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第4章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール~北方封鎖地編
第107話 集落でのやりとりも一筋縄ではいかない件
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三猫娘と出会って、ゾンビ達との遭遇戦を終えた翌日。道中は魔物の襲撃もなく、俺達はケイロン馬車に乗って難なく三猫娘の集落に到着したのだが……。
「ここから出せ!」
「卑怯者め! 正々堂々戦え!」
俺達は戦うために集落に来た訳ではないのに本当になにを言っているのやら。
喚く落とし穴の中にいるのは獣人の愚か者共。集落の血の気の多いこの連中が集落の入り口で俺達に武器を向けて襲いかかってきた輩の末路だ。
殺気だった連中はケイロン馬車を目にして、門番の1人が報告のために集落の中に姿を消すと、その場に残っていた門番達と一緒に入り口からぞろぞろと出てきた。
言わずもがな、全員残らず三猫娘の集落の獣人達で、先頭きって出てきた連中はクロネ曰く、集落で知らない者がいない程素行に問題があるらしい。
強奪目的で武器を向けられた以上、この世界の常識では別に皆殺ししまっても問題にならない。しかし、ルークさんから請けたこの集落での仕事に支障をきたす恐れがあるため、馬鹿共が突撃してきたところを俺の放った平◯京エイリアンの術(落とし穴)で襲撃者全員を縦穴式牢獄に招待したのだ。
飛鳥達にOHANASIを任せる訳にはいかないので、集落到着後から終始彼女達には馬車でゆっくりしてもらっている。そうして俺が丁寧に捕らえた囚人共のリーダーから心をポッキリと折って聞き出した俺達の襲撃理由は、予想に違わず、こちらの食糧を強奪するのが目的というのが分かった。
当然、ただでこいつらを解放するつもりはない。集落の責任者の誠意ある判断があるまではこの馬鹿共を解放するつもりは俺にはない。
「……っ! ……!!」
心を折ったリーダーを除き、阿呆共の声があまりに喧しくなったので、【消音領域】で奴等の声を消し、周囲の警戒をケイロンに頼んで、俺は馬車の中に戻った。
馬車内では集落の馬鹿共の醜態に呆れ、クロネは憤慨して荒ぶっていた。そして俺達に頭を下げて謝罪し、クロネは集落の長に直談判してくると、怒り心頭で言い出した。
ちょうどよかったので、道案内をクロネに頼み、行商人の商隊を派遣していたメルキオールの商人ギルドのルークさんから頼まれた仕事、預かっていた集落の長宛の手紙をクロエに持たせて、怒り心頭のクロネに同行させた。
クロエはいつものロリ巨乳メイド姿ではない。ベルと一緒の対外交渉時とたまに俺との<ピー>で使っている長身で妖艶な褐色美女のアダルトモードになっている。
俺が行かなかったのはクロエが立候補し、飛鳥とルシィがクロエを後押ししたからに他ならない。また、馬鹿共の様にメルキオールから逃亡した犯罪者共の所為で人族に対して集落の住人達が過敏になって敵意を向け易くなっていることから、この世界の生物のヒエラルギーのトップ層に君臨している竜の特徴である角と翼と尾を標準装備しているクロエに任せることにした。
クロエと同じ竜であるルシィという選択肢もあった。しかし、ルシィは俺の護衛という立場から俺の傍を離れるつもりはないと頑なに言ったため、クロエに頼むことになった訳である。もっとも、クロエと違って容姿を成長させられないルシィの今の美幼女姿では相手がまともに対応しない恐れがあるから、クロエ(アダルトモード)であれば大丈夫だろう。
「お帰りなさいませ」
「「お帰りなさい」」
クロエとクロネを送り出して、喚く馬鹿をもれなく気絶させた俺が停車している箱馬車に入ると、入り口で待機していたルシィとシロネ、膝の上にモモネを乗せた飛鳥が労ってくれた。
「……んん、……おかえりなさい……」
ご満悦な表情の飛鳥の膝の上で、俺が【異世界電子通販】で出したたい焼きを食べていたモモネは口の中のたい焼きを飲みこんでから、おずおずと飛鳥に続いて労ってくれた。
