シールドランド物語 第一部 カタ=リナの少女

第二章

第二章第六節 勝利

リザ男は、勝利の余韻を引きずりながらも、敗れたグランド・ガルドに対して武人としての礼節を尽くした。「さあ、ゆくぞ。我らの役目はこれで終わりだ。速やかに舞台から降りることこそ武人の務め」と彼は言い、グランドの肩を優しく叩く。

しかし、グランドは頑固にその申し出を拒否した。「ぬかせ。これしきの傷、自分で歩ける」自らのプライドを守ろうと彼は言ったが、それでもリザ男は静かに、しかし確固たる意志をもって応えた。「我が槍、過たずお主の太ももを貫いた。後日の再戦を考えれば、一刻も早く医師の手当を受ける方がよかろう。他を圧倒するお主の雄々しき姿を今一度見たいと思うものは多いはず。彼らのためにも、今我が肩を借りるのは恥とはならぬ。我らは、正々堂々戦った好敵手なのだから」

この言葉に、グランドはついにリザ男の意見に折れた。自分の誇りと、これからの戦いに向けた責任感を胸に、彼はリザ男の提案を受け入れる。舞台を去る二人の姿に、観客たちは感動し、割れんばかりの拍手を送った。二人の戦士が共に歩む姿は、勝敗を超えた武人の誠実さと尊厳を象徴していた。

その瞬間、リザ男とグランド・ガルドの間に生まれた絆は、ただの対戦者以上のものとなり、互いに深い尊敬の念を抱くようになった。リザ男の行動は、彼がただの戦士ではなく、真の武人の理想を体現していることを示していた。