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第二章 迷宮編
12.オーク
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束の間の休息を愉しんだ涼介は再び先の階層を目指して歩き出した。
途中で幻覚を見せてくる魔物や音波で耳を壊そうと攻撃してくる魔物もいたが、大体一撃で撃ち落とした。
そして階層主をかっ飛ばし、食い、悶え、また次の階層へ行き、休憩がてら武装の改良を行っていたが、後方から多数の気配が近付いて来るのが分かった。
金属スケルトンの亡骸で急いで防壁を建て、ゴツゴツとした迷宮の壁と同化させると気配を全力で遮断し、目を閉じて耳を研ぎ澄ませた。
「はいはい、その話はまた後でな。」
「チェッ」
「んで、あと聞きたいことはあんのか?」
「無いっすよ、アイザック師団長さん」
「やっぱお前バカにしてんだろ」
「いえいえそんな!!」
アイザック師団長?
ああ、あのガチムチの宮廷魔法(物理)使いさんか。
「注意しろよー。この辺は金属のスケルトンがわらわら出てくるからなー………出て来るはずなんだがなぁ…」
「なんすかそいつ、今まで一体も見てませんよ」
ん?
俺が中にいるせいで再湧きしないのか?
だとしたら厄介だな。中に人がいることが多分バレてるし、この階層以降にいることが確定しちまった。
「団長ぉ~これじゃあ訓練になりませんよ~。入ってから一体も見てないんすからね?」
「いや一体はねえぞ。流石に岩陰とかにはちらほら見えたぞ」
(まあ俺も全部の魔物をぶっ殺すわけにもいかなかったからなあ…これが功を奏してくれればいいんだが)
「団長」
「何だ?」
「あれなんなんすか、あれ」
「ん~……?何だありゃ」
気配が近づいて来る。気配を全力で消した。
「こりゃあ、すげえな……壁と同化してやがる、が……つかこいつあの金属の骨共の素材じゃねえか」
やばいバレた。
不味い不味い不味い不味い不味い
手で探って迷宮の壁に“錬金術„をかけたが、あまり上手く反応しない。いや、使えはするが、効き目が薄い。
(早く早く早く早く、早くしろよオラァ!!!こんなところでバレちゃあ逃げだした意味が無くなるだろうがよ!!!)
バレてもいい一心で全力で魔力を注ぎ、“錬金術„をフル稼働させた。
「中で魔力反応だ!!それもでかいぞ!!」
「おいこれ何かの宝か!?それとも卵か!?」
「どっちみち中を見ないと始まらねえ、離れろ!俺が斬る!!」
周辺から人の気配が消え、僅か数瞬の後に膨大な魔力の高まりを感じた。
「魔の始祖よ、光輝なる神よ、我にーー」
人一人分の穴が空いた。
その穴に飛び込むと、また塞ぐ。
そうして塞ぎ切ったと思ったら、轟音が響いた。
「ーーま……!!なッーー!!」
声が遠のく。
再会のチャンスはまだある。
それまでに力をつけていないと何をされるかわからない。
今は逃げろ。
そうして穴を掘り進めると、ボコッと壁が崩れ、空間に出た。
「ここは…何階層だ?そんなに深くはないはずだが…」
円柱をくり抜いたかのような広々とした空間だ。
王城よりも広い。
壁は石レンガの様な材質で構成されており、このゴムの靴底ならば丁度良い足場にもなるだろう。
そんなことを考えていると突然、壁にある灯火に火がボッボッと灯り出した。
何度も見てきた光景だ。
部屋の中心で、見ているだけで気分を害しそうな瘴気をばら撒く怪物が産声を上げた。
耳を劈く程の轟音と衝撃で壁の炎が衝撃で消えかける。
そこには異常に膨らんだ腹と金属の棍棒を担ぐ二足歩行の豚、一般的に『オーク』と呼ばれる魔物が立っていた。
見上げるほどの大きさで、どう考えても単独で攻略するものではない。
「ボス戦かよ……ッ!!」
しかし涼介は腰を落としてカラッツォを構え射撃態勢を取り、不敵な笑みを浮かべながら言葉を吐き捨てた。
「やれるもんならやってみろよクソ豚が!!」
途中で幻覚を見せてくる魔物や音波で耳を壊そうと攻撃してくる魔物もいたが、大体一撃で撃ち落とした。
そして階層主をかっ飛ばし、食い、悶え、また次の階層へ行き、休憩がてら武装の改良を行っていたが、後方から多数の気配が近付いて来るのが分かった。
金属スケルトンの亡骸で急いで防壁を建て、ゴツゴツとした迷宮の壁と同化させると気配を全力で遮断し、目を閉じて耳を研ぎ澄ませた。
「はいはい、その話はまた後でな。」
「チェッ」
「んで、あと聞きたいことはあんのか?」
「無いっすよ、アイザック師団長さん」
「やっぱお前バカにしてんだろ」
「いえいえそんな!!」
アイザック師団長?
ああ、あのガチムチの宮廷魔法(物理)使いさんか。
「注意しろよー。この辺は金属のスケルトンがわらわら出てくるからなー………出て来るはずなんだがなぁ…」
「なんすかそいつ、今まで一体も見てませんよ」
ん?
俺が中にいるせいで再湧きしないのか?
だとしたら厄介だな。中に人がいることが多分バレてるし、この階層以降にいることが確定しちまった。
「団長ぉ~これじゃあ訓練になりませんよ~。入ってから一体も見てないんすからね?」
「いや一体はねえぞ。流石に岩陰とかにはちらほら見えたぞ」
(まあ俺も全部の魔物をぶっ殺すわけにもいかなかったからなあ…これが功を奏してくれればいいんだが)
「団長」
「何だ?」
「あれなんなんすか、あれ」
「ん~……?何だありゃ」
気配が近づいて来る。気配を全力で消した。
「こりゃあ、すげえな……壁と同化してやがる、が……つかこいつあの金属の骨共の素材じゃねえか」
やばいバレた。
不味い不味い不味い不味い不味い
手で探って迷宮の壁に“錬金術„をかけたが、あまり上手く反応しない。いや、使えはするが、効き目が薄い。
(早く早く早く早く、早くしろよオラァ!!!こんなところでバレちゃあ逃げだした意味が無くなるだろうがよ!!!)
バレてもいい一心で全力で魔力を注ぎ、“錬金術„をフル稼働させた。
「中で魔力反応だ!!それもでかいぞ!!」
「おいこれ何かの宝か!?それとも卵か!?」
「どっちみち中を見ないと始まらねえ、離れろ!俺が斬る!!」
周辺から人の気配が消え、僅か数瞬の後に膨大な魔力の高まりを感じた。
「魔の始祖よ、光輝なる神よ、我にーー」
人一人分の穴が空いた。
その穴に飛び込むと、また塞ぐ。
そうして塞ぎ切ったと思ったら、轟音が響いた。
「ーーま……!!なッーー!!」
声が遠のく。
再会のチャンスはまだある。
それまでに力をつけていないと何をされるかわからない。
今は逃げろ。
そうして穴を掘り進めると、ボコッと壁が崩れ、空間に出た。
「ここは…何階層だ?そんなに深くはないはずだが…」
円柱をくり抜いたかのような広々とした空間だ。
王城よりも広い。
壁は石レンガの様な材質で構成されており、このゴムの靴底ならば丁度良い足場にもなるだろう。
そんなことを考えていると突然、壁にある灯火に火がボッボッと灯り出した。
何度も見てきた光景だ。
部屋の中心で、見ているだけで気分を害しそうな瘴気をばら撒く怪物が産声を上げた。
耳を劈く程の轟音と衝撃で壁の炎が衝撃で消えかける。
そこには異常に膨らんだ腹と金属の棍棒を担ぐ二足歩行の豚、一般的に『オーク』と呼ばれる魔物が立っていた。
見上げるほどの大きさで、どう考えても単独で攻略するものではない。
「ボス戦かよ……ッ!!」
しかし涼介は腰を落としてカラッツォを構え射撃態勢を取り、不敵な笑みを浮かべながら言葉を吐き捨てた。
「やれるもんならやってみろよクソ豚が!!」
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