愛玩小動物を連想させるその姿に騒がしい馬鹿共の相手で少し荒んだ俺の心はほっこり癒された。
「ただいま」
「……ん。主はこっち」
3席3列の最後尾座席には飛鳥とその膝の上に小さな口で一生懸命たい焼きを食べているモモネが座っている。2列目窓際の席に座っているシロネが自分横の中央席をポフポフ叩いて俺に座る様に催促した。
「では私は扉前のこの席に座りますので、主様は中央にお座りください」
そう言って、ルシィが馬車の扉の施錠を確認して着席を促してきたので、断るタイミングを逸した俺は勧められた席に座ることにした。
その傍で、ギルドカードの通話機能を使って、クロエのギルドカードを通し、クロネ達2人と集落の長達との会話を俺は傍聴している。
ルークさんの手紙の内容はヒュドラのメルキオール襲撃の通り道にあるこの獣人の集落への警告とメルクリウス家が統治しているメルキオールの一地区もしくはメルキオール郊外の土地への疎開の提案だ。
流石にヒュドラの名があがって集落の長達は動揺して狼狽して騒ぎだした。しかし、長老の一喝で静まり、返答は3日後に封鎖地の調査を終えた俺達がまたこの集落に立ち寄るまでに出すことで、ひとまずまとまった。
続いて、俺達を襲撃してきた馬鹿共の件では長達から正式な謝罪があり、奴等に厳罰を与えることを魔術契約書で約束させて引き渡すことになった。
血気にはやった馬鹿どもは大半が狩人見習い達で、半人前にも満たない連中だそうだ。今回の件で、狩人から引退して教導役になっていた人物から改めて性根を含めて、全員が1から叩きなおされることになった。
そして、三猫娘達の俺達への同行については彼女達の父親である今の集落の長から、クロネは集落に残る様にという一方的な発言があった。それに加えて、シロネとモモネはどうでもいい、集落の恥さらしといった言葉がクロネの逆鱗に触れ、激しい親子喧嘩に発展した。
更に、話しを聞いていた三猫娘の母親もクロネ側について大規模な家族喧嘩に発展したところで、先代の集落の長であるクロネ達の祖母である長老が息子である集落の長と嫁であるクロネ達の母親を嗜めた。
彼女は俺達の代表としてその場にいたクロエに頭を下げて、改めて三猫娘を俺達に任せると言った。こうしてシロネ、クロネ、モモネが俺達に同行することが正式に決まった。
三猫娘の両親の仲が不味いことになった様だが、外野である俺達が口出しすることではない。夫婦喧嘩は犬も食わないというが、こちらの世界では犬ではなく、悪食である豚鬼や小鬼を使った類似の格言がある様だ。
戻ってきた疲労困憊の様子のクロネの話では、彼女達の母親は夫のシロネとモモネに対するこれまでの行いにいろいろ溜め込んでいたそうで、今回の三猫娘に対する発言でそれが爆発してしまったらしい。
三猫娘達の母親、スズネさんは結婚前は集落一の狩人で、メルキオールの冒険者ギルドに登録していた冒険者だったそうだ。スズネさんはスタイル抜群の成人女性の猫獣人で、猫耳と尻尾を生やした人に近い姿だ。彼女はシロネと違って英傑症候群ではない。
けれども、シロネは武器を使える様になってから集落の慣習で続いている稽古で、既に千回を超える模擬戦で、彼女に勝てた数は片手で足りると言って自身の母を称賛した。
腹ペコで能力がダウンしているとはいえ、その状態でもシロネの戦闘能力は大人のそれを大きく超えている。クロネとモモネの話ではシロネに勝てるのは3人のその母親だけらしい。
スズネさんがいればヒュドラを倒せるかと思うかもしれないが、集落ではヒュドラを傷つけられる武器はない。また、素材不足もあって作りだせない。更にヒュドラの撒き散らす毒の対策も集落はしていないし、できない。残念だが、ヒュドラは対策と対策装備なしで勝てる様な相手ではないので、結局現状の集落の保有戦力だけではヒュドラに蹂躙されてしまう未来しかない。
クロエとクロネが集落の長達との会談を終えて、その場を辞すると、三猫娘の両親の夫婦喧嘩が父親の失言で再開された。クロエ達の安全のために念のため放った使い魔がその様子を中継してくれた。失言の内容は、どうやら父親が不倫をしていたらしい。この世界は一夫多妻制が許容されている世界ではあるが、ちゃんと踏むべき手順と通すべき筋がある。シロネ達の父親はそれを疎かにしていたようだ。とても三猫娘には聞かせられない話だ。
