2 / 13
第一章 異世界への扉
2.ステータスの事故
しおりを挟む
「こちらになります。担当の者が遅れるとの事なので、今しばらくお待ちください」
移動した先は先程とは打って変わって、少しじめっとした、明らかに使われていない事を示している様な大広間であった。
部屋の中は暗いが、目を凝らせば部屋の中心部には調理実習でよく使われるような大きな石造りの机が置かれており、その上に、透き通るような水晶玉が鎮座しているのも確認出来た。
王女がいなくなった途端にこの場にいる者の殆どの緊張が解れたようだった。
あちこちで軽口を叩いたり、この状況に興奮する者もちらほらと見られた。
(皆も緊張していたんだな)
と思えば、ドッと疲れが押し寄せて来た。
このよくわからない地に召喚されてまだ1時間も経過していないだろう。それでもこの濃密な時間は向こうの世界では味わえないことだと思うと心が躍った。
魔王の討伐、それは自分達一人一人が勇者であること、その事実だけで色々な妄想が捗る。こんな状況になったらああしてやる、なんて考えはもう通用しないだろう。だがそれでも、と思ってしまうのだ。
こんな機会だ、是非とも勇者として華々しい功績を残してやる!!と一人意気込んでいるところで再び王女が姿を現した。
しん、と静まる空気に王女が口を開いた。
「これより皆様方の技能及び職業について鑑定いたします。」
(鑑定なんて言葉、こっちの世界にもあるんだな)
と、1人感心していたが、この言葉に皆一様にそわそわとしだす。
「今から皆様方のステータスを拝見致しますので、一人ずつに個人情報確認用の魔道具である、通称『天職鑑定板』を配布します」
王女の後ろに付いていた騎士たちが一枚一枚手渡しでプレートを渡してくれる。顔は覆われていないが、嫌な顔を見せずにしてくれるあたりいい人達なのかもしれない。
ステータスプレートは手のひらサイズの小さなモノだった。ここにどのような情報が載せられるのか楽しみで仕方がない。
と、王女の横に一人の男性が並んだ。
ガタイも良いし強面だし、恐らく騎士団長とかそっちの人なのだろう。衣服の隙間から見える肌はとても筋肉質でがっしりしている。
「全員に行き渡ったようですので、これからは私ではなく宮廷魔道士第一師団長のグレース・アイザック殿にお任せ致します。ではアイザック殿、よろしくお願いします。」
あれで魔道士とかこの世界の基準どうなってんだ。
「いえいえ、こちらこそやらせていただきますよ。」
と強面の師団長は表情を崩し、ニヘラと笑った。
こっちに向き直ったその人は豪快な笑いと共に自己紹介を始めた。
「ハッ!!俺は宮廷魔道士第一師団長のグレース・アイザックだ。よろしく頼む!!」
なんか熱血タイプなのかなこの人。
「早速始めるからな。……っと、その前にこれを配っておく。」
と、腰につけていたポーチらしき小袋から針を取り出した。
「この針で自分の指を傷つけて血を出せ。そうしたらその血をステータスプレートのどの面でもいいからグリッて押し付けるんだ。そうすれば個人の登録は済むからな!」
と、針が渡ったところで解説を始めた。
クラスの面々も次々と血をプレートに押し付けていく。
チクッとした痛みが指先を刺激したが、それはこれから起こることへの興奮でかき消された。
血をプレートに押し付けると、わずかな間を置いて光りだした。光の強さや色などもまちまちだ。
「おっ…と、なになに…」
表示されたステータスはこんな感じだ。
『
名前:村木涼介
年齢:17歳
天職:狙撃手
筋力:200
魔力:100
耐久力:50
知力:100
器用:150
適正属性:風、雷、無
保持技能:翻訳、精密狙撃Lv.0、旋風Lv.0、放電Lv.0
』
これが正直どういうランクなのかは分からんが、最低ラインは超えただろう。
「大体が自分のステータスの確認を終えたようだし、全員俺に見せてくれや。今後の訓練の参考にしたいからな。」
まあそういうことならと列になり、次々と見せていく。
見せるたびに感心する声が漏れているようで、騎士団ちょ……師団長の視点から見てもステータスのレベルは高いらしい。
やっと自分の番が来たので板を見せると、チョイチョイと耳元で囁かれた。
「お前さん、なんかしたか?」
