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第4章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール~北方封鎖地編
第103話 美術ゴーレムの魔導具とモフモバニーを狩るお仕事、そして穏やかじゃないフラグが建っている件
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ベルがルークさんから旧薬品ギルド跡地に建てる魔導具専門店を任される話から既に10日程経過した。
目玉商品として俺が提案したのは自身が警備装置にもなる美術品ゴーレム。
値段はピンキリで最も安いもので、幼竜姿のルシィを1/3サイズにした人造銅兵。建国記念祭限定特価販売で動作保証期間1年で銀貨1枚。一般的なブロンズゴーレム、大体体長が3~5mのもので値段が金貨10枚前後らしいので、破格と言えるだろう。
本人の許可を得て作った愛くるしい丸まって眠っている状態のルシィを再現した一品だ。挙動は探知範囲内で登録した主人に危険が迫るとブロンズゴーレムとして起動して、主人の護衛になる仕様に限定している。
【構造強化】スキルで補強してはいるけれども素材が銅であるため、残念ながら性能自体もそれほど高い物ではない使い捨てに近い代物。
しかし、複数主人設定と優先順位などの設定も可能にしていて、中枢の内蔵魔石が破壊されない限り付与した周囲の環境魔力を吸収して【自動修復】するという秘密機能が付いているので値段以上の一品。
【複製】スキルのおかげで材料さえあれば大量生産できる。とりあえず、建国記念祭中に販売する限定1万体は納品完了している。記念祭後に素材を変更したものを受注生産で販売する予定になっている。
そして、現状で最も高値なのは1人につき限定1体。販売数限定5体の完全前払い受注生産の戦乙女を模した人造魔法銀兵。
基本料金、魔銀貨5枚。【構造強化】と【自動修復】の付与はもとより、回復量がポーション1回分の【回復魔術】を10回は使える仕様。
内蔵している魔石には標準で追加余地を残す設計だから、追加料金で翼を追加して【飛行】機能をつけたり、初級レベルの武術系スキルや数種類の【魔術】スキルを使用できる様にするサービスも行うことにしている。
楽器を奏でるゴーレムという案も出したが却下された。この世界に美術や音楽などの芸術がない訳ではないのだが、元の世界と比べるとやはり未成熟。
音楽は吟遊詩人とお抱え楽士達が中心となっていて、大衆娯楽としての浸透が進んでいないようだ。今度ルークさんとミーネさんを交えてヘリオスさんに相談するべきかと俺は思った。
魔導具専門店の店舗はメルキオール内の建築業者に依頼するには期間に無理があり、旧薬品ギルドの建物の内部を改装して使う案が挙がった。
しかし、話があった当日に建物の設計をベル達と協議して決め、3日後に資材が揃い次第、俺が【魔法建築】スキルで建てた。
そもそも、一店舗を任せるという話はもっと準備期間に余裕を以ってなされるものであるはずなのだが、ベルが優秀だから故の今回に限り短期間での無茶振りであると冷たい目をしたベルにルークさんが苦笑いとともに答えた。
【魔法建築】で建てた店舗は地下室と隠し部屋がある3階建て。元々あった薬品ギルドの建物はゴーレム化して建材に再利用。見栄のために使われていたと思しき不要になった貴金属の資材はインゴット化してルークさんに渡そうとした。
しかし、店舗の報酬として受け取るように言われたので、俺は遠慮なくもらった。
店員に関してはメリクリウス商会からベルと馴染みが深い人物達を数人引っ張ってきて、後は定評のある従者ギルドから一先ず短期契約で雇うことに決まっている。
後の店舗に関する細かいことはベルがやることになり、必要に応じて連絡してもらうことになった。
