7 / 33
月の盗人
04
しおりを挟む
子供というのは罪深いものだ。
こんな風に無邪気に積んできた幼少の頃の罪へ対し、大人になった今、清算を迫られているのかも知れない。
【太陽と月の終わらない恋の歌 月の盗人 4.】
若くして命に限りのある、腕白ながらも聡明な少年は、普段のダヴィッドなら真っ先に助けてやりたいと思う種類の相手だった。
病気の身を押して馬車を乗り継ぎ、一目惚れをした少女に会いに来ようとは、そう誰にでも出来ることではない。
「お願いだよ……少し、話をさせて貰うだけでもいいんだ」
ダヴィッドが答えないでいると、サイモン少年はそう、譲歩のようなものをしてきた。
「俺、何でもするよ」
「そういう問題じゃないんだ、サイモン、君は病院へ戻って安静にする必要がある」
「そうやって死ぬのを待ってろって!? 俺はそんなの嫌なんだ。あ、あんたなら分かってくれると思ったのに!」
「だから──」
と、ダヴィッドが言い掛けたところだ。
うっと肺が詰まったような呻き声を短く上げて、サイモンは咳込んだ。
急いで水を渡すと、サイモンは何とかそれを飲み込んで、しばらく荒い息を繰り返した後に、やっと少しずつ落ち着きを取り戻していく。
同時に、ダヴィッドはサイモンの肩を抱いて、背を軽く撫でた。
先日病院で副院長が彼にそうしていたのを見たからだ。多分、これが彼の症状を少しは和らげるのだろう。
少年の肩は、本来なら大柄に成長しそうな、年のわりに広い骨格を持っていたが、痩せて肉がひどく落ちている。何か深刻な病気なのは確かなようだった。
「とにかく今は戻りなさい」
ダヴィッドが言うと、サイモンは苦悶と落胆の瞳を隠さなかった。
──なんの試練なのか。
少年独特の、純粋ながらも情熱的な瞳に映された自分に、ダヴィッドは苦いものを感じた。
(くそ)
これには弱いのだ……。
今のダヴィッドを形作ったものも、これに似た情熱だった……から、だろうか。
「……明日、あの子を病院へ届けよう」
これが、ダヴィッドの最大の譲歩だ。
「ほ、本当!?」
「ただし、話をするだけだ。君はそれでいいと言ったのを忘れるな」
「分かったよ。勿論だよ、ありがとう!」
「時間もあの子次第だ。彼女が帰りたいと言えば、それでタイム・オーバーになる。勿論、連れも付けておく」
「う、うんっ」
提示された内容は、よくよく考えれば中々厳しいものだったのだろうが、今のサイモンがそれに気付くはずもない。
ダヴィッドの、苦虫を噛んだような渋面さえ気付かず、サイモンは瞳を輝かせて礼を言った。
「ありがとう! 俺、頑張るよっ」
「そんなの、嫌……っ!」
予想通りといえば予想通り──当人のマノンは、ダヴィッドの決定に強く抗議した。
「マノン、ただ見舞いに行って、会話をするだけだ。バトラーも付けておく」
「そ、そんなのじゃなくて……」
結局サイモン少年はあのまま、ダヴィッドが呼びつけた馬車でドロレス小児病院へ帰っていた。
そして夜──。
ダヴィッドがマノンの部屋を訪れ事情を説明すると……案の定、彼女は飴色の瞳を曇らせて嫌悪の情を示した。
「ダヴィッドは……いいの?」
否──それは、嫌悪というよりは傷ついた表情で、ダヴィッドを真っ直ぐに見つめるマノンの瞳は、悩ましいほどに澄んでさえ見えた。震える声は、どこか女の香りさえする。
本当に、一体何の因果だというのか。
『いい』訳がない。
しかしダヴィッドは、明日をも知れぬ少年の小さな願いを無下に出来る人間でもないのだ。
マノンはベッドへ逃げ込んで、口元までシーツを引き上げると、恨めしげな瞳をダヴィッドに向けたまま、黙り通した。
「マノン」
低い、ダヴィッドの声が響いた。
少女用の華奢なベッドは、ダヴィッドが乗ると、ぎしりと音を立てる。
「いい子だから、俺を困らせないでくれ。あの少年は病気なんだ。少しでいい」
「……っ」
ベッドに乗り入れたダヴィッドは、すっと片手を伸ばした。シーツを盾にしていたマノンの耳元へ、骨ばった大きな手が近づき、そっと触れる。
