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第一章 異世界への扉
6.そこは森で
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俺は走った。
走りに走った。
息が続かなくなって、倒れ込んだりもした。
それでも起き上がって走った。
ただひたすらに、あてもなく走った。
それからどれくらい時間が経ったのだろう。
目を開けると、俺は森の中にいることが分かった。
陽の光が差し込むだけの、その僅かな空間に横たわっていた。あれから逃げ続けて、よく分からん場所に来てしまった。
これからどうするか。
それだけを考えた。
「どうするか、じゃねえ。どうしたいか、だろうが。」
自問自答をするまでには精神が壊れかけていた。
「なんだってこんな目に遭わねぇといけねえんだよ…」
ポツリと呟いたその声はとても弱々しかった。
俺が何をした?何をしたからこんなことになった?
何故?
何故?
何故?
いや、俺は何もしていない。何もしていないのにも関わらず、周りの奴らの手でこんなことになった。
一見するとただの責任転嫁の様に聞こえるが、それを咎める者はいない。
俺の目的は?
(元の世界に帰る事だ)
何のために?
(家族に会うため、友人達に会うためだ)
どうやって?
(まずは魔王とやらをぶっ殺す。それが無きゃあ、何も始まらねえ)
これから何をすればいい?
(そうだな…まずは、)
腹が鳴った。
「飯、食うか」
飯が食いたい。
何か無いのか。
いるじゃねえか。
さっきから俺を見つめてるウサギモドキさん達よぉ。
否応なく口の端が吊り上がる。
持ち物はダガー状のナイフ一本と銀のブツが入った瓶が一本だけ。
「これは割れちゃあいけねえからな」
コートを脱ぎ、瓶を割れないようそっと置く。
と、ウサギモドキは一斉にビクッと体を震わせた。
「隠密『気配薄化』、『身体強化』発動」
ボソッと呟いたそれは効力を発揮し、自分自身の気配を薄め、身体能力の大幅に向上させた。
ウサギモドキ達が俺を見失ったのか、きょろきょろと辺りを見渡す。
「腹減ってるし、さっさと終わらせて飯食うぞこの野郎」
誰に言うでもなく、クラウチングの体勢を取り、そして走り出した。
辺りは樹木の太い根が生い茂っている。それを避けて一撃で決めなければならない。
ゼロに近い体力を振り絞り、目標の獲物へと走った。
「気付いてくれるなよ…ッ!!」
怒声にも近いその言葉を発し終えた頃に、一匹の首元まで近づいた。
「まずは一匹」
ダガーを振り、首を切った。
血飛沫が舞い、少し服に付いてしまった。
(案外簡単に切れるモノなんだな)
だが、次の獲物を狩りに行こうと視線を逸らそうとした瞬間、ウサギモドキ達が妙な動きをした。
攻撃を受けたウサギが仲間に何か合図を送っているのだろうそれが、『俺を置いて先に行け!!』みたいな様子に見えた。
程なくしてそのウサギは絶命したのか動かなくなり、他のモドキ達は身を隠したのか、姿を見失ってしまった。
「何してんだお前」
急速にやる気を失ったので、今日はここまでにすることにした。
ダガーで皮を剥ぎ、内蔵を取り出し肉を切り出す。
当然血抜きなんてことはしない。
持ち技能から『放電』を使用し、肉を焼くと香ばしくも血の匂いが漂ってきた。
少しの間焼き続け、これくらいでいいだろうと肉に齧り付いた。
「え、なにこれうっま」
走りに走った。
息が続かなくなって、倒れ込んだりもした。
それでも起き上がって走った。
ただひたすらに、あてもなく走った。
それからどれくらい時間が経ったのだろう。
目を開けると、俺は森の中にいることが分かった。
陽の光が差し込むだけの、その僅かな空間に横たわっていた。あれから逃げ続けて、よく分からん場所に来てしまった。
これからどうするか。
それだけを考えた。
「どうするか、じゃねえ。どうしたいか、だろうが。」
自問自答をするまでには精神が壊れかけていた。
「なんだってこんな目に遭わねぇといけねえんだよ…」
ポツリと呟いたその声はとても弱々しかった。
俺が何をした?何をしたからこんなことになった?
何故?
何故?
何故?
いや、俺は何もしていない。何もしていないのにも関わらず、周りの奴らの手でこんなことになった。
一見するとただの責任転嫁の様に聞こえるが、それを咎める者はいない。
俺の目的は?
(元の世界に帰る事だ)
何のために?
(家族に会うため、友人達に会うためだ)
どうやって?
(まずは魔王とやらをぶっ殺す。それが無きゃあ、何も始まらねえ)
これから何をすればいい?
(そうだな…まずは、)
腹が鳴った。
「飯、食うか」
飯が食いたい。
何か無いのか。
いるじゃねえか。
さっきから俺を見つめてるウサギモドキさん達よぉ。
否応なく口の端が吊り上がる。
持ち物はダガー状のナイフ一本と銀のブツが入った瓶が一本だけ。
「これは割れちゃあいけねえからな」
コートを脱ぎ、瓶を割れないようそっと置く。
と、ウサギモドキは一斉にビクッと体を震わせた。
「隠密『気配薄化』、『身体強化』発動」
ボソッと呟いたそれは効力を発揮し、自分自身の気配を薄め、身体能力の大幅に向上させた。
ウサギモドキ達が俺を見失ったのか、きょろきょろと辺りを見渡す。
「腹減ってるし、さっさと終わらせて飯食うぞこの野郎」
誰に言うでもなく、クラウチングの体勢を取り、そして走り出した。
辺りは樹木の太い根が生い茂っている。それを避けて一撃で決めなければならない。
ゼロに近い体力を振り絞り、目標の獲物へと走った。
「気付いてくれるなよ…ッ!!」
怒声にも近いその言葉を発し終えた頃に、一匹の首元まで近づいた。
「まずは一匹」
ダガーを振り、首を切った。
血飛沫が舞い、少し服に付いてしまった。
(案外簡単に切れるモノなんだな)
だが、次の獲物を狩りに行こうと視線を逸らそうとした瞬間、ウサギモドキ達が妙な動きをした。
攻撃を受けたウサギが仲間に何か合図を送っているのだろうそれが、『俺を置いて先に行け!!』みたいな様子に見えた。
程なくしてそのウサギは絶命したのか動かなくなり、他のモドキ達は身を隠したのか、姿を見失ってしまった。
「何してんだお前」
急速にやる気を失ったので、今日はここまでにすることにした。
ダガーで皮を剥ぎ、内蔵を取り出し肉を切り出す。
当然血抜きなんてことはしない。
持ち技能から『放電』を使用し、肉を焼くと香ばしくも血の匂いが漂ってきた。
少しの間焼き続け、これくらいでいいだろうと肉に齧り付いた。
「え、なにこれうっま」
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