■
ゴンゴンゴンッ
巣穴に設けられた木製扉を手袋をした手でノックし、兎の魔物のモフモバニーは
「うぃ~、どしたもんだろう」
そう富○敬ボイスで言い、扉の傍に備え付けられた郵便受けに寄りかかり、懐から取り出した1本の人参に噛り付いた。
なぜ郵便受けがあるとか、懐の何処に人参をしまっていたかなど、ツッコミ所満載だ。少しして、
「どったの先生?」
扉の中から郵便受けに寄りかかっているモフモバニーと全く同一の顔のモフモバニーが顔を出して、山×勝○ボイスで返答した。
すると、待ち受けていたモフモバニーは扉から顔を出した同族の首根っこを掴んで外に引きずり出して、先制ストレートを放った。
「ヘブッ、やったなこのぉ!」
殴られた方も【魔力開放】をして、反撃。最初は体長1.7m前後の細い体が【魔力開放】に伴って、筋骨隆々とした2m近くの巨体になった2体のモフモバニーによるボイス違いの同キャラ対決の殴り合いの幕が上がった。
この殴り合いも既に2桁を超える回数繰り返し目にした俺にとっては何の感慨もわかない。
店舗の仕事のため今回は同行できなかったベルを除いた飛鳥、クロエ、ケイロン、ルシィも同様だ。
この茶番じみたやりとりは言わずもがな、モフモバニー達にとっては死活問題の巣穴を巡るモフモバニー同士の争いだ。
これまで見てきたこの殴り合いも掛け合う声は入れ替わることはあっても、台詞自体は寸分違わず全く同じだった。
さて、第三者の横槍が入らない様に襲来したモフモバニーは周囲を警戒してしかけたのだが、
「目標捕捉、発射シマス」
モフモバニーの索敵外から放ったケイロンの複数の矢を2体のモフモバニーはそれぞれ両目と口に矢を受け、両目に刺さった矢が脳に到達してあっけなく絶命した。
【空間収納】の機能で2体の亡骸は死因となった矢と共に自動回収された。
遭遇戦を含めて、狩りを始めて2日で発見した巣穴の数は先程のを含めて12。討伐したモフモバニーの数は今しがた倒した2体を含めて35体。
並のBランクの冒険者パーティーで1日に運が良ければ5体確保できればいいという話なので、7日分の数を確保しているから成果としては十分過ぎると言えるだろう。
モフモバニー単体の戦闘能力はギルドの調書によると、【魔力開放】状態で格闘家のAランク冒険者1人分と、かなり強い。実際に俺達は全員1対1で戦ってみたが、確かにその評価に誤りはなかった。
ただ、このモフモバニー、戦闘中に相手を必要以上に煽って挑発してくる。その挑発も下世話なものも少なくなく、ブチ切れた飛鳥とクロエによって、対峙して煽っていたモフモバニーは素材回収ができないミンチにされるか、丸焼きの炭になった。
ルシィが対峙したモフモバニーは頭部だけ跡形もなく回収できない状態になり、俺は【氷魔術】で素材を痛めない様に瞬殺し、ケイロンは無駄口を叩かれる前にその両目と口を弓矢で射抜いた。
その戦闘後に満場一致で、まともに戦うと余計に疲れる獲物と結論付け、索敵外からのケイロンの奇襲狙撃で討伐していく方針に決まった。
今回の様にモフモバニー同士の争いがない場合は俺が作った催涙弾や閃光弾で怒らせて【魔力解放】を使わせて、巣穴から出てきた所をケイロンが狙撃している。
モフモバニーの抹殺はケイロンに任せ、俺達は周囲の索敵と警戒を担当している。というのも、
「はっ!」
「ギャウンッ」
冬越えのために餌を求めて徘徊していたと思しきフォレストウルフの群れとなぜか頻繁に遭遇しているからだ。
狙撃を終えたケイロンは近接戦闘用の装備に切り替えてパーティーの盾役をこなしている。
群れの中の1匹がケイロンではなく仲間を屠っている飛鳥に襲いかかり、彼女に【居合い】で両断され、【空間収納】の中に消えた。
「「「ガゥウウ! ガアアアアッ!!」」」
続いて隙ができた飛鳥に別のフォレストウルフ数匹が襲い掛かるも、
『甘いのじゃ』
