89 / 108
~幕間3~
第89話 私室用暖房器具試作中の件(前編)
しおりを挟む
俺はみんなと別れた後、自分の工房に移動した。
座り心地抜群の椅子に座るのだが……
「クッションがよくても足先から冷えて台無しだな」
俺の工房の中は、屋敷の俺の私室同様、靴は部屋の入り口で脱いで、スリッパもしくは裸足で歩ける様にしている。
空調も必要だが、先にあれを作るか。
まずはこの世界の暖炉を改良することにした。
改良といっても、前面以外の五面を鉄板で覆うだけ。改良した暖炉は所謂、フランクリンストーブ。
飛鳥とベル、クロエ、ルシィはもとより、ヴァルカさんとへファイスさんにも使用後の感想を聞いて、改良を加え、多機能薪ストーブにする。
燃料はこちらの世界に合わせた魔石式にも対応できるようアレンジする予定だ。
フランクリンストーブの情報はこの世界に飛ばされる前にネットで調べたものをネタ引き出しの1つとして、愛用のMyPadに保存している。
それを参考に制作、数度の失敗の後に形になった。
輻射熱の大幅な向上と簡単な構造で、フランクリンストーブは冬の寒さが厳しい米国で一般家庭に普及した。
その後、様々な改良が加えられたのが薪ストーブ。故に、フランクリンストーブは薪ストーブのプロトタイプと言える代物だろう。
丁寧に造ったつもりだったが、まだまだ造りに粗がたくさんあるのができあがってから分かった。これは数をこなして精進あるのみだ。
さて、次は、と思考を切り替えようとしたら、扉のノックがあった。
『主さま、昼食の用意ができました』
「わかった。丁度ひと段落したから行くよ」
ルシィが呼びに来てくれたので、俺は試作ストーブの火をきちんと消して、工房を後にした。
■
『主さまはなにを作られていらっしゃったのですか?』
微笑ましい興味津々の様子を隠さずメイド服を着たルシィが訊いてきた。
「既存の暖炉をより暖かくなる様に改良したものだよ。一先ず出来上がったから、ベル達に意見を聞くつもりだ。好感触だったら、ルシィ達の部屋にも作ろうか?」
『本当ですか?ありがとうございます』
そう言って、天真爛漫な眩しい笑顔をルシィは俺に見せてくれた。
まるで1枚の名画の様な素晴らしい光景である。尊い。
そして、食堂に到着した。
◼️
『今日の昼食は天ぷらうどんじゃ。海老天、ごぼ天、かき揚げ、芋天いろいろ揚げてみたのじゃ』
どんぶりに入ったうどんにクロエが言った天ぷら各種が載せられていた。普通に美味しそうである。
『『「いただきます」』』
飛鳥とベル、ヴァルカさん、へファイスさんは外で食べると連絡があったため、俺とクロエ、ルシィの3人で横に並んで食べる。
俺の右にクロエ、左にルシィ。2人とも器用に箸を使ってうどんを啜る。
うどんの食感もモチモチしていていい。つゆもかつお出汁と昆布出汁を丁度いい割合で合わせてある。
『どうじゃ? ご主人?』
得意気な様子でクロエが聞いてきた。
「美味いよ、流石だな」
最近では【異世界電子通販】での食料と調味料の使用をできる限り抑えて、向こうの世界の料理の再現をこちらの食材ですることにクロエ達は力を入れ始め出した。
『ぬっふっふ、もっと褒めてもいいのじゃぞ?