結果、長老のとりなしで三猫娘の両親の離婚が成立し、スズネさんはメルキオールに行くことを決めた。
「ここから出せ!」
「卑怯者め! 正々堂々戦え!」
俺達は戦うために集落に来た訳ではないのに本当になにを言っているのやら。
喚く落とし穴の中にいるのは獣人の愚か者共。集落の血の気の多いこの連中が集落の入り口で俺達に武器を向けて襲いかかってきた輩の末路だ。
殺気だった連中はケイロン馬車を目にして、門番の1人が報告のために集落の中に姿を消すと、その場に残っていた門番達と一緒に入り口からぞろぞろと出てきた。
言わずもがな、全員残らず三猫娘の集落の獣人達で、先頭きって出てきた連中はクロネ曰く、集落で知らない者がいない程素行に問題があるらしい。
強奪目的で武器を向けられた以上、この世界の常識では別に皆殺ししまっても問題にならない。しかし、ルークさんから請けたこの集落での仕事に支障をきたす恐れがあるため、馬鹿共が突撃してきたところを俺の放った平◯京エイリアンの術(落とし穴)で襲撃者全員を縦穴式牢獄に招待したのだ。
飛鳥達にOHANASIを任せる訳にはいかないので、集落到着後から終始彼女達には馬車でゆっくりしてもらっている。そうして俺が丁寧に捕らえた囚人共のリーダーから心をポッキリと折って聞き出した俺達の襲撃理由は、予想に違わず、こちらの食糧を強奪するのが目的というのが分かった。
当然、ただでこいつらを解放するつもりはない。集落の責任者の誠意ある判断があるまではこの馬鹿共を解放するつもりは俺にはない。
「……っ! ……!!」
心を折ったリーダーを除き、阿呆共の声があまりに喧しくなったので、【消音領域】で奴等の声を消し、周囲の警戒をケイロンに頼んで、俺は馬車の中に戻った。
馬車内では集落の馬鹿共の醜態に呆れ、クロネは憤慨して荒ぶっていた。そして俺達に頭を下げて謝罪し、クロネは集落の長に直談判してくると、怒り心頭で言い出した。
ちょうどよかったので、道案内をクロネに頼み、行商人の商隊を派遣していたメルキオールの商人ギルドのルークさんから頼まれた仕事、預かっていた集落の長宛の手紙をクロエに持たせて、怒り心頭のクロネに同行させた。
クロエはいつものロリ巨乳メイド姿ではない。ベルと一緒の対外交渉時とたまに俺との<ピー>で使っている長身で妖艶な褐色美女のアダルトモードになっている。
俺が行かなかったのはクロエが立候補し、飛鳥とルシィがクロエを後押ししたからに他ならない。また、馬鹿共の様にメルキオールから逃亡した犯罪者共の所為で人族に対して集落の住人達が過敏になって敵意を向け易くなっていることから、この世界の生物のヒエラルギーのトップ層に君臨している竜の特徴である角と翼と尾を標準装備しているクロエに任せることにした。
クロエと同じ竜であるルシィという選択肢もあった。しかし、ルシィは俺の護衛という立場から俺の傍を離れるつもりはないと頑なに言ったため、クロエに頼むことになった訳である。もっとも、クロエと違って容姿を成長させられないルシィの今の美幼女姿では相手がまともに対応しない恐れがあるから、クロエ(アダルトモード)であれば大丈夫だろう。
「お帰りなさいませ」
「「お帰りなさい」」
クロエとクロネを送り出して、喚く馬鹿をもれなく気絶させた俺が停車している箱馬車に入ると、入り口で待機していたルシィとシロネ、膝の上にモモネを乗せた飛鳥が労ってくれた。
「……んん、……おかえりなさい……」
ご満悦な表情の飛鳥の膝の上で、俺が【異世界電子通販】で出したたい焼きを食べていたモモネは口の中のたい焼きを飲みこんでから、おずおずと飛鳥に続いて労ってくれた。
愛玩小動物を連想させるその姿に騒がしい馬鹿共の相手で少し荒んだ俺の心はほっこり癒された。
「ただいま」
「……ん。主はこっち」
3席3列の最後尾座席には飛鳥とその膝の上に小さな口で一生懸命たい焼きを食べているモモネが座っている。2列目窓際の席に座っているシロネが自分横の中央席をポフポフ叩いて俺に座る様に催促した。
