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第一章 異世界への扉
1. 集団転移事件
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俺は村木涼介、高校2年生だ。
今現在死にかけてるところだ。
昨日も徹夜でゲームをしていたせいで寝不足なのだ。
「くぁ…ねみィ」
教室の扉を開け、自分の席に着き、授業の準備を済ませると机に突っ伏した。
ここは進学校というわけでもなく、ただ家から近かったから入ったのだが、特筆するべきところもない平凡な高校だ。
なのだが、1つだけ懸念事項がある。
「おっはよーさーん、よーし全員いるなーHR始めるぞー」
これだ。
予令の前に教室に入ってくる担任教師の室田宗一だ。こいつのせいで幾度となく遅刻扱いをされた者が多くいる。
「廣瀬ー」
「はぁーい」
「保山ー」
「へーい」
奴が名簿を見ながら出席を取っている最中にそれは起きた。
教室の床が神々しく輝いているのである。驚いて顔を上げて周りを見渡すせば、担任を含む全員が困惑した表情を浮かべているのが確認出来た。
恐らくドッキリだろう、なんて考えていると輝きがどんどん増していき、更には揺れまでも発生しだしたことによりヤバいかもしれないという考えが浮かんだところで
「外に出ろ!!!」
と室田が叫んだ。我先にと教室から出ようとするも、
「扉が開きません!!」
と叫びに近い声を響かせたのは学級委員長の宮下朱里。その声を聞き、ドアを蹴破ろうとするものも現れたが、その瞬間に視界が白い光に塗り潰された。
これが、後に集団神隠しとも呼ばれることになる、集団転移事件の始まりである。
どれくらい気を失っていたのか、目を覚ますと他の面々はほとんどが起きている状態だった。
慌てて周囲を見渡すと、豪奢な石造りの壁に垂れ下げられた旗が何枚もあった大きな広間にいる事、そしておよそ日本人とは思えない髪色をしている、恐らく俺達とそう変わらないであろう豪勢なドレスを身にまとった少女や、全身鎧姿の人間が見えているだけで10人はいた。
ここが日本でないことはすぐに分かった。
そしてその少女が口を開いた。
「急にこちらの世界へ呼び出してしまい誠に申し訳ございません。混乱の最中にあられると思いますが、そのままでよろしいので今一つ私の話をお聞きくださいませ」
俺達は黙り込んだ。
それを肯定と捉えた少女は話を始めた。
「お初にお目にかかります。私はこの国『アーデライト神聖王国』の第一王女、ミリア・アグトレイシア・アーデライトと申します。どうぞお気軽に『ミリア』とお呼びくださいませ」
「今回皆様方をこちらの世界へお呼びした目的は、ただひ一つ。『魔王』の討伐にございます。」
俺達が落ち着いた様子を見せ始めたところでミリア王女はまた話し始めた。
俺達の中に『魔王』という心躍る言葉に喜びの表情を見せる者は一定数いた。俺もその一人だし。しかしそうでなく、「帰りたい」と嘆く者も少なからずいた。
その言葉を聞いたのか、
「申し訳ございません。」
という謝罪の言葉と共に深く礼をした。
その状況に驚いたのか、周辺の騎士と思しき者がにわかに浮つきだした。
「姫様、このような者たちに謝罪する必要などありません。」
と、声からすると中年とも取れる騎士の一人が声を発した。
「姫様が話しておられる最中にも関わらず、自分たちの身だしなみを整えようとせず、さらには恭順する態度すら見せない輩に謝罪する必要などありません!!」
恐らく姫様は国でも慕われているのだろう。だからこそそんな態度を取る俺達が許せないのかもしれない。だが俺達はそんな事情なんて知ったこっちゃない。
「この者達はいわば魔王を倒してくれるかもしれない希望の星です。ぞんざいな扱いをすることは断じて許可致しません。」
と、その騎士は強く言われてすごすごと引き下がった。
「お見苦しい姿を見せまして申し訳ございませんでした。これより皆様の初期ステータスの確認へと移りますので大広間へと移動致します。付いて来てくださいませ」
姫様の後ろにある扉を示して歩き出した。