ちなみにうどんを打つのにはルシィにも手伝ってもらったのじゃ!』
クロエは胸を張って言った。
「そうか、頑張ったな、ルシィ。美味しいよ」
そう言って、俺はルシィの頭を撫でてあげた。
『あっ、ありがとうございます。主さま』
そう応えて、ルシィは顔を赤らめて、はにかんだ。
『ぬっ、ご主人、我も頑張ったのじゃぞ!』
クロエは口先を尖らせて不満を口にして、頭を突き出してきた。撫でろということなのだろう。
「ああ、クロエもよくやってくれた」
そう告げて、頭を撫でると、
『ぬふふ、では、せっかくのうどんが伸びてしまわぬ内に食すとするのじゃ!』
クロエはご機嫌になった。
『姉様……』
そんなクロエのチョロい様子に、ルシィは苦笑いを浮かべた。
和やかな空気の中、おかわりをして、俺はクロエとルシィが作ったうどんを堪能した。ちなみに飛鳥とベルの分もきちんととっておいてある。
その後、その日の夜食として2人に出された天ぷらうどんは飛鳥とベルにも絶賛された。
◼️
『ご主人は午前中はなにをしておったのじゃ?』
食後の一服で緑茶を淹れてくれたクロエが問いかけてきた。
「向こうの世界の暖炉を参考にこっちの物を改良していたところだ」
『改良に成功したら、わたし達のお部屋にも設置してくれるそうですよ、姉様』
『ほう、それはとてもありがたいのじゃ。我は寒いのは苦手じゃからのう』
そう言って、手を擦りあわせるクロエ。
なぜか、ジャージ着たクロエがドテラを羽織って、炬燵に座り、次の瞬間、クロエがこたつむりと化したのを俺は幻視した。
『どうしたのじゃ、ご主人?』
俺の向ける視線に異変を感じとったクロエが問いかけてきた。
「いや、クロエはこたつがあったら、それに入り浸りそうだなと思ってな」
『んん?? こたつとはなんじゃ?』
『どの様なものでしょうか?』
正直に答えたものの、この世界にはこたつがないため、わからないクロエとルシィの2人は可愛らしい思案顔になっている。
「口で説明するより実際に見たほうがいいよな……一応、こういうものだ」
そう言って、俺はMyPadに保存してある炬燵の写真とウィ◯の記事を2人に見せた。
『ううむ……よくわからんのう』
『主さま、申し訳ありません』
しかし、やはり2人には上手く伝わらなかった様だ。
「いや、これだけで逆にこたつのことは理解できないから。特にこの一度入ったら、二度と出てこれない脅威は言葉では言い表せない……」
日本の生み出した脅威の堕落人間製造機の破壊力は筆舌に尽くしがたい。
やはり、この世界でこたつを作り出さねばと俺は決意を新たに工房に戻ることにした。
座り心地抜群の椅子に座るのだが……
「クッションがよくても足先から冷えて台無しだな」
俺の工房の中は、屋敷の俺の私室同様、靴は部屋の入り口で脱いで、スリッパもしくは裸足で歩ける様にしている。
空調も必要だが、先にあれを作るか。
まずはこの世界の暖炉を改良することにした。
改良といっても、前面以外の五面を鉄板で覆うだけ。改良した暖炉は所謂、フランクリンストーブ。
飛鳥とベル、クロエ、ルシィはもとより、ヴァルカさんとへファイスさんにも使用後の感想を聞いて、改良を加え、多機能薪ストーブにする。
燃料はこちらの世界に合わせた魔石式にも対応できるようアレンジする予定だ。
フランクリンストーブの情報はこの世界に飛ばされる前にネットで調べたものをネタ引き出しの1つとして、愛用のMyPadに保存している。
それを参考に制作、数度の失敗の後に形になった。
輻射熱の大幅な向上と簡単な構造で、フランクリンストーブは冬の寒さが厳しい米国で一般家庭に普及した。
その後、様々な改良が加えられたのが薪ストーブ。故に、フランクリンストーブは薪ストーブのプロトタイプと言える代物だろう。
丁寧に造ったつもりだったが、まだまだ造りに粗がたくさんあるのができあがってから分かった。これは数をこなして精進あるのみだ。
さて、次は、と思考を切り替えようとしたら、扉のノックがあった。
『主さま、昼食の用意ができました』
「わかった。丁度ひと段落したから行くよ」
ルシィが呼びに来てくれたので、俺は試作ストーブの火をきちんと消して、工房を後にした。
■