「バトラーがいるから、変な真似はさせない」
「…………」
「お前にも、少し外の世界を知るいい機会だ。そうだろう?」
ダヴィッドの片手は、そのままゆっくりと、マノンの髪へ滑り込んだ。そして、柔らかくウェーブを描いた金糸の髪の隙間を、優しく漉いてゆく。
その感触に、マノンは少しずつ警戒を解き、うっとりと恍惚に似た表情を浮かべ始めた。
これに彼女が弱いのは、ダヴィッドが誰よりも知っている。それを利用するつもりは無かったが、だんだんと懐柔されていく少女の姿に、卑怯な安心を感じたのも……事実だ。
顔を伏せると、マノンは小さく頷いた。
「ん……」
「嫌になったらすぐに帰ってきていい」
「がう、の……」
「?」
「違うの、ダヴィッドが……ダヴィッドが、それを決めたから……」
細い喉から、なんとか絞るように出される声。
少女の心ほど複雑なものはない。そして、最も困るのは、マノン本人さえ自分が何を言いたいのか良く分かっていないことだ。
言いかけた台詞の先を探しながら、ぐずぐずといじけているマノンに、ダヴィッドは深い溜息を吐いて見せた。
「そんなに嫌なら、行かなくてもいいよ。彼にはそう伝えておこう」
するとマノンは顔を上げた。
ダヴィッドの顔をじっと見て、そして小さく首を振る。
「ううん……行く……」
「無理をする必要はないよ」
「平気、だもの」
するするとシーツから手を離して、マノンはダヴィッドの前に対峙した。
──時々、お互いをひどく遠く感じる時がある。
それは意外にも、マノンが大人の様な顔をする時だった。
この、危うい均衡の上に立った微妙な関係を崩されそうな気がして、ダヴィッドの心も自然と硬くなるのだ。マノンもそれを敏感に感じ取る。
「……ダヴィッド、好きよ」
甘い、声を。
ダヴィッドはわざと心にまで届かないようにした。
「知ってるよ」
それだけ言って、ダヴィッドはマノンのベッドから降り立った。
そして、ダヴィッドが出て行って閉まる扉を、マノンは静かに見つめ続けた。
そして深夜近く。
「東の砂漠の王国では、十二の少女はもう結婚をされる御歳だとか」
一人、サロンの安楽椅子で酒を傾けていたダヴィッドの背後から、執事の声がした。
「何が言いたい」
ダヴィッドは振り返らずに答えた。
カツ、カツ……と執事の足音が後ろから近づいてくる。食えない奴だと、ダヴィッドは思った。
背後を取るまで足音など一切響かせなかったくせに、今更、と。
「そんな顔をされるくらいなら、いっそ移住でもなさったらどうです。貴方なら何処でもやっていける。五、六年、異国も悪くないでしょう」
「何の冗談だ」
「私が、冗談を言ったことがありましたか」
しれっとした口調で、執事は言い切った。
ダヴィッドは、少し考えて、皮肉っぽく口の端を上げる。
「無いな……」
「そう、そして、これからも無いでしょう」
「…………」
壁際の淡い明かりだけが、この広々としたサロンに光を落としていた。
高級な家具、異国からの珍しい調度、壁に飾られた大きな絵画たち──実業家としてのダヴィッド・サイデンが築いてきたもの。
どれだけの努力があったか。それだけの血と汗を流してきたか。
常人の想像を絶する世界さえ、嫌と言うほど見てきた。
しかし……。
それでも、それよりも、ずっと……。
「月を盗られて泣くよりは、まだ良いのではないかと、そう思っただけです」
大切なものがこの世にはある──そんな事はとうの昔から分かっていた。
こんな風に無邪気に積んできた幼少の頃の罪へ対し、大人になった今、清算を迫られているのかも知れない。
【太陽と月の終わらない恋の歌 月の盗人 4.】
若くして命に限りのある、腕白ながらも聡明な少年は、普段のダヴィッドなら真っ先に助けてやりたいと思う種類の相手だった。
病気の身を押して馬車を乗り継ぎ、一目惚れをした少女に会いに来ようとは、そう誰にでも出来ることではない。