俺達も何がなんだかという風に視線は交わしながらも言葉を発することなく歩き出した。
今現在死にかけてるところだ。
昨日も徹夜でゲームをしていたせいで寝不足なのだ。
「くぁ…ねみィ」
教室の扉を開け、自分の席に着き、授業の準備を済ませると机に突っ伏した。
ここは進学校というわけでもなく、ただ家から近かったから入ったのだが、特筆するべきところもない平凡な高校だ。
なのだが、1つだけ懸念事項がある。
「おっはよーさーん、よーし全員いるなーHR始めるぞー」
これだ。
予令の前に教室に入ってくる担任教師の室田宗一だ。こいつのせいで幾度となく遅刻扱いをされた者が多くいる。
「廣瀬ー」
「はぁーい」
「保山ー」
「へーい」
奴が名簿を見ながら出席を取っている最中にそれは起きた。
教室の床が神々しく輝いているのである。驚いて顔を上げて周りを見渡すせば、担任を含む全員が困惑した表情を浮かべているのが確認出来た。
恐らくドッキリだろう、なんて考えていると輝きがどんどん増していき、更には揺れまでも発生しだしたことによりヤバいかもしれないという考えが浮かんだところで
「外に出ろ!!!」
と室田が叫んだ。我先にと教室から出ようとするも、
「扉が開きません!!」
と叫びに近い声を響かせたのは学級委員長の宮下朱里。その声を聞き、ドアを蹴破ろうとするものも現れたが、その瞬間に視界が白い光に塗り潰された。
これが、後に集団神隠しとも呼ばれることになる、集団転移事件の始まりである。
どれくらい気を失っていたのか、目を覚ますと他の面々はほとんどが起きている状態だった。
慌てて周囲を見渡すと、豪奢な石造りの壁に垂れ下げられた旗が何枚もあった大きな広間にいる事、そしておよそ日本人とは思えない髪色をしている、恐らく俺達とそう変わらないであろう豪勢なドレスを身にまとった少女や、全身鎧姿の人間が見えているだけで10人はいた。
ここが日本でないことはすぐに分かった。
そしてその少女が口を開いた。
「急にこちらの世界へ呼び出してしまい誠に申し訳ございません。混乱の最中にあられると思いますが、そのままでよろしいので今一つ私の話をお聞きくださいませ」
俺達は黙り込んだ。
それを肯定と捉えた少女は話を始めた。
「お初にお目にかかります。私はこの国『アーデライト神聖王国』の第一王女、ミリア・アグトレイシア・アーデライトと申します。どうぞお気軽に『ミリア』とお呼びくださいませ」
「今回皆様方をこちらの世界へお呼びした目的は、ただひ一つ。『魔王』の討伐にございます。」
俺達が落ち着いた様子を見せ始めたところでミリア王女はまた話し始めた。
俺達の中に『魔王』という心躍る言葉に喜びの表情を見せる者は一定数いた。俺もその一人だし。しかしそうでなく、「帰りたい」と嘆く者も少なからずいた。
その言葉を聞いたのか、
「申し訳ございません。」
という謝罪の言葉と共に深く礼をした。
その状況に驚いたのか、周辺の騎士と思しき者がにわかに浮つきだした。
「姫様、このような者たちに謝罪する必要などありません。」
と、声からすると中年とも取れる騎士の一人が声を発した。
「姫様が話しておられる最中にも関わらず、自分たちの身だしなみを整えようとせず、さらには恭順する態度すら見せない輩に謝罪する必要などありません!!」
恐らく姫様は国でも慕われているのだろう。だからこそそんな態度を取る俺達が許せないのかもしれない。だが俺達はそんな事情なんて知ったこっちゃない。
「この者達はいわば魔王を倒してくれるかもしれない希望の星です。ぞんざいな扱いをすることは断じて許可致しません。」
と、その騎士は強く言われてすごすごと引き下がった。
「お見苦しい姿を見せまして申し訳ございませんでした。これより皆様の初期ステータスの確認へと移りますので大広間へと移動致します。付いて来てくださいませ」
姫様の後ろにある扉を示して歩き出した。
俺達も何がなんだかという風に視線は交わしながらも言葉を発することなく歩き出した。
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