裏アカ男子

やまいし

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閑話 横山春乃②

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 デート当日。
 
 私はいつも通りに起床し朝食取り終えると、顔を洗ってから軽く化粧をし昨夜悩みに悩んで選んだミニスカートに着替える。

 現在の時刻は未だ9時過ぎ。
 今日のデートは15時なので時間には余裕があります。

 よって私はネットで『デートの仕方』について検索することにしました。
 何を隠そう私は男性とデートをしたことが無いのです! まあ、それ以前に男性と遊びに出かけたという記憶がありませんけどね………。

 
 「ふむふむ……なるほどなるほど」

 
 ・待ち合わせは30分前!!
 ・相手を褒める!!
 ・露骨に視線を向けない!!
 ・軽くスキンシップをする!!
 ・こまめな気遣いを忘れない!!

 
 こんなところでしょうか。
 
 しかし……スキンシップについては難しそうですね。何せ可愛くもない女性にスキンシップされて喜ぶ男性なんているはずないですし……。
 ――うん、取り合えず性的な目で見ないように気を付けましょう。男性はそういったことには敏感だと聞きますから。


 と、そんな感じで情報収集をしているとあっという間に家を出る時間になりました。
 
 私は最終チェックのため鏡の前で身だしなみを整えます。……やはりミニスカートは攻めすぎたでしょうか。それに化粧だってこうした方が……。


 「だ、大丈夫だよ私……!! 自信を持って……!! ファイト……!!」

 
 自己暗示で弱気な気持ちを振り払い、私は待ち合わせの場所へと向かいました。
 
 
 
 
 #################################

 
 
 『もう着いちゃいました!えへへ』

 『今は駅前の広場にいます! 服は上が白のシャツで下はチェックのミニスカートを着ています!』
 
 
 予定時刻の30分前、集合場所に到着した私はゆうき君にそのようなメッセージを送りました。
 というのもゆうき君からはまだ何もメッセージが来ていなかったので恐らくまだ到着していないと思ったからです。
 ――単に忘れているだけ……いや、もしかしたら本当はデートなどなく…………。


 ……ダメです、どうにも良くない方に考えてしまいます。
 これが生まれてこの方異性とのデート経験のない処女jkの末路なのでしょうか。


 
 
 「あっ、もしかしてはるのちゃん?」


 私が再びトリップ状態に陥っていると、どこからかそんな声が聞こえてきました。
 ――ついには幻聴まで。
 
 そう悲観しつつも私は声のする方を向きました。どうか幻ではありませんように、と願いながら。
 
 すると……目の前には美少年が、それも形容し難いほどの美青年がいました。
 綺麗な目に、鼻に、口に、髪に…………って、え?! 何このイケメン?!  こんなにかっこいい人見たことないよ?!

 私は心で叫びながらも必死に冷静を装いました。
 動揺したら気持ち悪いと思われてしまいかねませんしね!!


 「は、はい……もしかしてゆうき君ですか……?」

 「うんそうだよ! 今日はよろしくね!」


 私の問いにそう笑顔で答えるゆうき君を見て、顔が熱くなるのを感じました。
 そして同時に今日という日を精一杯楽しもうと思いました。

  
 ………………


 …………

 
 ……

 
 それからというもの、ゆうき君は、私の服装や私自身を可愛いと言ってくれたり、私の話を真剣に聞いてくれたり、買い物で私が迷惑をかけても笑って許してくれたりと、顔だけでなく中身までもがイケメンだと痛感させられました。つまりは控えめに言って…………好きになってしまいました。


 そしてデートの終盤に差し掛かり、二人で夕食を食べ終え雑談をしている時にゆうき君が言いました。
 
 『ホテルに行こう』――と。


 これには流石の私もいくら期待していたとはいえ『男性からホテルに誘われる』なんて事を想定しているはずもなく、言われた当初は冗談を言って性欲が強い女性をからかっているのかな? と呑気なことを考えていました。
 
 しかし店を出て繁華街を進むにつれ、ゆうき君が本気でラブホテルに向かっていることが分かりました。
 え?ドッキリ?と疑った私は悪くないと思います。

 そしてホテルに到着し料金を支払うためにフロントへ行くと、女性店員さんが私たちを見て驚愕しているのが伝わってきました。そりゃそうです。だってゆうき君ほどの美少年が女性とラブホテルに来るという事はなんですから。……恐らく、いえ100%私でも同じ反応をしたでしょう。

 会計を済ませると、そのままあれよあれよと部屋に入りお互いにシャワーを浴びることになりました。
 
 先にシャワーを浴びながら私は、ゆうき君が本気で私なんかと性行為をしてくれると理解し、興奮が収まらないまま体を入念に洗いました。少しでも綺麗だと思ってほしいから。

 そして幾ばくかの時が経ちゆうき君がシャワーを上がって部屋に来ました。
 ……腰にタオルだけの状態で。


 私は何とか冷静になろうと努力しました。ここで襲い掛かれば怖がられてしまうと。
 
 しかし、目の前にいるのは少女漫画の王子様も逃げ出すような美少年、そして同時に優しくてカッコよくて最高な私の好きな人。
 その彼がほぼ全裸でいるのです! それもあり得ないほどの無防備で! 無垢な表情を浮かべて!!


 ――私の中の何かが弾けました。ぐちゃぐちゃにしたい。彼を支配したい、と。


 私はその後すぐさま本能に任せて彼をベッドに押し倒しました。
 軽いキスから深いキス、体を撫でまわし最後にはタオルを奪いとります。

 そして彼の上に跨るとそのまま重なり合い――

 

   ――――目が覚めた時には既に朝日が昇っていました。
 





****
一区切りついたので一旦更新ストップします。
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