「では私は扉前のこの席に座りますので、主様は中央にお座りください」
そう言って、ルシィが馬車の扉の施錠を確認して着席を促してきたので、断るタイミングを逸した俺は勧められた席に座ることにした。
その傍で、ギルドカードの通話機能を使って、クロエのギルドカードを通し、クロネ達2人と集落の長達との会話を俺は傍聴している。
ルークさんの手紙の内容はヒュドラのメルキオール襲撃の通り道にあるこの獣人の集落への警告とメルクリウス家が統治しているメルキオールの一地区もしくはメルキオール郊外の土地への疎開の提案だ。
流石にヒュドラの名があがって集落の長達は動揺して狼狽して騒ぎだした。しかし、長老の一喝で静まり、返答は3日後に封鎖地の調査を終えた俺達がまたこの集落に立ち寄るまでに出すことで、ひとまずまとまった。
続いて、俺達を襲撃してきた馬鹿共の件では長達から正式な謝罪があり、奴等に厳罰を与えることを魔術契約書で約束させて引き渡すことになった。
血気にはやった馬鹿どもは大半が狩人見習い達で、半人前にも満たない連中だそうだ。今回の件で、狩人から引退して教導役になっていた人物から改めて性根を含めて、全員が1から叩きなおされることになった。
そして、三猫娘達の俺達への同行については彼女達の父親である今の集落の長から、クロネは集落に残る様にという一方的な発言があった。それに加えて、シロネとモモネはどうでもいい、集落の恥さらしといった言葉がクロネの逆鱗に触れ、激しい親子喧嘩に発展した。
更に、話しを聞いていた三猫娘の母親もクロネ側について大規模な家族喧嘩に発展したところで、先代の集落の長であるクロネ達の祖母である長老が息子である集落の長と嫁であるクロネ達の母親を嗜めた。
彼女は俺達の代表としてその場にいたクロエに頭を下げて、改めて三猫娘を俺達に任せると言った。こうしてシロネ、クロネ、モモネが俺達に同行することが正式に決まった。
三猫娘の両親の仲が不味いことになった様だが、外野である俺達が口出しすることではない。夫婦喧嘩は犬も食わないというが、こちらの世界では犬ではなく、悪食である豚鬼や小鬼を使った類似の格言がある様だ。
戻ってきた疲労困憊の様子のクロネの話では、彼女達の母親は夫のシロネとモモネに対するこれまでの行いにいろいろ溜め込んでいたそうで、今回の三猫娘に対する発言でそれが爆発してしまったらしい。
三猫娘達の母親、スズネさんは結婚前は集落一の狩人で、メルキオールの冒険者ギルドに登録していた冒険者だったそうだ。スズネさんはスタイル抜群の成人女性の猫獣人で、猫耳と尻尾を生やした人に近い姿だ。彼女はシロネと違って英傑症候群ではない。
けれども、シロネは武器を使える様になってから集落の慣習で続いている稽古で、既に千回を超える模擬戦で、彼女に勝てた数は片手で足りると言って自身の母を称賛した。
腹ペコで能力がダウンしているとはいえ、その状態でもシロネの戦闘能力は大人のそれを大きく超えている。クロネとモモネの話ではシロネに勝てるのは3人のその母親だけらしい。
スズネさんがいればヒュドラを倒せるかと思うかもしれないが、集落ではヒュドラを傷つけられる武器はない。また、素材不足もあって作りだせない。更にヒュドラの撒き散らす毒の対策も集落はしていないし、できない。残念だが、ヒュドラは対策と対策装備なしで勝てる様な相手ではないので、結局現状の集落の保有戦力だけではヒュドラに蹂躙されてしまう未来しかない。
クロエとクロネが集落の長達との会談を終えて、その場を辞すると、三猫娘の両親の夫婦喧嘩が父親の失言で再開された。クロエ達の安全のために念のため放った使い魔がその様子を中継してくれた。失言の内容は、どうやら父親が不倫をしていたらしい。この世界は一夫多妻制が許容されている世界ではあるが、ちゃんと踏むべき手順と通すべき筋がある。シロネ達の父親はそれを疎かにしていたようだ。とても三猫娘には聞かせられない話だ。
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