「お願いだよ……少し、話をさせて貰うだけでもいいんだ」
ダヴィッドが答えないでいると、サイモン少年はそう、譲歩のようなものをしてきた。
「俺、何でもするよ」
「そういう問題じゃないんだ、サイモン、君は病院へ戻って安静にする必要がある」
「そうやって死ぬのを待ってろって!? 俺はそんなの嫌なんだ。あ、あんたなら分かってくれると思ったのに!」
「だから──」
と、ダヴィッドが言い掛けたところだ。
うっと肺が詰まったような呻き声を短く上げて、サイモンは咳込んだ。
急いで水を渡すと、サイモンは何とかそれを飲み込んで、しばらく荒い息を繰り返した後に、やっと少しずつ落ち着きを取り戻していく。
同時に、ダヴィッドはサイモンの肩を抱いて、背を軽く撫でた。
先日病院で副院長が彼にそうしていたのを見たからだ。多分、これが彼の症状を少しは和らげるのだろう。
少年の肩は、本来なら大柄に成長しそうな、年のわりに広い骨格を持っていたが、痩せて肉がひどく落ちている。何か深刻な病気なのは確かなようだった。
「とにかく今は戻りなさい」
ダヴィッドが言うと、サイモンは苦悶と落胆の瞳を隠さなかった。
──なんの試練なのか。
少年独特の、純粋ながらも情熱的な瞳に映された自分に、ダヴィッドは苦いものを感じた。
(くそ)
これには弱いのだ……。
今のダヴィッドを形作ったものも、これに似た情熱だった……から、だろうか。
「……明日、あの子を病院へ届けよう」
これが、ダヴィッドの最大の譲歩だ。
「ほ、本当!?」
「ただし、話をするだけだ。君はそれでいいと言ったのを忘れるな」
「分かったよ。勿論だよ、ありがとう!」
「時間もあの子次第だ。彼女が帰りたいと言えば、それでタイム・オーバーになる。勿論、連れも付けておく」
「う、うんっ」
提示された内容は、よくよく考えれば中々厳しいものだったのだろうが、今のサイモンがそれに気付くはずもない。
ダヴィッドの、苦虫を噛んだような渋面さえ気付かず、サイモンは瞳を輝かせて礼を言った。
「ありがとう! 俺、頑張るよっ」
「そんなの、嫌……っ!」
予想通りといえば予想通り──当人のマノンは、ダヴィッドの決定に強く抗議した。
「マノン、ただ見舞いに行って、会話をするだけだ。バトラーも付けておく」
「そ、そんなのじゃなくて……」
結局サイモン少年はあのまま、ダヴィッドが呼びつけた馬車でドロレス小児病院へ帰っていた。
そして夜──。
ダヴィッドがマノンの部屋を訪れ事情を説明すると……案の定、彼女は飴色の瞳を曇らせて嫌悪の情を示した。
「ダヴィッドは……いいの?」
否──それは、嫌悪というよりは傷ついた表情で、ダヴィッドを真っ直ぐに見つめるマノンの瞳は、悩ましいほどに澄んでさえ見えた。震える声は、どこか女の香りさえする。
本当に、一体何の因果だというのか。
『いい』訳がない。
しかしダヴィッドは、明日をも知れぬ少年の小さな願いを無下に出来る人間でもないのだ。
マノンはベッドへ逃げ込んで、口元までシーツを引き上げると、恨めしげな瞳をダヴィッドに向けたまま、黙り通した。
「マノン」
低い、ダヴィッドの声が響いた。
少女用の華奢なベッドは、ダヴィッドが乗ると、ぎしりと音を立てる。
「いい子だから、俺を困らせないでくれ。あの少年は病気なんだ。少しでいい」
「……っ」
ベッドに乗り入れたダヴィッドは、すっと片手を伸ばした。シーツを盾にしていたマノンの耳元へ、骨ばった大きな手が近づき、そっと触れる。
「バトラーがいるから、変な真似はさせない」
「…………」
「お前にも、少し外の世界を知るいい機会だ。そうだろう?」
ダヴィッドの片手は、そのままゆっくりと、マノンの髪へ滑り込んだ。そして、柔らかくウェーブを描いた金糸の髪の隙間を、優しく漉いてゆく。
その感触に、マノンは少しずつ警戒を解き、うっとりと恍惚に似た表情を浮かべ始めた。
