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本物と偽物
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大学1年の夏あたりから、良からぬ連中ともつるみだし、服に金をかけるようになった。
言葉遣いも荒く、ピアスも開けた。
今まで興味すらなかった香水をつけ、あれほど嫌っていた煙草を咥え、今じゃ一丁前のヤンキーだ。
駅前にあるコンビニの前で座り込むタカシの姿が、俺の知る最後のタカシであった。
風の噂ではホストをやっていると聞くが、今となっては確かめようもない。
「自分の事なんだからちゃんと覚えてろよ。つーか、記憶飛ぶまで酒を飲むな、それも2日連続で。一応聞くけど、まさか手に持ってるソレも覚えてないとか言わないよな?」
「ソレ?」と尋ねると、カンタは「携帯」と指さした。
「お前の持ってる携帯、人のだぞ。机にあるのがお前の」
確かに同じ機種がガラステーブルに置かれていた。
「え、じゃあさっきの間違い電話って?」
「間違い電話? その電話にかかって来たなら、間違ってたのはお前の方だろ」
……そう言うわけか。
にしても、そんなことってあるのか。
携帯を落として失くした経験ならある。
凄く焦ったし、半身でも失ったような、生きた心地がしなかった。
だがまさか2つに増える日が来るとは……。
「んで、どうすんの? やっぱ交番?」
「これ拾ったんだよな?」
「そう言ってたぞ。それとも本当は盗んだのか?」
「流石に盗んではない……と思いたい。でも被害届出されたら面倒だし、コンビニのゴミ箱にでも――」
「やっぱお前って酷い奴だよな」
言葉遣いも荒く、ピアスも開けた。
今まで興味すらなかった香水をつけ、あれほど嫌っていた煙草を咥え、今じゃ一丁前のヤンキーだ。
駅前にあるコンビニの前で座り込むタカシの姿が、俺の知る最後のタカシであった。
風の噂ではホストをやっていると聞くが、今となっては確かめようもない。
「自分の事なんだからちゃんと覚えてろよ。つーか、記憶飛ぶまで酒を飲むな、それも2日連続で。一応聞くけど、まさか手に持ってるソレも覚えてないとか言わないよな?」
「ソレ?」と尋ねると、カンタは「携帯」と指さした。
「お前の持ってる携帯、人のだぞ。机にあるのがお前の」
確かに同じ機種がガラステーブルに置かれていた。
「え、じゃあさっきの間違い電話って?」
「間違い電話? その電話にかかって来たなら、間違ってたのはお前の方だろ」
……そう言うわけか。
にしても、そんなことってあるのか。
携帯を落として失くした経験ならある。
凄く焦ったし、半身でも失ったような、生きた心地がしなかった。
だがまさか2つに増える日が来るとは……。
「んで、どうすんの? やっぱ交番?」
「これ拾ったんだよな?」
「そう言ってたぞ。それとも本当は盗んだのか?」
「流石に盗んではない……と思いたい。でも被害届出されたら面倒だし、コンビニのゴミ箱にでも――」
「やっぱお前って酷い奴だよな」
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