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異世界に行こう準備編

準備開始!

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 ミミエルさんの説明が一区切りついたところで、すっかり冷めてしまったお茶を取り替えるために優希が台所へ向かう姿を横目で見ながら、神様も若手の国会議員みたいな事をやってんだなぁ。などと考えていると、優希がお茶を入れ直して説明の続きが始まった、

 「それでは、これからが本題となりますが、皆さんが転移すにあたりお願いしたい事があります」

 ミミエルさんの言葉に三人とも姿勢を正す。

 「先ずお願いしたいのは、この自宅を含め資産を出来るだけ現金化して頂き、転移先の開発、生活費用として使用するため、私がお預かりします。」

 「えっ現金を預けるんですか?」

 あれ?預ける?資産は向こうの通貨に換金するって話じゃなかったけ?

 私の疑問が顔に出ていたのか、ミミエルさんが申し訳なさそうに説明してくれる。

 「大変申し訳ありません。実は皆さんとニエル様とのお話の後、資産を全て換金するすると転移直後の生活に支障が出るのではないかとか、折角購入した不動産が無駄になるのは申し訳ないのでは?などの意見が出まして、急遽変更することになりました」

 準備不足で申し訳ありませんと頭を下げられるので、イヤイヤと三人で顔を上げてもらうようにお願いし、話の続きをお願いする。

 「変更内容として、先ず転移後に使用するお金は状況をみて換金することとします。また、皆さんをサポートするにあたり、入植先の開発が進んでいない状況では特に地球の道具類や燃料などの物資が必要だと考えました。その結果、先程お渡ししたタブレットを使用して、皆さんのリクエストに応じて我々が購入して提供することにしたのです」

 「それはつまり、購入代行サービスみたいな感じですか?」

 なんて付け焼き刃的な。

 「えぇ、その通りです」

 苦笑い混じりにそう言いながら、ミミエルさんはタブレットの中にあるアプリ「ミミエル」をタップし、画面の説明を始める。

 その画面を見ながら優希と雄介は自分たちのタブレットを「へー」だの「ほー」だの言いながら色々と弄っている。

 自分の名前がアプリ名とは・・・まさか、ミミエルさんが買いにくのかな?ちょっと後で聞いてみよう。

 ひと通りの操作方法の説明が終わったところで、転移までのスケジュールの話となり、昼食を挟みながらスケジュールの詳細を詰めていき、マンションの売却状況次第だが、概ね三カ月後を目処に準備を進めていくことになった。

 そろそろ話も尽きてきたところで、最後にと姿勢を正したミミエルさんが雄介に向かって話しかけた。

「雄介さん、この判断が正しいのか今も意見が割れていますが、雄介さんを信じてお話しします。現地には魔物と呼ばれているモンスターが生息しています。入植されるところは結界により魔物が入ることはありませんが、結界を出た先は魔物の巣窟です。そこで、洋一さん、優希さんを守ることを前提に銃器の使用を許可しようと考えています」

 !!

 雄介の顔つきが鋭くなる。

 「それは、どの範囲までの使用が許可されるのですか?」
 「護身用の9ミリ拳銃、89式小銃までとさせていただきます」

 ミミエルさんの真剣な眼差しを真正面から受け止めながら「その話を聞いて正直安心しました。当然、人を傷つけるためではなく、自衛手段として使用させてください」と雄介が答える。

 お互い目を背けることなく、暫くの沈黙のあと、ミミエルさんは微笑みながら「わかりました。よろしくお願いします」と軽く頭を下げられた。

 多分、あの沈黙に各々の気持ちが入っているのだろう。
 成長した息子をみてちょっと誇らしく思った。


 それからの三カ月はマンションの売却から、優希、雄介の退職(除隊?)、友人や親類への挨拶周り(海外移住として話した。)をしたり、それぞれ必要と思われる書籍の購入や勉強などを行いながら過ごした。

 ホント、あっという間だったなぁ。
 
 そして今、我々はミミエルさんと一緒にとある峠道に車で来ている。
 今夜いよいよ転移をするのだ。

 「それでは当初の予定通り、旅行途中に不慮の事故で亡くなった事として、転移していただきます。ご準備はよろしいですか?」

 私は優希と雄介をみて、二人が頷くのを確認した。

 「大丈夫です。ミミエルさん、今までありがとうございました。」

 「いえいえ、これからが本番です。至らない点がこれからもあるでしょうが、これからもよろしくお願いいたします。」

 ミミエルさんとの挨拶を終えたところで、それでは始めますとミミエルさんが言ったところで意識が暗転した。
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