最強の竜種の中でも最弱の緑竜に転生したけど努力と根性で最終進化!いろいろあって朋友の墓守して幾星霜、久しぶりにまったり冒険者生活満喫したい。

剣伎 竜星

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第25話 翡翠竜は不審者の自滅を目撃して、ギルドカードの機能を確認する。

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執務室には5人の先客がいた。内1人は昨日も会っている。冒険者ギルドマスターの補佐をしていた女性職員で、他4人は知らない。

知らない男性4人組の内、3人は黒服で、テーブルに唯一着席している人物を守る様な位置に立っていることから、彼の護衛といった立場なのだろう。

一方、着席している男の外見年齢は大体マリアとファーナ、ミシェラと同じ年代といったところか。彼の容姿は整ってはいる所謂イケメンの部類なのだが、なぜか着ている服は紫一色で完全にこの場で悪い意味で目立っている。その視線は、冒険者ギルドマスターを含め、俺達を完全に下に見て、蔑んでいるのが明らかに分かる露骨なものだった……っ!?

ゴンッバリンッ

着席していた感じの悪い眼鏡青年が突然、気絶して顔面を綺麗な角度で座っていたテーブルの上に落とした。その拍子で、かけていたいかにも高級そうだが、趣味の悪いフレームの眼鏡が割れた。しかし、青年の意識は戻っていない。鼻を強打したからなのか、その鼻から血が流れ出て、テーブルの上に血だまりを作っている。

「「「若様!? 貴様何をした!!」」」

若様と呼ばれた青年が気絶したのを俺がなにかしたと護衛と思しき黒服3人組は異口同音で同じセリフを吐き、腰に佩いていた剣の柄に手を伸ばした。

おいおい、先に仕掛けてきたのはそっちだ。それに人を責めるよりも、その若様の治療を優先すべきじゃないか? そう思うと共に、俺は口端が無意識につりあがっていた。その直後、

「馬鹿野郎! お前ら、握ったその剣の柄から今すぐその手を放しやがれ!! 間違っても、その剣を抜こうとするんじゃねえぞ!!!」

俺の様子に、ユグドラに次いで、気が付いた冒険者ギルドマスターの激しい焦りが含まれた罵声の混じった大きな怒声が青年の護衛達に飛んだ。不意を突いたその罵声に驚いた護衛3人組は体が固まって動きを止めた。

その3人組の様子に俺は半分がっかりしつつ、冒険者ギルドマスターがぎりぎり警告をなんとか間に合わせたことに感心して、俺の中の彼の評価を上方修正した。

「なっ、何を……」

なんとか硬直から脱した3人組のリーダーと思しき輩が声を振り絞って冒険者ギルドマスターへ反論する。どうやら全く自身のいや、自分の剣の状態・・・・に気が付いていない様だ。

「いいから、お前等、さっき俺が言った通り、その手を離してみろ。間違っても、抜く素振りはするなよ? 俺の言った言葉の意味がすぐにわかる」

冒険者ギルドマスターの諭す様なその言葉に従い、3人は手を固く握った剣の柄から離した。

その直後、彼等が握っていた剣の柄はきれいな断面を見せながら、全て甲高い音を立てて床に落ちた。

『ッ!!!?』

状況理解していた俺とユグドラ、冒険者ギルドマスター、気絶して鼻血の池に沈んでいる青年の4人を除いたその場にいた全員が驚きで絶句した。

「……ということだ。お前等がそのままその剣を抜こうとした後に、その鞘の剣と同じ末路を迎えた間抜けな3つの首なし死体がこの場にできるところだったんだ」

俺を一瞥した後、冒険者ギルドマスターは盛大なため息とともにそう3人へ告げた。

「あの、そちらの方の治療をした方がいいのではないでしょうか?」

マリアが自ら作り出した鼻血の池に沈んでいる名の知らぬ青年、バカ様へと心配そうな視線を向けた。

「にゃあにゃあ」
(マリアは優しいわねぇ)

張り詰めた空気が支配していた冒険者ギルドマスターの執務室にユグドラの鳴き声が響いた。

※※※

冒険者ギルドマスターの補佐役の女性職員が手配した冒険者ギルドの職員によって、治療はされたが意識は戻らなかった眼鏡青年と未遂とはいえ、冒険者ギルドマスターという重要人物の部屋で剣を抜こうとした黒服3人は執務室から連行されていった。

「それで、ガウマン、あの気絶した眼鏡だが、あいつはなにをやらかしたんだ? ……いや、応えなくていい」

冒険者ギルドマスターが俺に問いかけ、それを取り消した。

ガウマンがやったのは俺達に無許可・・・でスキル【鑑定】を使用したことだ。

俺には【鑑定】対策として、ステータスの【偽装】以外に【自動迎撃オートカウンター】で【精神攻撃(弱)】と【反射リフレクト】、【説明文テキスト付与】を設定している。

無許可の【鑑定】系スキルの使用は、冒険者界隈はもとより、世間一般において明確な敵対行為・・・・。勝手に手の内や詳細な情報を知られるのだから当然だ。

知るつもりはなかったが、【自動迎撃】の【反射】で発動した【鑑定】によると、ガウマンは常習的な無断鑑定魔で、その被害者の数は4桁を越えている。【鑑定】で得た情報を悪用し、弱みを握り、あくどいことをやっていた。

もっとも、今後は俺が付けた【説明文付与】によって、もうこれまで通りにはいかない。釘を刺すお手紙も意識が戻ったらすぐに渡す様に頼んでおいたから、問題ない。報復しようと行動を起こしたときが奴、奴等の最期のときだ。

それはさておき、いろいろ邪魔が入りまくったので、俺は本題である俺のギルドカードをすぐに渡してくれる様に冒険者ギルドマスターに頼んだ。

「これが冒険者ギルドのCランクのギルドカードだ。身分証以外にもギルドの依頼を受注するときや報酬の受け渡しのときにも使う貴重な魔導具だ。カードに魔力を流すことで、カードの中にある魔石の魔力登録が完了する。それで本人以外は有事の例外を除いて、このカードは使えなくなる。不具合確認のため、早速、この場で魔力を流してくれ」

苦笑いと共に、そう告げたギルドマスターに俺は冒険者ギルドのロゴマークが銀で装飾されている魔鉄製の冒険者ギルドカードをようやく渡された。

俺は言われた通りに魔力を流す……その前に冒険者ギルドカードを【解析】した。

……カードには俺にとって有害で不利益な機能やトラップの類はなく、カードの機能が制限されているということも確認できなかった。

随分前に見本品として俺が・・作った物と全く同じ機能を備えていることに安堵すると共に、改良の余地を数多く残していたのに全く改良が加えられた痕跡すらないことがとても残念だった。

「? おい、どうかしたのか?」

俺の行動と落胆した様子に不審を思ったのか、ギルドマスターが尋ねてきた。

「いや、なんでもない。これでいいのだろう?」

俺は冒険者ギルドカードに魔力を流して、カードの認証登録を完了させた。不具合らしい現象は全く発生せず、問題なく登録は完了。冒険者ギルドマスターと彼の補佐役の女性職員は揃って安堵した様子を見せた。
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