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老婆心と好奇心
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カンタはジト目で俺を見ながら、こう続けた。
「誰の携帯か知らねぇけど、朝からずっと鳴ってたぞ。持ち主が探してんじゃねぇか?」
「そんな鳴ってたのか? 何も聞こえなかったけど」
「マナーモードだったからな。それにお前爆睡してたし。いやでも、アレだけ近くにあったのに起きないのは……昨日何時まで飲んでたんだ?」
何度も言うが、昨夜の事は何一つとして覚えていなかった。
そんな俺は、内心で電話の持ち主への詫び言を考えていた。
落とし物を拾っただけなのだから別に俺は悪くないのだが、困っている人がいると思えばどうしても後ろめたさを感じてしまうものである。
携帯を落とした時の危機感がやけにリアルに蘇ったせいか、他人事とは思えなかった。
罪滅ぼしに持ち主を安心させてやりたいと思うのは、まっとうな人間であれば当然の考えだろう。
幸いにも携帯の機種は同じだった。
操作方法は知っている。
パスワードでロックもかかっていない。
「ちょっと電話してみるわ」
「え、マジで? 本当に大丈夫なの?」
「珍しく弱気だな」
「だってずっと震えてたんだぜ。怖い奴が探してるんじゃないの? 頭のオカシイ奴が持ち主なのかもしれない」
……嫌な事言うなよ。
「辞めといた方がいいと思うけど。大人しく交番に届けようよ」
「持ち主に一言連絡入れたら届けるよ」
カンタの心配を一蹴した俺は、この時もっと彼の声に耳を傾けているべきであったかもしれない。
どのみち、今更言っても遅いのだが……。
ただ、画面に表示された情報は心底俺をゾッとさせた。
「誰の携帯か知らねぇけど、朝からずっと鳴ってたぞ。持ち主が探してんじゃねぇか?」
「そんな鳴ってたのか? 何も聞こえなかったけど」
「マナーモードだったからな。それにお前爆睡してたし。いやでも、アレだけ近くにあったのに起きないのは……昨日何時まで飲んでたんだ?」
何度も言うが、昨夜の事は何一つとして覚えていなかった。
そんな俺は、内心で電話の持ち主への詫び言を考えていた。
落とし物を拾っただけなのだから別に俺は悪くないのだが、困っている人がいると思えばどうしても後ろめたさを感じてしまうものである。
携帯を落とした時の危機感がやけにリアルに蘇ったせいか、他人事とは思えなかった。
罪滅ぼしに持ち主を安心させてやりたいと思うのは、まっとうな人間であれば当然の考えだろう。
幸いにも携帯の機種は同じだった。
操作方法は知っている。
パスワードでロックもかかっていない。
「ちょっと電話してみるわ」
「え、マジで? 本当に大丈夫なの?」
「珍しく弱気だな」
「だってずっと震えてたんだぜ。怖い奴が探してるんじゃないの? 頭のオカシイ奴が持ち主なのかもしれない」
……嫌な事言うなよ。
「辞めといた方がいいと思うけど。大人しく交番に届けようよ」
「持ち主に一言連絡入れたら届けるよ」
カンタの心配を一蹴した俺は、この時もっと彼の声に耳を傾けているべきであったかもしれない。
どのみち、今更言っても遅いのだが……。
ただ、画面に表示された情報は心底俺をゾッとさせた。
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