シールドランド物語 第一部 カタ=リナの少女

第二章

第二章第二節 武闘会一日目2

武闘会の舞台で見せた圧倒的な勝利の後、リザ男は選手控え室へと足を進めた。彼の心は戦いの余韻に浸りながらも、次の挑戦への準備に早くも向かっていた。闘技場の外周では、リス蔵が彼の帰りを待っていた。彼女の顔は喜びに満ちており、リザ男の左腕に抱きつきながら歓声を上げた。「とても素晴らしかったです、我が君。本当に、もう優勝は間違いありません！」

その時、彼らの会話に割って入ったのはゼファーだった。「それはありえぬ。優勝は我がいただく」と断言し、彼はリザ男とリス蔵の仲の良さに皮肉を込めた。「リザ男よ、いつもそこなリスと仲睦まじくしておるな。お主男色の気もあったか。」

リザ男はニヤリと笑みを浮かべ、「想像に任せよう。そろそろ出番だな」と軽く返した。彼の表情は冷静そのもので、ゼファーの挑発に動じる様子はなかった。ゼファーもまた、自信満々に「ああ、瞬く間に終わらせて見せよう。貴様以上にな」と宣言し、闘技場へと向かった。

そして、ゼファーの試合が始まった。彼は闘技場に立ち、対戦相手を睨みつける。観客の息をのむ中、ゼファーは静かに、しかし確かな自信を持って前へと歩み出る。その瞬間、彼の双手にはすでに小ぶりな片手斧が握られていた。ゼファーは一歩ごとにその存在感を増し、闘技場の空気さえも彼の意のままに操っているかのようだった。

対戦相手が攻撃を仕掛けると、ゼファーはそれを軽くかわし、反撃の態勢に入る。そして、全ての観客の目が彼に注がれていることを知りながら、ゼファーは獲物を捉える猛獣のように、片手斧を振り上げた。その斧が一閃すると同時に、対戦相手は力なく倒れ込んだ。その一撃は、まるで雷鳴のような轟音を伴い、瞬く間に決着をつけた。

観客たちは息を呑み、次の瞬間、ゼファーの圧勝に対して大歓声を上げた。彼の勝利は宣言通りであり、その戦いぶりは、まさに圧倒的な強さの証だった。ゼファーが片手斧を空に掲げると、その光景はまるで勝利の神が降臨したかのように闘技場を支配した。

リザ男は、ゼファーの試合を遠くから見つめながら、彼の強さを改めて認識した。リス蔵もまた、その場に立ち尽くし、ゼファーの勝利に感嘆していた。この試合は、ゼファーがただの戦士ではなく、武闘会での主要な競争相手であることを明確にした。