定年退職後の生活は異世界でした

青山ねこまる

文字の大きさ
7 / 71
異世界に行こう準備編

ミミエルさんの説明

しおりを挟む
  「洋一さんは、ニエル様の神気に当てられた感じですね。暫くすれば落ち着いてくるはずですのでお気になさらなくて大丈夫ですよ」

 おいおい、何を言っているんですか。
 私は二人が何を言っているか意味がわからず、ポカンとしてしまう。

 「ね、あなた、今どんな格好しているかわってる?」

 優希の言葉を聞いて、跪いている自分も姿にハッとなった。
 どうやら私は無意識のうちに、ニエル様へ感謝のお祈りを開いていたみたいだ。
 因みに、昨晩から食事の度にお祈りをしていたらしい。

 まぁ、だから何だという話なんだが。

 「それだと、俺や母さんはどうしてオヤジみたいにならないんですか?」
 
 優希と雄介が不思議そうにミミエルさんに聞いてくる。

 「それは多分、昨晩の様な状況に免疫があるか無いかの違いかと思います。」
 「因みにお二人は異世界系のお話や、ファンタジー物がお好きなのではないですか?」

 えぇ、と優希が頷き、若い頃から大ファンで雄介をその道に仕込んだのも自分だと言う。

 知らんかった。

「洋一さんはいかがですか?」

 ミミエルさんが私に尋ねてくる。

 「えっ私ですか? そうですねぇ、推理物や時代劇物の小説が好きでよく読んでいますが、SFやファンタジー物は全く読んだ事がないです」

 要は知識として知っているかどうかで、影響の度合いが違う可能性があるということだった。

 そこから、ミミエルさんが今回の転移の招待に至るまでを色々と教えてくれた。

 要約すると、地球を含むこの世界は、技術面、文化面において、他の世界と違い、相当高いレベルにあるらしく、ここまで進化しているケースは滅多にない事から、若手の神様達のモデルケースとして推奨されたことで、若手の神様達による研修会が発足。

 発足後、現地視察(主に食べ歩きらしい)を行なっている途中、偶然発生した事故で、日本人青年がある若手神様の世界に巻き込まれる事件が発生。

 その青年に対し、お詫びとして色々な力を与えたところ、青年は食事や娯楽などに多大な影響を与たという事例が発生。
 
 その後も似たような事例が何件も発生したことで、「困った時は日本人に来てもらおう」が、今若手の神様界で一代ブームとなっている。
 
 ベリニアの創造神であるニエル様も、このブームに乗り遅れてはいけないと考え、何をやっても進歩しないベリニアの文化レベルを底上げを狙って、一挙に日本人入植者を募って、日本人村を作ってしまおうと考えたそうだ。

 そして出来たのが『ベリニア開拓村支援センター』であり、募集第一号が我々山田一家なのだそうだ。

 因みに、入植者を堂々と募集するのはニエル様が初なので、色んな意味で注目されているらしい。

 「という訳で、我々も手探り状態で進めていますので、気になる事があれば何でもおっしゃって下さいね」

 ミミエルさんは一通り話した後、冷めてしまった紅茶を一口飲んで喉を潤していた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~

ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。 異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。 夢は優しい国づくり。 『くに、つくりますか?』 『あめのぬぼこ、ぐるぐる』 『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』 いや、それはもう過ぎてますから。

処理中です...