これに彼女が弱いのは、ダヴィッドが誰よりも知っている。それを利用するつもりは無かったが、だんだんと懐柔されていく少女の姿に、卑怯な安心を感じたのも……事実だ。
顔を伏せると、マノンは小さく頷いた。
「ん……」
「嫌になったらすぐに帰ってきていい」
「がう、の……」
「?」
「違うの、ダヴィッドが……ダヴィッドが、それを決めたから……」
細い喉から、なんとか絞るように出される声。
少女の心ほど複雑なものはない。そして、最も困るのは、マノン本人さえ自分が何を言いたいのか良く分かっていないことだ。
言いかけた台詞の先を探しながら、ぐずぐずといじけているマノンに、ダヴィッドは深い溜息を吐いて見せた。
「そんなに嫌なら、行かなくてもいいよ。彼にはそう伝えておこう」
するとマノンは顔を上げた。
ダヴィッドの顔をじっと見て、そして小さく首を振る。
「ううん……行く……」
「無理をする必要はないよ」
「平気、だもの」
するするとシーツから手を離して、マノンはダヴィッドの前に対峙した。
──時々、お互いをひどく遠く感じる時がある。
それは意外にも、マノンが大人の様な顔をする時だった。
この、危うい均衡の上に立った微妙な関係を崩されそうな気がして、ダヴィッドの心も自然と硬くなるのだ。マノンもそれを敏感に感じ取る。
「……ダヴィッド、好きよ」
甘い、声を。
ダヴィッドはわざと心にまで届かないようにした。
「知ってるよ」
それだけ言って、ダヴィッドはマノンのベッドから降り立った。
そして、ダヴィッドが出て行って閉まる扉を、マノンは静かに見つめ続けた。
そして深夜近く。
「東の砂漠の王国では、十二の少女はもう結婚をされる御歳だとか」
一人、サロンの安楽椅子で酒を傾けていたダヴィッドの背後から、執事の声がした。
「何が言いたい」
ダヴィッドは振り返らずに答えた。
カツ、カツ……と執事の足音が後ろから近づいてくる。食えない奴だと、ダヴィッドは思った。
背後を取るまで足音など一切響かせなかったくせに、今更、と。
「そんな顔をされるくらいなら、いっそ移住でもなさったらどうです。貴方なら何処でもやっていける。五、六年、異国も悪くないでしょう」
「何の冗談だ」
「私が、冗談を言ったことがありましたか」
しれっとした口調で、執事は言い切った。
ダヴィッドは、少し考えて、皮肉っぽく口の端を上げる。
「無いな……」
「そう、そして、これからも無いでしょう」
「…………」
壁際の淡い明かりだけが、この広々としたサロンに光を落としていた。
高級な家具、異国からの珍しい調度、壁に飾られた大きな絵画たち──実業家としてのダヴィッド・サイデンが築いてきたもの。
どれだけの努力があったか。それだけの血と汗を流してきたか。
常人の想像を絶する世界さえ、嫌と言うほど見てきた。
しかし……。
それでも、それよりも、ずっと……。
「月を盗られて泣くよりは、まだ良いのではないかと、そう思っただけです」
大切なものがこの世にはある──そんな事はとうの昔から分かっていた。
22
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
追放された養女令嬢は、聖騎士団長の腕の中で真実の愛を知る。~元婚約者が自滅する横で、私は最高に幸せになります~
有賀冬馬
恋愛
「お前のような無能な女、私の格が下がるのだよ」
最愛の婚約者だったはずの王子に罵られ、雨の夜に放り出されたエルナ。
すべてを失った彼女が救われたのは、国の英雄である聖騎士団長・レオナードの手によってだった。
虚飾の社交界では見えなかった、本当の価値。
泥にまみれて子供たちを笑顔にするエルナの姿に、レオナードは心を奪われていく。
「君の隣に、私以外の居場所は作らせない」
そんな二人の裏側で、エルナを捨てた王子は破滅へのカウントダウンを始めていた。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる