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第1章:剣と風、二人の旅路
02.崩れた橋と土木の勇者
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「エルフィーナって呼んでちょうだい」
「エルフィーナ、助けてくれてありがとう」
ふと横を見るとあのバカでかいイノシシの死骸が転がっていた。急所を一突きされたようで、ピクリとも動かない。もしかしたら神経締めされたのかも?しかし不思議なことに血が一滴も垂れていない。まるで傷が高音で焼き切られたようだ。
しかし今はそんなことどうでもいい。ただひたすらに、俺の命を救ってくれた恩人に感謝の意を伝えるべきだ。
「別にっ!アンタのためじゃないんだからね!」
「………は、はぁ」
今はっきりとわかった。エルフィーナ・アーシェはツンデレキャラに違いない。しかも相当だ。なんというかアニメのキャラクターをそのまま学習したような感じだ。高校生くらいだったら問題無かったはずだが、彼女……
多分二十代後半って所だ。
これが噂に聞く『キツイ』か。
「あなた、冒険者なの?」
「え?あぁ、はい───」
「本当!?じゃあ付いてきなさい!」
随分と唐突だな。それにまだ「はい」と言ったわけじゃない。配管工と言おうとしたんだが、勘違いされてしまったようだ。俺が冒険者?出来るわけないな。
剣とかを振り回したのは、中学か高校の時の授業で竹刀を振り回したのが最後だ。そんなのが冒険者になれるわけないな。
とりあえず俺は言われるがままにエルフィーナに連れていかれた。イノシシは放置するのだろうか?聞いてみたところ仕事を終わらせたら村人を連れて持っていくそうだ。
「ようこそ!ルティエル村へ!」
エルフィーナは俺に向かって元気よく言った。しかし村はまだ遠くにある。村に到達するためには巨大な川を横断する橋を越えなければならない。しかし……
橋は中央から崩壊していた。吸い込まれそうな大穴を開けて、獲物が近寄るのを待つナマズのような佇まいだ。人も、馬車も、何もかもが吸い込まれては流されそうだ。
「その……橋が壊れてるんだが」
「そうよ、だから冒険者のあなたに直してもらうの」
「ちょっと待て」
いやいや、冒険者をなんだと思ってるんだ。普通あれだろ、モンスター討伐して、クエストとかも受注して、結果的に魔王を倒すそんな感じのいわゆる傭兵じゃないのか?
「昔来た冒険者さんは橋を直してくれたわよ。冒険者ってみんなそうじゃないの?」
「それはその人が特殊なだけだろ!」
エルフィーナ、そんな顔をしないでくれ。俺が今まで見た中で一番驚いてる顔だぞ。まるで、地球は太陽の周りを回っていると初めて知った人みたいじゃないか。
「しかしまぁ……幸いなことに俺は橋を作れる」
そう、俺は配管工時代に大量の資格を取った。コンクリート技師、ボイラー技師、フォークリフト運転技能者、高圧ガス技能士、数え始めるとキリがない。
もちろん橋を作るときに役立つ土木施工管理技士の資格も持っている。
「何人かの協力があれば……多分日暮れには修復が完了するだろうな」
エルフィーナは目を輝かせながら橋へ向かって走り出した。大穴が見えた刹那、空気を踏んで飛び上がる。踏めるようなものは何も無かったが、目に見えない不思議な魔法を使ってジャンプしたようだ。
いやみんなそれ使えるなら別に橋直さなくてよくないか?
とにかく、彼女は五分と経たないうちにに男手を連れてきた。一人一人手を繋いで、橋をジャンプするのを繰り返した。いや非効率だな!
眺めていると屈強な男たちが俺の前に集まった。こうして見ると、土方たちが集まった時を思い出す。
「えーこちらが橋を作れるっていう………名前なんだっけ?」
異世界転生した時、俺は真っ先に考えることがある。
それは名前だ。さっきのエルフィーナのように、日本ではまず見ないがありふれた世界だ。となると「加藤匠です」と名乗ったらなんか変な名前扱いされるのは火を見るよりも明らかだろう。
じゃあカタカナネームにすればいいのでは?我ながらいいアイデアだ。
「タクミです」
俺は阿呆だ。ただ漢字をカタカナに変えただけじゃないか。
そこのスキンヘッドのオッサン!うんうん、って感慨深く頷くのは何故だ!
「タクミは橋を作れるそうだ。俺に任せれば一晩ですごい橋を作ってやるぞ~って豪語してた」
「おお!それは頼りになりますね。我々をどう使いこなしてくれるか」
言ってないが、勝手に話を盛るんじゃない。
職人達も揃いに揃って俺を羨望の眼差しで眺めてる。デパートのおもちゃコーナーに居座ってる子供か?
しかしまぁ、そんなことは後回しにするとして、今は状況把握を優先するとしようか。ここでの文明レベル、道具の水準を測るとしようか。
「とりあえず道具を見せてくれ」
「その……まず剣を下ろしてもらえないか!」
「えっ?」
嘘偽りなく今気づいた。俺はずっと右手に聖剣を握りしめていた。これくらいの大きさの剣なら相当な重さがあるはずだというのに、全くと言っていいほど重さを感じない。
「あ、あぁすまない」
俺は剣を地面にそっと置いた。ずっと剣を見て怖がっていたかもしれないと考えると良心が痛む。さて、今度こそ本題に入るとしようか。
ノコギリ、ナタ、ハンマーと釘、他ある程度の道具は揃っている。ノギスのような文明の利器は無かったが、聞いてみたところ魔法で長さを測れるらしい。なんて便利な世界なんだ。
「それじゃあ作業に移行するとしようか!」
手始めに橋を作るための材料となる木を切る。俺がノコギリで汗水垂らしながら木を切っていると、エルフィーナは微笑を浮かべた。そして木の幹に軽く触れると何やら呪文を唱えて切り倒した。物体を切断する魔法だと言っていたが、まさかここまで切れ味が良いとは……
というかそんな便利な魔法があるなら最初から使ってくれ。
「よし、木は集まったな」
丸太が束のように集まっている。ものの数分でここまで集まったのは、正直俺としても驚きだ。現代の科学技術ですらも到底ここまで及ばないだろう。科学が魔法に敗北した瞬間、とでも言っておこうか。
板材に加工するのはもっと簡単だった。エルフィーナが五本の指を丸太に押し当てて、そのまま勢いよく手を振り下ろした。丸太は繊維方向に割れ、六枚の板材があっという間に出来上がった。
俺も教えてもらおうと、どうやって割ったのか聞いたが、なぜかエルフィーナは答えてくれない。ただニコニコしながら板材を運ぶだけだった。
「とりあえず板材は大量に集まったな、それじゃあ橋の修復作業に入るぞ!」
職人たちはハンマーを青空に向かって掲げた。ちょっと待てよ、これじゃあまるで蛮族が雄叫びを上げる場面じゃないか。誰も知らない旅人からしたら、これから橋を越えて村を襲いに行く略奪者にしか見えないぞ?
「タクミ!どうすればいい!」
「まずは水面付近に支えを作る。そしたらその支えの上にアーチ状の橋を架けるんだ」
あれ、俺何か変なミスでもしたか?支え作ってその上に架けるのであってるよな?
「そんな方法、俺たちは知らないぞ」
「そうだそうだ。大体、俺らがするのは穴が空いた場所の修理だろう?」
もしかしたら、俺は案外この世界でも上手くやっていけるのかもしれない。無双、とまではいかないかもしれないが少なくとも食うことに困ることはないだろう。
「俺を信じてみろ、必ずいい橋になるさ」
ほとんど支柱の無い橋、逆に何故今まで壊れなかったのかが不思議なくらいだ。これも魔法でサポートしているおかげか?
それはいい、手始めに支えを作るとしよう。
「タクミ!アンタもしもミスしたら許さないからね!」
プレッシャーだ……しかも絵に描いたようなツンデレキャラだから結構、心にくるものがある。なんというか今にも胸焼けしそうだ。
顔は大人のお姉さんで、本当に絶世の美女だ。素の状態は可愛いのだが、一度ツンデレキャラのスイッチが入ると共感性羞恥でこっちも恥ずかしくなってくる。
「そこ、板をもう一枚追加!そっちは釘たくさん使って頑丈に!」
あれやこれや指示を出していると、なんだか喉が渇いてくる。
暑いな、と呟いて周りを見ているとエルフィーナが水筒を手に持っていた。グイッと俺の方に押し付けると、
「別にアンタのために用意してたわけじゃないんだからね!ただ偶然その辺に転がってただけなんだから!」
痛い。
いや、もしかしたらこのキャラ設定はこの世界の流行り的なものなのか?適当な職人に聞いてみるとしよう。
「エルフィーナのあれって、元から?それとも何か……流行りみたいな」
「あれね……最近の流行だ~とか言いながらああやってツンツンしてはデレを見せるけど、大流行したの俺がガキの頃だったんだよな」
四十代半ば、大体俺と同じくらいの歳の職人がそう教えてくれた。この世界では時代遅れのツンデレキャラ……そういえば、エルフは長命だと聞いたことがあるから、三十年くらい前を最近と言ってもおかしくはないか。
いややっぱりおかしいかも。
「それじゃあ支えを川に架けるとしようか、全員で持つぞ!」
すごく重い。魔法があればこんな重い支えも軽々と持ち上げられるのだろう。エルフィーナの方を見ると、木の幹を枕の代わりにしながら寝ている。残念ながら魔法の手助けは期待出来なさそうだ。
「架けたぞー!」
「ついに橋は元通りだ!」
「いやまだこれからだぞ」
まだ太陽が少し傾いたくらいだ。大体午後二時ってところか。お祭りムードになっている職人たちを正気に戻すと、俺はエルフィーナのところへ向かった。
「えっなになに、もう終わったの?」
これから宴会でも始まりそうな騒ぎを聞いてエルフィーナはすぐ目を覚ました。今回ばかりはエルフィーナの助けが必要になりそうだ。
ついさっき、橋の状態を確認するために橋の下を覗き込んだ。正直思い出したくもないあの光景、大量のフジツボみたいなものがビッシリと橋の下を覆い尽くしていた。
「というわけで、橋の下を風で一掃してもらえないか?」
「嫌に決まってるでしょそんな虫の処理なんて!もし私の方に飛んできたらどうするのよ!」
確かに一理ある。というかめちゃくちゃに同意する。風の魔法を使えば簡単に一掃出来るだろうが、もしもそれが自分の方に向かって落ちてくるとしたら………
想像もしたくない。
「で……でも!別に街のためならやってもいいんだからね!」
案外チョロいエルフかもしれない。
「エルフィーナ、助けてくれてありがとう」
ふと横を見るとあのバカでかいイノシシの死骸が転がっていた。急所を一突きされたようで、ピクリとも動かない。もしかしたら神経締めされたのかも?しかし不思議なことに血が一滴も垂れていない。まるで傷が高音で焼き切られたようだ。
しかし今はそんなことどうでもいい。ただひたすらに、俺の命を救ってくれた恩人に感謝の意を伝えるべきだ。
「別にっ!アンタのためじゃないんだからね!」
「………は、はぁ」
今はっきりとわかった。エルフィーナ・アーシェはツンデレキャラに違いない。しかも相当だ。なんというかアニメのキャラクターをそのまま学習したような感じだ。高校生くらいだったら問題無かったはずだが、彼女……
多分二十代後半って所だ。
これが噂に聞く『キツイ』か。
「あなた、冒険者なの?」
「え?あぁ、はい───」
「本当!?じゃあ付いてきなさい!」
随分と唐突だな。それにまだ「はい」と言ったわけじゃない。配管工と言おうとしたんだが、勘違いされてしまったようだ。俺が冒険者?出来るわけないな。
剣とかを振り回したのは、中学か高校の時の授業で竹刀を振り回したのが最後だ。そんなのが冒険者になれるわけないな。
とりあえず俺は言われるがままにエルフィーナに連れていかれた。イノシシは放置するのだろうか?聞いてみたところ仕事を終わらせたら村人を連れて持っていくそうだ。
「ようこそ!ルティエル村へ!」
エルフィーナは俺に向かって元気よく言った。しかし村はまだ遠くにある。村に到達するためには巨大な川を横断する橋を越えなければならない。しかし……
橋は中央から崩壊していた。吸い込まれそうな大穴を開けて、獲物が近寄るのを待つナマズのような佇まいだ。人も、馬車も、何もかもが吸い込まれては流されそうだ。
「その……橋が壊れてるんだが」
「そうよ、だから冒険者のあなたに直してもらうの」
「ちょっと待て」
いやいや、冒険者をなんだと思ってるんだ。普通あれだろ、モンスター討伐して、クエストとかも受注して、結果的に魔王を倒すそんな感じのいわゆる傭兵じゃないのか?
「昔来た冒険者さんは橋を直してくれたわよ。冒険者ってみんなそうじゃないの?」
「それはその人が特殊なだけだろ!」
エルフィーナ、そんな顔をしないでくれ。俺が今まで見た中で一番驚いてる顔だぞ。まるで、地球は太陽の周りを回っていると初めて知った人みたいじゃないか。
「しかしまぁ……幸いなことに俺は橋を作れる」
そう、俺は配管工時代に大量の資格を取った。コンクリート技師、ボイラー技師、フォークリフト運転技能者、高圧ガス技能士、数え始めるとキリがない。
もちろん橋を作るときに役立つ土木施工管理技士の資格も持っている。
「何人かの協力があれば……多分日暮れには修復が完了するだろうな」
エルフィーナは目を輝かせながら橋へ向かって走り出した。大穴が見えた刹那、空気を踏んで飛び上がる。踏めるようなものは何も無かったが、目に見えない不思議な魔法を使ってジャンプしたようだ。
いやみんなそれ使えるなら別に橋直さなくてよくないか?
とにかく、彼女は五分と経たないうちにに男手を連れてきた。一人一人手を繋いで、橋をジャンプするのを繰り返した。いや非効率だな!
眺めていると屈強な男たちが俺の前に集まった。こうして見ると、土方たちが集まった時を思い出す。
「えーこちらが橋を作れるっていう………名前なんだっけ?」
異世界転生した時、俺は真っ先に考えることがある。
それは名前だ。さっきのエルフィーナのように、日本ではまず見ないがありふれた世界だ。となると「加藤匠です」と名乗ったらなんか変な名前扱いされるのは火を見るよりも明らかだろう。
じゃあカタカナネームにすればいいのでは?我ながらいいアイデアだ。
「タクミです」
俺は阿呆だ。ただ漢字をカタカナに変えただけじゃないか。
そこのスキンヘッドのオッサン!うんうん、って感慨深く頷くのは何故だ!
「タクミは橋を作れるそうだ。俺に任せれば一晩ですごい橋を作ってやるぞ~って豪語してた」
「おお!それは頼りになりますね。我々をどう使いこなしてくれるか」
言ってないが、勝手に話を盛るんじゃない。
職人達も揃いに揃って俺を羨望の眼差しで眺めてる。デパートのおもちゃコーナーに居座ってる子供か?
しかしまぁ、そんなことは後回しにするとして、今は状況把握を優先するとしようか。ここでの文明レベル、道具の水準を測るとしようか。
「とりあえず道具を見せてくれ」
「その……まず剣を下ろしてもらえないか!」
「えっ?」
嘘偽りなく今気づいた。俺はずっと右手に聖剣を握りしめていた。これくらいの大きさの剣なら相当な重さがあるはずだというのに、全くと言っていいほど重さを感じない。
「あ、あぁすまない」
俺は剣を地面にそっと置いた。ずっと剣を見て怖がっていたかもしれないと考えると良心が痛む。さて、今度こそ本題に入るとしようか。
ノコギリ、ナタ、ハンマーと釘、他ある程度の道具は揃っている。ノギスのような文明の利器は無かったが、聞いてみたところ魔法で長さを測れるらしい。なんて便利な世界なんだ。
「それじゃあ作業に移行するとしようか!」
手始めに橋を作るための材料となる木を切る。俺がノコギリで汗水垂らしながら木を切っていると、エルフィーナは微笑を浮かべた。そして木の幹に軽く触れると何やら呪文を唱えて切り倒した。物体を切断する魔法だと言っていたが、まさかここまで切れ味が良いとは……
というかそんな便利な魔法があるなら最初から使ってくれ。
「よし、木は集まったな」
丸太が束のように集まっている。ものの数分でここまで集まったのは、正直俺としても驚きだ。現代の科学技術ですらも到底ここまで及ばないだろう。科学が魔法に敗北した瞬間、とでも言っておこうか。
板材に加工するのはもっと簡単だった。エルフィーナが五本の指を丸太に押し当てて、そのまま勢いよく手を振り下ろした。丸太は繊維方向に割れ、六枚の板材があっという間に出来上がった。
俺も教えてもらおうと、どうやって割ったのか聞いたが、なぜかエルフィーナは答えてくれない。ただニコニコしながら板材を運ぶだけだった。
「とりあえず板材は大量に集まったな、それじゃあ橋の修復作業に入るぞ!」
職人たちはハンマーを青空に向かって掲げた。ちょっと待てよ、これじゃあまるで蛮族が雄叫びを上げる場面じゃないか。誰も知らない旅人からしたら、これから橋を越えて村を襲いに行く略奪者にしか見えないぞ?