なんか事故ったらしい。
移動した先は先程とは打って変わって、少しじめっとした、明らかに使われていない事を示している様な大広間であった。
部屋の中は暗いが、目を凝らせば部屋の中心部には調理実習でよく使われるような大きな石造りの机が置かれており、その上に、透き通るような水晶玉が鎮座しているのも確認出来た。
王女がいなくなった途端にこの場にいる者の殆どの緊張が解れたようだった。
あちこちで軽口を叩いたり、この状況に興奮する者もちらほらと見られた。
(皆も緊張していたんだな)
と思えば、ドッと疲れが押し寄せて来た。
このよくわからない地に召喚されてまだ1時間も経過していないだろう。それでもこの濃密な時間は向こうの世界では味わえないことだと思うと心が躍った。
魔王の討伐、それは自分達一人一人が勇者であること、その事実だけで色々な妄想が捗る。こんな状況になったらああしてやる、なんて考えはもう通用しないだろう。だがそれでも、と思ってしまうのだ。
こんな機会だ、是非とも勇者として華々しい功績を残してやる!!と一人意気込んでいるところで再び王女が姿を現した。
しん、と静まる空気に王女が口を開いた。
「これより皆様方の技能及び職業について鑑定いたします。」
(鑑定なんて言葉、こっちの世界にもあるんだな)
と、1人感心していたが、この言葉に皆一様にそわそわとしだす。
「今から皆様方のステータスを拝見致しますので、一人ずつに個人情報確認用の魔道具である、通称『天職鑑定板』を配布します」
王女の後ろに付いていた騎士たちが一枚一枚手渡しでプレートを渡してくれる。顔は覆われていないが、嫌な顔を見せずにしてくれるあたりいい人達なのかもしれない。
ステータスプレートは手のひらサイズの小さなモノだった。ここにどのような情報が載せられるのか楽しみで仕方がない。
と、王女の横に一人の男性が並んだ。
ガタイも良いし強面だし、恐らく騎士団長とかそっちの人なのだろう。衣服の隙間から見える肌はとても筋肉質でがっしりしている。
「全員に行き渡ったようですので、これからは私ではなく宮廷魔道士第一師団長のグレース・アイザック殿にお任せ致します。ではアイザック殿、よろしくお願いします。」
あれで魔道士とかこの世界の基準どうなってんだ。
「いえいえ、こちらこそやらせていただきますよ。」
と強面の師団長は表情を崩し、ニヘラと笑った。
こっちに向き直ったその人は豪快な笑いと共に自己紹介を始めた。
「ハッ!!俺は宮廷魔道士第一師団長のグレース・アイザックだ。よろしく頼む!!」
なんか熱血タイプなのかなこの人。
「早速始めるからな。……っと、その前にこれを配っておく。」
と、腰につけていたポーチらしき小袋から針を取り出した。
「この針で自分の指を傷つけて血を出せ。そうしたらその血をステータスプレートのどの面でもいいからグリッて押し付けるんだ。そうすれば個人の登録は済むからな!」
と、針が渡ったところで解説を始めた。
クラスの面々も次々と血をプレートに押し付けていく。
チクッとした痛みが指先を刺激したが、それはこれから起こることへの興奮でかき消された。
血をプレートに押し付けると、わずかな間を置いて光りだした。光の強さや色などもまちまちだ。
「おっ…と、なになに…」
表示されたステータスはこんな感じだ。
『
名前:村木涼介
年齢:17歳
天職:狙撃手
筋力:200
魔力:100
耐久力:50
知力:100
器用:150
適正属性:風、雷、無
保持技能:翻訳、精密狙撃Lv.0、旋風Lv.0、放電Lv.0
』
これが正直どういうランクなのかは分からんが、最低ラインは超えただろう。
「大体が自分のステータスの確認を終えたようだし、全員俺に見せてくれや。今後の訓練の参考にしたいからな。」
まあそういうことならと列になり、次々と見せていく。
見せるたびに感心する声が漏れているようで、騎士団ちょ……師団長の視点から見てもステータスのレベルは高いらしい。
やっと自分の番が来たので板を見せると、チョイチョイと耳元で囁かれた。
「お前さん、なんかしたか?」
なんか事故ったらしい。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる