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第三部
栄光の約束⑶
しおりを挟む「と、いうわけで、しばらくおれと形だけでも子作りしてもらうぜ」
「なにが、というわけで、だ。おぬしの精子が役立たずならば、抱かれ損ではないか。わたしに近づくな!」
「まったくもって色気のない発言だな。少しは女らしく誘惑してみろよ。勃つものも勃たんだろうが……」
「萎えてよい! 不必要に挿れられたくない!」
「なんだよ。二度も愛し合ったのに……」
「わたしは誰も愛さない。リヤンもクオンも、愛すものか!」
「ひどいな」
身構えるアセビだが、クオンによって寝台に押し倒されると、衣服の衿をひらかれ、直に胸を摑まれた。
「や、やめぬか!」
「やめてほしいのか? 躰のほうは、ずいぶん熱っぽいようだが……」
指先で乳首を刺激された瞬間、思わずビクッと腰が浮いてしまったアセビは、クオンの接吻を回避できず、抵抗虚しく性行為へと発展した。互いに裸身なって抱き合っていると、前戯の最中にいきなり男根を挿入された。
「あっ、んんっ!」
なんの合図もなしに体内領域を圧迫されたリュンヌは、ただ身悶えることしかできなかった。激しく突かれて意識が飛びそうになるが、絶妙な加減で性感帯に先端を当ててくるため、強烈な快感に捉われた。
「やっ、やめっ、そこは……! クオ……ン……っ」
「どうだ? 気持ちいいだろう? おまえの肉体ならば、すべて承知しているからな。……性交中は本能に従ったほうが楽だぞ」
浅く腰をふって寵主を悦がらせるクオンは、濃密な時間を愉しんでいるようだった。自ら役立たずと白状しているため、遠慮なく腹底で射精されたアセビは、叫び声をあげそうになった。
「……ほ、本当なのだろうな? あの話を、信じてよいのか……!?」
「無論、そうでなければリュンヌに手をだせるもんか。……おまえには、成すべき大義があるからな。うっかり、おれの子を妊娠させるわけにはいかない。ふたり目も、リヤンに授けてもらえよ」
汗ばんだ肌を密着させ、余韻に浸るクオンは、アセビの首筋へ舌を這わせると、ゆっくり腰を引き抜いた。
「……リュンヌ」
「……見るな。終わったのなら、早く出ていけ」
「そうはいくか。念のため調べさせろ」
パカッと股をひらかれて膣から流れる粘液を指で拭き取ると、異物や血液が混じっていないか確認した。
「よし、大丈夫そうだな」
医官らしく体調を気づかうあたり、複雑な心境に陥るアセビは、ムッとして眉間に皺を寄せた。
「この上なく不毛である! もう、おぬしと寝るものか! さっさと出ていけ!」
「やけに機嫌が悪いな。どうかしたのか? おまえさんを襲った連中なら、禁軍が取り調べているから、そのうち真犯人も捕まるだろうさ」
云われてみれば、彼らの犯行動機が不明だった。皇宮の事情に詳しくないアセビは、なぜ強姦されそうになったのか、理由を知らずに過ごしていた。下手に騒ぐより、禁軍に連行された以上、静かに報告を待つべきだと思えた。皇宮での暮らしは、アセビなりに試行錯誤する日々である。閉ざされた空間にいても、頭をめぐらせることはできた。ある意味、敵陣に乗り込んだ状況と変わらないため、常に注意を払う必要があった。とくに、接触してくる人物に外的な弱点を知られても、心の内まで読まれてはならない。
クオンは、アセビの最終目的を勘ぐっている可能性が高い男である。ならばいっそ、こちらからも仕掛けてみることにした。身装を整えたクオンに、疑問を投げかけた。
「クオンよ、おまえとリヤンは、どういった関係なのだ」
✓つづく
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