールミナスが卵になってから、寝る時と食事中を除きほぼこの状態だ。
『わかっておる。わかっておるが、どうにも気になってしょうがないのじゃ』
無事に卵になったルールミナスであったが、1つ俺達には誤算があった。それはルールミナスの回生した卵を孵化させるのに必要な総魔力量が、クロエのときよりもざっと3倍以上多く必要だったことだ。
クロエの卵を孵化したよりも、今の俺の総魔力量は増大しているのだが、それでもおよそ4日はかかるようだ。現状だと、カイロスからメルキオールへの帰路中に孵化する目算だ。
全員の魔力を送ればいいと思うかもしれないが、俺がしているように触れて魔力を送る必要があり、複数人で同時に魔力を送ることはできない。そして、魔力は触れると、かなりの量を一気に持っていかれる。試しに飛鳥とベルが順に魔力を送ってみたが、ベルは若干飛鳥よりももったほうだが、2人とも魔力枯渇状態になって、気絶した。
俺は枯渇する前に魔力回復薬を飲んで回復し、魔力を送り続けている。
卵の色にも違いがあって、クロエの卵は黒真珠の様な真っ黒で輝く卵だったが、ルールミナスのものは真珠の様に白く輝いている。
クロエは卵に魔力を送ろうとしたが、なんと送った魔力が弾かれてしまったのだった。原因はクロエの属性が闇であるためだと思われる。
満を持して放出した魔力を弾かれてしまったクロエの落ち込み様は、筆舌に尽くし難く、代替案として、魔力経路が繋がっている俺を介すればクロエの魔力も卵に送ることができることが判明したため、クロエは俺に張り付いて魔力を供給しているのである。
魔力回復薬を飲む必要がなくなったが、今度は俺の首にかかる負担が増してしまった。俺の首の平穏のためにも、早く卵は孵化して欲しいところだ。
カイロスの冒険者ギルドへの報告はヘリオスさんと俺の代理として、ベルに出てもらうことになった。俺と飛鳥、クロエは卵のことがあるので、宿で休ませてもらうことになった。
脳筋とロリっ子に遭遇するリスクがあるため、飛鳥には俺達と共に行動してもらっている。
ヘリオスさんもルールミナスも一言も教えてくれなかったのだが、ルールミナスが俺に付与した代理管理者権限から代理がとれたことにより、マルーシュという名称であったことが判明した。
俺は管理者権限でできることと、できないことの切り分け作業を丸1日かけて、保守管理のためのゴーレムを倉庫にあった高純度の魔石をゴーレム核石に加工して、12体を新造した。警備用ゴーレムも全てメンテナンスを行い、破損部分が数体にあったので、補修した。
作業が一段落し、ヘリオスさんの友人であるルールミナスに会うという当初の目的を達成したので、俺達はカイロスを経由して、メルキオールに戻ることになった。
管理者権限により利用できる設備が増えたため、可能であればいろいろ試したかったのだが、ヘリオスさんはメルキオールに戻らなければならない。当然、カイロスまで送って終わりという訳にはいかない。
それに、遺言の様なものであるが、ルールミナスからヘリオスさんだけでなく、ミーネさんにもルールミナスの遺骸の一部の素材となる鱗と血液を渡してほしいと頼まれていたので、俺達もメルキオールに戻ることになった。
ヴァルカさんとヘファイスさんの目的である採集と採掘も完了している。カイロスに戻って、冒険者ギルドに寄って一泊し、翌日メルキオールへ向けて発つことに決まった。
■
「では閉鎖します。以後、俺が開放しない限りここには入れませんが、いいですね?」
「ああ、頼むよ」
ヘリオスの返事を聞いて、俺は管理者権限でマルーシュの入り口の端末を操作した。すると、隔壁に加えて、更にシャッターが降りて完全に入り口が見えなくなった。
なぜ閉鎖をしたかというと、当然俺達がいない間の侵入者対策だ。
ルールミナスが健在のときは彼女が判断して、侵入者の選別をしていた。
ヘリオスさんがここに最初に来れたのも、魔物に追われて、エレボーレ山脈の崖から転げ落ちてきたという奇跡的な確率によるものだった。
傷だらけだったヘリオスさんに敵意と悪意がないのを確認したルールミナスが治療をしたことで、九死に一生をヘリオスさんは得たのであった。
入り口の結界が物理的なものでない以上、不可抗力で侵入されることは多分にある。そして、その侵入者がヘリオスさんの様な人物である保障がない以上、俺はゴーレムだけにここを任せるのには心もとないため、戻ってくるまで閉鎖して誰も入れない様にすることにした。
次回戻ってきたら、このマルーシュを拠点の1つにするために改装する。既に居住性と利便性を上げることは俺達の間では確定している。
採掘採集場所にも恵まれている点からも拠点にするのは好都合な面が多々あるため、反対意見はでなかった。
問題点の1つは食糧の調達になるだろう。俺のスキル【空間収納】と【共有収納】を使えばある程度は大丈夫だが、限度がある。自給自足環境は必要で、お米様栽培にも着手する予定だ。
とはいえ、他にも問題はまだ山積みだったりするから、少しずつでも片付けていかなければならない。
当面の問題だが、
『……』
「はぁ、クロエ、気になるのはわかるが、まだ孵化はしないぞ」
現在、ケイロンが牽いている馬車で移動中なのだが、俺は膝の上に抱っこ紐で固定したルールミナスの卵を載せ、その上に両掌を当てて、魔力を送っている。
そして、クロエがメイド姿ではなく、俺の頭の後ろに幼竜形態で張り付いて、俺が卵に魔力を送っている様子をじぃっと眺めているのだ。
ルールミナスが卵になってから、寝る時と食事中を除きほぼこの状態だ。
『わかっておる。わかっておるが、どうにも気になってしょうがないのじゃ』
無事に卵になったルールミナスであったが、1つ俺達には誤算があった。それはルールミナスの回生した卵を孵化させるのに必要な総魔力量が、クロエのときよりもざっと3倍以上多く必要だったことだ。
クロエの卵を孵化したよりも、今の俺の総魔力量は増大しているのだが、それでもおよそ4日はかかるようだ。現状だと、カイロスからメルキオールへの帰路中に孵化する目算だ。
全員の魔力を送ればいいと思うかもしれないが、俺がしているように触れて魔力を送る必要があり、複数人で同時に魔力を送ることはできない。そして、魔力は触れると、かなりの量を一気に持っていかれる。試しに飛鳥とベルが順に魔力を送ってみたが、ベルは若干飛鳥よりももったほうだが、2人とも魔力枯渇状態になって、気絶した。
俺は枯渇する前に魔力回復薬を飲んで回復し、魔力を送り続けている。
卵の色にも違いがあって、クロエの卵は黒真珠の様な真っ黒で輝く卵だったが、ルールミナスのものは真珠の様に白く輝いている。
クロエは卵に魔力を送ろうとしたが、なんと送った魔力が弾かれてしまったのだった。原因はクロエの属性が闇であるためだと思われる。
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魔力回復薬を飲む必要がなくなったが、今度は俺の首にかかる負担が増してしまった。俺の首の平穏のためにも、早く卵は孵化して欲しいところだ。
カイロスの冒険者ギルドへの報告はヘリオスさんと俺の代理として、ベルに出てもらうことになった。俺と飛鳥、クロエは卵のことがあるので、宿で休ませてもらうことになった。
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