「タクミ!どうすればいい!」
「まずは水面付近に支えを作る。そしたらその支えの上にアーチ状の橋を架けるんだ」
あれ、俺何か変なミスでもしたか?支え作ってその上に架けるのであってるよな?
「そんな方法、俺たちは知らないぞ」
「そうだそうだ。大体、俺らがするのは穴が空いた場所の修理だろう?」
もしかしたら、俺は案外この世界でも上手くやっていけるのかもしれない。無双、とまではいかないかもしれないが少なくとも食うことに困ることはないだろう。
「俺を信じてみろ、必ずいい橋になるさ」
ほとんど支柱の無い橋、逆に何故今まで壊れなかったのかが不思議なくらいだ。これも魔法でサポートしているおかげか?
それはいい、手始めに支えを作るとしよう。
「タクミ!アンタもしもミスしたら許さないからね!」
プレッシャーだ……しかも絵に描いたようなツンデレキャラだから結構、心にくるものがある。なんというか今にも胸焼けしそうだ。
顔は大人のお姉さんで、本当に絶世の美女だ。素の状態は可愛いのだが、一度ツンデレキャラのスイッチが入ると共感性羞恥でこっちも恥ずかしくなってくる。
「そこ、板をもう一枚追加!そっちは釘たくさん使って頑丈に!」
あれやこれや指示を出していると、なんだか喉が渇いてくる。
暑いな、と呟いて周りを見ているとエルフィーナが水筒を手に持っていた。グイッと俺の方に押し付けると、
「別にアンタのために用意してたわけじゃないんだからね!ただ偶然その辺に転がってただけなんだから!」
痛い。
いや、もしかしたらこのキャラ設定はこの世界の流行り的なものなのか?適当な職人に聞いてみるとしよう。
「エルフィーナのあれって、元から?それとも何か……流行りみたいな」
「あれね……最近の流行だ~とか言いながらああやってツンツンしてはデレを見せるけど、大流行したの俺がガキの頃だったんだよな」
四十代半ば、大体俺と同じくらいの歳の職人がそう教えてくれた。この世界では時代遅れのツンデレキャラ……そういえば、エルフは長命だと聞いたことがあるから、三十年くらい前を最近と言ってもおかしくはないか。
いややっぱりおかしいかも。
「それじゃあ支えを川に架けるとしようか、全員で持つぞ!」
すごく重い。魔法があればこんな重い支えも軽々と持ち上げられるのだろう。エルフィーナの方を見ると、木の幹を枕の代わりにしながら寝ている。残念ながら魔法の手助けは期待出来なさそうだ。
「架けたぞー!」
「ついに橋は元通りだ!」
「いやまだこれからだぞ」
まだ太陽が少し傾いたくらいだ。大体午後二時ってところか。お祭りムードになっている職人たちを正気に戻すと、俺はエルフィーナのところへ向かった。
「えっなになに、もう終わったの?」
これから宴会でも始まりそうな騒ぎを聞いてエルフィーナはすぐ目を覚ました。今回ばかりはエルフィーナの助けが必要になりそうだ。
ついさっき、橋の状態を確認するために橋の下を覗き込んだ。正直思い出したくもないあの光景、大量のフジツボみたいなものがビッシリと橋の下を覆い尽くしていた。
「というわけで、橋の下を風で一掃してもらえないか?」
「嫌に決まってるでしょそんな虫の処理なんて!もし私の方に飛んできたらどうするのよ!」
確かに一理ある。というかめちゃくちゃに同意する。風の魔法を使えば簡単に一掃出来るだろうが、もしもそれが自分の方に向かって落ちてくるとしたら………
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