クロエの【体術】で、次々に吹き飛ばされ、空中で討伐判定で【空間収納】の中に消えていくか、体勢を立て直した飛鳥に斬り殺されていく。
2人の猛攻でウルフの群れはどんどん数を減らしていくが、別の一団は迂回して前衛の回復と支援をしている後衛の俺に襲いかかってきた。
『主様は私が守ります!』
そう言って、俺の傍にいるルシィは手にした自身の身長の倍以上あるミスリルロングスピアで飛びかかってきたフォレストウルフの群れをまとめて薙ぎ払う。
その一撃で襲いかかってきたフォレストウルフの一団の大半が【空間収納】行きになったが、中には薙ぎ払われた空中で体勢を立て直した数体は地面に着地した。しかし、
『ッ!』
ルシィの間合いの外に着地したフォレストウルフは生き延びることができた。
しかし、一撃後に素早く追撃体勢に入ったルシィが放った【槍術】スキル【乱れ突き】によって、彼女の間合いに着地し、僅かな時間だが硬直してしまったフォレストウルフ達は残らず頭部を貫かれて絶命した。
実際戦闘経験に乏しいルシィが【槍術】でここまで戦えているのは、彼女の槍の師匠であるヘリオスさんと兄弟子にあたるバルガスが真綿の様に教えたことを吸収するルシィに面白がって手合わせをしながら【槍術】スキルを教授したことにある。
群れの大半を倒されたフォレストウルフ達は戦意を喪失して逃走を開始。
過剰討伐による森の生態系への悪影響を考慮し、俺達は生き残って逃亡したフォレストウルフを見逃した。
事前に調べた情報では、フォレストウルフの生息地は襲撃を受けたこの場所よりも北にある。
俺達が今いる場所から北にあるのはかなり離れた位置に、ヒュドラが封印されている一般人立入禁止になっている封鎖地。
そして、以前俺達が豚鬼達を殱滅して、今は旧薬品ギルドと魔術師ギルド所属だった犯罪者達が潜伏している村落跡地がある。
更に、メルキオールを出発するときに北門で、モフモバニー討伐の依頼を受けて北部に向かったBランク冒険者パーティーで依頼の期限を超過しても未帰還のパーティーがいくつかあること。また、北部の村や集落を取引相手にしている行商人が戻ってきていないことから、北に向かう者達に警戒するよう門番から話があった。
不穏なフラグ、あからさまで多過ぎじゃないか?
目玉商品として俺が提案したのは自身が警備装置にもなる美術品ゴーレム。
値段はピンキリで最も安いもので、幼竜姿のルシィを1/3サイズにした人造銅兵。建国記念祭限定特価販売で動作保証期間1年で銀貨1枚。一般的なブロンズゴーレム、大体体長が3~5mのもので値段が金貨10枚前後らしいので、破格と言えるだろう。
本人の許可を得て作った愛くるしい丸まって眠っている状態のルシィを再現した一品だ。挙動は探知範囲内で登録した主人に危険が迫るとブロンズゴーレムとして起動して、主人の護衛になる仕様に限定している。
【構造強化】スキルで補強してはいるけれども素材が銅であるため、残念ながら性能自体もそれほど高い物ではない使い捨てに近い代物。
しかし、複数主人設定と優先順位などの設定も可能にしていて、中枢の内蔵魔石が破壊されない限り付与した周囲の環境魔力を吸収して【自動修復】するという秘密機能が付いているので値段以上の一品。
【複製】スキルのおかげで材料さえあれば大量生産できる。とりあえず、建国記念祭中に販売する限定1万体は納品完了している。記念祭後に素材を変更したものを受注生産で販売する予定になっている。
そして、現状で最も高値なのは1人につき限定1体。販売数限定5体の完全前払い受注生産の戦乙女を模した人造魔法銀兵。
基本料金、魔銀貨5枚。【構造強化】と【自動修復】の付与はもとより、回復量がポーション1回分の【回復魔術】を10回は使える仕様。
内蔵している魔石には標準で追加余地を残す設計だから、追加料金で翼を追加して【飛行】機能をつけたり、初級レベルの武術系スキルや数種類の【魔術】スキルを使用できる様にするサービスも行うことにしている。