『主さまはなにを作られていらっしゃったのですか?』
微笑ましい興味津々の様子を隠さずメイド服を着たルシィが訊いてきた。
「既存の暖炉をより暖かくなる様に改良したものだよ。一先ず出来上がったから、ベル達に意見を聞くつもりだ。好感触だったら、ルシィ達の部屋にも作ろうか?」
『本当ですか?ありがとうございます』
そう言って、天真爛漫な眩しい笑顔をルシィは俺に見せてくれた。
まるで1枚の名画の様な素晴らしい光景である。尊い。
そして、食堂に到着した。
◼️
『今日の昼食は天ぷらうどんじゃ。海老天、ごぼ天、かき揚げ、芋天いろいろ揚げてみたのじゃ』
どんぶりに入ったうどんにクロエが言った天ぷら各種が載せられていた。普通に美味しそうである。
『『「いただきます」』』
飛鳥とベル、ヴァルカさん、へファイスさんは外で食べると連絡があったため、俺とクロエ、ルシィの3人で横に並んで食べる。
俺の右にクロエ、左にルシィ。2人とも器用に箸を使ってうどんを啜る。
うどんの食感もモチモチしていていい。つゆもかつお出汁と昆布出汁を丁度いい割合で合わせてある。
『どうじゃ? ご主人?』
得意気な様子でクロエが聞いてきた。
「美味いよ、流石だな」
最近では【異世界電子通販】での食料と調味料の使用をできる限り抑えて、向こうの世界の料理の再現をこちらの食材ですることにクロエ達は力を入れ始め出した。
『ぬっふっふ、もっと褒めてもいいのじゃぞ?
ちなみにうどんを打つのにはルシィにも手伝ってもらったのじゃ!』
クロエは胸を張って言った。
「そうか、頑張ったな、ルシィ。美味しいよ」
そう言って、俺はルシィの頭を撫でてあげた。
『あっ、ありがとうございます。主さま』
そう応えて、ルシィは顔を赤らめて、はにかんだ。
『ぬっ、ご主人、我も頑張ったのじゃぞ!』
クロエは口先を尖らせて不満を口にして、頭を突き出してきた。撫でろということなのだろう。
「ああ、クロエもよくやってくれた」
そう告げて、頭を撫でると、
『ぬふふ、では、せっかくのうどんが伸びてしまわぬ内に食すとするのじゃ!』
クロエはご機嫌になった。
『姉様……』
そんなクロエのチョロい様子に、ルシィは苦笑いを浮かべた。
和やかな空気の中、おかわりをして、俺はクロエとルシィが作ったうどんを堪能した。ちなみに飛鳥とベルの分もきちんととっておいてある。
その後、その日の夜食として2人に出された天ぷらうどんは飛鳥とベルにも絶賛された。
◼️
『ご主人は午前中はなにをしておったのじゃ?』
食後の一服で緑茶を淹れてくれたクロエが問いかけてきた。
「向こうの世界の暖炉を参考にこっちの物を改良していたところだ」
『改良に成功したら、わたし達のお部屋にも設置してくれるそうですよ、姉様』
『ほう、それはとてもありがたいのじゃ。我は寒いのは苦手じゃからのう』
そう言って、手を擦りあわせるクロエ。
なぜか、ジャージ着たクロエがドテラを羽織って、炬燵に座り、次の瞬間、クロエがこたつむりと化したのを俺は幻視した。
『どうしたのじゃ、ご主人?』
俺の向ける視線に異変を感じとったクロエが問いかけてきた。
「いや、クロエはこたつがあったら、それに入り浸りそうだなと思ってな」
『んん?? こたつとはなんじゃ?』
『どの様なものでしょうか?』
正直に答えたものの、この世界にはこたつがないため、わからないクロエとルシィの2人は可愛らしい思案顔になっている。
「口で説明するより実際に見たほうがいいよな……一応、こういうものだ」
そう言って、俺はMyPadに保存してある炬燵の写真とウィ◯の記事を2人に見せた。
『ううむ……よくわからんのう』
『主さま、申し訳ありません』
しかし、やはり2人には上手く伝わらなかった様だ。
「いや、これだけで逆にこたつのことは理解できないから。特にこの一度入ったら、二度と出てこれない脅威は言葉では言い表せない……」
日本の生み出した脅威の堕落人間製造機の破壊力は筆舌に尽くしがたい。
やはり、この世界でこたつを作り出さねばと俺は決意を新たに工房に戻ることにした。
2
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる