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〘31〙自慰行為
しおりを挟むある晩のこと、いつものようにハルチカ(十九歳)が壺の間で裸身になると、客から自慰行為をしているところが見たいと要求された。
「承知いたしました。おそれながら、少しばかりお見苦しいかと存じますが、なにとぞ、ご容赦ください。」
なにを求められても驚きはしない。ここは花町の娼館である。貪欲な客は、刺激と快楽に対価を払い、男娼は淫らな姿を提供する。
「では、始めます。」
自慰をしろと云われたハルチカは、布団の上に両膝を立てて坐ると、客の見ているまえで己の陰茎を擦りあげた。わざと尖端に爪を立て「ぁはんッ!」と声をもらし、状況を盛りあげる。次第に客のほうも呼吸が荒くなり、雄えた陰部をボロンッと露出させた。
「ハァッ、ハァッ、……んッ、んッ、……い、いかがでしょうか、」
勃起に成功したハルチカは、愛液で交接部を湿らせ、準備万端とばかり、軽く腰を浮かせて見せた。ハルチカの淫れた姿に満足した客は、肩を押して仰臥させると、挿入を開始した。やや強引に根元まで押し込まれたハルチカは苦悶の表情に変わるが、「あんッ、あんッ、」とあえぎ、男娼との性交に興じる客の首筋に抱きついた。
挿入直後は不快に感じても、欲望を発散するため夢中で腰をふる客のようすは必死につき、次第に頭がおかしくなってくるハルチカは、淫らに悦がり、ビクンッビクンッと下肢は痙攣した。いちどの所要時間は数十分ていどだが、体内領域を掻きまわされるハルチカは、「あぁーッ、あぁッんッ!」と大胆にあえぎ、抵抗せず力を抜くようにしている。
「……ハァッハァッ、あんッ、いけません、……そこは、だめぇ、」
ハルチカは涙目になって恥じらい、客の興味をかきたてつつ、股をひらく。射精後、なぜか多くの客は交接部(おしりの穴)を舐めたがるため、ピチャピチャとあやしい音が股の内側から発生する。じぶんの精液と男娼の愛液を味わってなにが楽しいのか疑問だが、ハルチカは為すがままの態度に応じ、好きなだけ舐めさせた。敏感な部位に舌を這わせる客は、無遠慮なまでにハルチカの肉体を求めてくる。まもなく不応期から回復すると、ふたたび挿入してきた。
「あッ! ぁんッ、……い……いい……よ、……すごく、……いいッ、」
心にもない科白を口走るハルチカは、男娼らしく「もっと頂戴」と余裕ぶって催促さえした。
「あぁ、最高だったよ。……ねえ、また来てね。いつでも待ってるからさ、」
夜鷹坂の男娼として、殺し文句でトドメを刺しておく。たいていの客は、ひとこと添えるだけで浮気をしなくなる。ひと晩でハルチカを気に入った客は、花町を利用するさい、夜鷹坂に足が向かうようになる。何度でも抱きたいと思わせることが重要であり、いちどかぎりの関係で終わるようであれば、枕席での魅力が足りないという証拠でもあった。
現在、中級男娼のハルチカは、性交渉を目的としてやってくる客を、アカラギの采配によってあてがわれる。アカラギは、客の容姿や体格などを参考に、いちばん適任だと思われる男娼を紹介する判断力に優れていた。呼ばれた男娼も、アカラギの目利きならば狂いなしという安心感により、過度な不安要素を取り除いたうえで、壺の間へ向かうことができた。
「きょうの客、哥さんにしては微妙だったな……、」
夜が明けて、ひとり湯船に浸かるハルチカは、「ふうッ、」と大きな溜め息を吐いた。それもそのはずで、徐々に厄介な客をハルチカにあてがうアカラギの魂胆は、上級男娼として昇格させるために必要な手順だった。
✓つづく
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