楽器を奏でるゴーレムという案も出したが却下された。この世界に美術や音楽などの芸術がない訳ではないのだが、元の世界と比べるとやはり未成熟。
音楽は吟遊詩人とお抱え楽士達が中心となっていて、大衆娯楽としての浸透が進んでいないようだ。今度ルークさんとミーネさんを交えてヘリオスさんに相談するべきかと俺は思った。
魔導具専門店の店舗はメルキオール内の建築業者に依頼するには期間に無理があり、旧薬品ギルドの建物の内部を改装して使う案が挙がった。
しかし、話があった当日に建物の設計をベル達と協議して決め、3日後に資材が揃い次第、俺が【魔法建築】スキルで建てた。
そもそも、一店舗を任せるという話はもっと準備期間に余裕を以ってなされるものであるはずなのだが、ベルが優秀だから故の今回に限り短期間での無茶振りであると冷たい目をしたベルにルークさんが苦笑いとともに答えた。
【魔法建築】で建てた店舗は地下室と隠し部屋がある3階建て。元々あった薬品ギルドの建物はゴーレム化して建材に再利用。見栄のために使われていたと思しき不要になった貴金属の資材はインゴット化してルークさんに渡そうとした。
しかし、店舗の報酬として受け取るように言われたので、俺は遠慮なくもらった。
店員に関してはメリクリウス商会からベルと馴染みが深い人物達を数人引っ張ってきて、後は定評のある従者ギルドから一先ず短期契約で雇うことに決まっている。
後の店舗に関する細かいことはベルがやることになり、必要に応じて連絡してもらうことになった。
■
ゴンゴンゴンッ
巣穴に設けられた木製扉を手袋をした手でノックし、兎の魔物のモフモバニーは
「うぃ~、どしたもんだろう」
そう富○敬ボイスで言い、扉の傍に備え付けられた郵便受けに寄りかかり、懐から取り出した1本の人参に噛り付いた。
なぜ郵便受けがあるとか、懐の何処に人参をしまっていたかなど、ツッコミ所満載だ。少しして、
「どったの先生?」
扉の中から郵便受けに寄りかかっているモフモバニーと全く同一の顔のモフモバニーが顔を出して、山×勝○ボイスで返答した。
すると、待ち受けていたモフモバニーは扉から顔を出した同族の首根っこを掴んで外に引きずり出して、先制ストレートを放った。
「ヘブッ、やったなこのぉ!」
殴られた方も【魔力開放】をして、反撃。最初は体長1.7m前後の細い体が【魔力開放】に伴って、筋骨隆々とした2m近くの巨体になった2体のモフモバニーによるボイス違いの同キャラ対決の殴り合いの幕が上がった。
この殴り合いも既に2桁を超える回数繰り返し目にした俺にとっては何の感慨もわかない。
店舗の仕事のため今回は同行できなかったベルを除いた飛鳥、クロエ、ケイロン、ルシィも同様だ。
この茶番じみたやりとりは言わずもがな、モフモバニー達にとっては死活問題の巣穴を巡るモフモバニー同士の争いだ。
これまで見てきたこの殴り合いも掛け合う声は入れ替わることはあっても、台詞自体は寸分違わず全く同じだった。
さて、第三者の横槍が入らない様に襲来したモフモバニーは周囲を警戒してしかけたのだが、
「目標捕捉、発射シマス」
モフモバニーの索敵外から放ったケイロンの複数の矢を2体のモフモバニーはそれぞれ両目と口に矢を受け、両目に刺さった矢が脳に到達してあっけなく絶命した。
【空間収納】の機能で2体の亡骸は死因となった矢と共に自動回収された。
遭遇戦を含めて、狩りを始めて2日で発見した巣穴の数は先程のを含めて12。討伐したモフモバニーの数は今しがた倒した2体を含めて35体。
並のBランクの冒険者パーティーで1日に運が良ければ5体確保できればいいという話なので、7日分の数を確保しているから成果としては十分過ぎると言えるだろう。
モフモバニー単体の戦闘能力はギルドの調書によると、【魔力開放】状態で格闘家のAランク冒険者1人分と、かなり強い。実際に俺達は全員1対1で戦ってみたが、確かにその評価に誤りはなかった。
ただ、このモフモバニー、戦闘中に相手を必要以上に煽って挑発してくる。その挑発も下世話なものも少なくなく、ブチ切れた飛鳥とクロエによって、対峙して煽っていたモフモバニーは素材回収ができないミンチにされるか、丸焼きの炭になった。
ルシィが対峙したモフモバニーは頭部だけ跡形もなく回収できない状態になり、俺は【氷魔術】で素材を痛めない様に瞬殺し、ケイロンは無駄口を叩かれる前にその両目と口を弓矢で射抜いた。
その戦闘後に満場一致で、まともに戦うと余計に疲れる獲物と結論付け、索敵外からのケイロンの奇襲狙撃で討伐していく方針に決まった。
今回の様にモフモバニー同士の争いがない場合は俺が作った催涙弾や閃光弾で怒らせて【魔力解放】を使わせて、巣穴から出てきた所をケイロンが狙撃している。
モフモバニーの抹殺はケイロンに任せ、俺達は周囲の索敵と警戒を担当している。というのも、
「はっ!」
「ギャウンッ」
冬越えのために餌を求めて徘徊していたと思しきフォレストウルフの群れとなぜか頻繁に遭遇しているからだ。
狙撃を終えたケイロンは近接戦闘用の装備に切り替えてパーティーの盾役をこなしている。
群れの中の1匹がケイロンではなく仲間を屠っている飛鳥に襲いかかり、彼女に【居合い】で両断され、【空間収納】の中に消えた。
「「「ガゥウウ! ガアアアアッ!!」」」
続いて隙ができた飛鳥に別のフォレストウルフ数匹が襲い掛かるも、
『甘いのじゃ』
クロエの【体術】で、次々に吹き飛ばされ、空中で討伐判定で【空間収納】の中に消えていくか、体勢を立て直した飛鳥に斬り殺されていく。
2人の猛攻でウルフの群れはどんどん数を減らしていくが、別の一団は迂回して前衛の回復と支援をしている後衛の俺に襲いかかってきた。
『主様は私が守ります!』
そう言って、俺の傍にいるルシィは手にした自身の身長の倍以上あるミスリルロングスピアで飛びかかってきたフォレストウルフの群れをまとめて薙ぎ払う。
その一撃で襲いかかってきたフォレストウルフの一団の大半が【空間収納】行きになったが、中には薙ぎ払われた空中で体勢を立て直した数体は地面に着地した。しかし、
『ッ!』
ルシィの間合いの外に着地したフォレストウルフは生き延びることができた。
しかし、一撃後に素早く追撃体勢に入ったルシィが放った【槍術】スキル【乱れ突き】によって、彼女の間合いに着地し、僅かな時間だが硬直してしまったフォレストウルフ達は残らず頭部を貫かれて絶命した。
実際戦闘経験に乏しいルシィが【槍術】でここまで戦えているのは、彼女の槍の師匠であるヘリオスさんと兄弟子にあたるバルガスが真綿の様に教えたことを吸収するルシィに面白がって手合わせをしながら【槍術】スキルを教授したことにある。
群れの大半を倒されたフォレストウルフ達は戦意を喪失して逃走を開始。
過剰討伐による森の生態系への悪影響を考慮し、俺達は生き残って逃亡したフォレストウルフを見逃した。
事前に調べた情報では、フォレストウルフの生息地は襲撃を受けたこの場所よりも北にある。
俺達が今いる場所から北にあるのはかなり離れた位置に、ヒュドラが封印されている一般人立入禁止になっている封鎖地。
そして、以前俺達が豚鬼達を殱滅して、今は旧薬品ギルドと魔術師ギルド所属だった犯罪者達が潜伏している村落跡地がある。
更に、メルキオールを出発するときに北門で、モフモバニー討伐の依頼を受けて北部に向かったBランク冒険者パーティーで依頼の期限を超過しても未帰還のパーティーがいくつかあること。また、北部の村や集落を取引相手にしている行商人が戻ってきていないことから、北に向かう者達に警戒するよう門番から話があった。
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