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MasAkI

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第7章 衝撃と成就

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思いのままに走り出してはみたけど、行き先はない。

ただ、彼女に一言謝らなきゃ。それだけ。それだけでいい。


暫く走った。けど、彼女の行く場所に1つも検討つかない。
改めて自分の愚かさに気づく。

俺。 何も知らないんだ。って。

いつもいつも彼女は俺の事を聞いてきた。
でも、俺は1つも彼女のことを聞いたことは無かったよなぁ。

きっと寂しい思いっていうか、何かつまらなくて嫌な思いさせてんだろうな。

やっぱり俺。ダメだ。



すると、アーケードの奥からシャッターを思い切り叩く音が響いた。



近づいてみたけど、一瞬で目を背けてしまった。
柄の悪い2人組が彼女を囲っていた。


この状況。どうしたらいいんだ。

彼女は怖くて声も出ない。 そんな風に見えた。


こんな時、男ならカッコよく登場して、あんな奴等追い払って彼女を助けるんだろう。でも、喧嘩もしたことないし、あんな怖そうな人達。それに、相手は2人だし、

また。やらない理由を作って逃げ出そうとする自分がいた。


はぁ。変わらなきゃ。 別にいいんだ。カッコ悪くても震えて声も出ないかも知れない。でも、それでも、守りたい。その気持ちを曲げちゃダメだ。



ゆっくりと近づいて言った。「あの、嫌がってるんでやめてあげてください……」
やっと出た言葉はただのお願いだった。

「は?何。お前カッコつけてんの?」

「いや、そ、そうゆう訳じゃ……お願いです…やめてあげてくだ…」

まで、言ったところで気付いたら空を見上げていた。

顔の左半分が凄く熱い。もの凄い衝撃が走る。

そのうち視界は黒くボヤけてきて耳鳴りがしてきて意識も虚ろになってきた。
やっぱり守れなかった。ごめん、舞ちゃん。 ごめん、


でも、微かに見えたのは誰かの黒い影だった。


気がつくと自分の部屋だった。

「石浦くん…大丈夫?わかる?」

目が覚めて一番に聞いた音は、舞ちゃんの声だった。

「うん、大丈夫。あれ、昨日俺。」

すると、泣きながら俺の腹に抱きついてきた。

「もう。何であんな無茶するの?ホントにどうなるかと思ったんだよ!このまま目覚めなかったらどうしようって…私のせいだって…」

誰かがこんなにも自分を心配してくれる なんて。ちょっとニヤけてしまった。

「痛っ!」少しニヤけただけで顔に違和感を感じた。顔が腫れて…る?

「顔、少し腫れちゃったね。ホントにごめんね?
でも、2、3日したら腫れも治まると思うから、安静にしててね。」

あ、そうだ。俺。殴られたんだ。
でも、舞ちゃんがここに居るってことは、俺。守りきったんだ。

良かった。
「俺は大丈夫だよ、舞ちゃんが無事で良かった。」
普段は恥ずかしいはずのこんな事も今なら言えた。

俺。少し変われたかも。



「じゃあ、そろそろ行くね?外出ちゃダメだよ!お大事にね。」  そう言って舞ちゃんはバイトに向かった。


部屋の中にいい香りが残ってる。


舞ちゃんが帰った途端にお腹が鳴った。

冷蔵庫には何もない。
何となく見たテーブルには置き手紙があった。
 
「少し良くなったら食べてください!」

コンロの上には鍋があった。

スープか。有難い。
蓋を開けると、固形石鹸を真っ二つに切ったくらいの野菜が大量に入ったコンソメスープだった。

こんなデカく切ったら食えねーって 

やっぱり天然だな。

そう思って舞ちゃんを思い出してまたニヤニヤしている顔が鏡に映った。



しばらくしてからまた思い出した。

あ、またCD忘れた。

今日取りに行きたいけど、 安静に って言われたしなぁ~


でも、行くか。


「いらっしゃいませー」

「こんばんは!」

「お客さん、その顔。大丈夫ですか?」

「ええ、まぁなんとか…あの、CDまた忘れちゃって」

「そうだったね!はい。あ、あと、中見てみてよ。」

マスターに言われた通りCDの中身をみてみた。


「マスター、これって!」

そのCDには店の壁に飾ったサインと同じモノが書いてあった。

「実は、あの後に店に鈴さんが来てね、それで君たちの話ししたんだよ。
まだ、私の歌を聴いてくれて私達のこと忘れ無いで居てくれる人が少しでも居たんだ!って」凄く喜んでたよ。

1度も会った事もないけど、その話しだけで、 鈴さん という人が気になった。


「舞ちゃんきっと喜びます!ありがとうございます!」   

そう言ってルンルンで帰り家でCDを聴くことにした。

やっぱりいい歌だ。何度も何度も聴いた。2時間後には口ずさんでいた。もっと早く聴いてたら舞ちゃんともう付き合ってたかも知れないなぁ。


プルルルル♪

「もしもし、どちら様ですか?」

「私だよ!石浦くん!」 

「えーーーーー!!!舞ちゃん?何で?」

「実は、石浦くんが寝てる間に交換しちゃった!ダメだった?」

「うんん、そんな事ないよ! 俺もずっと交換しよう。って言いたかったんだ、でも、中々タイミング無くて…」 

「今日、行っていいかな?」

「うん。わかった。待ってる。」


よっしゃ!!!やったぞ!会える!また、家にくるぅーーー!!!!!
  


「お邪魔しまぁ~す♪」

「どうぞ、どうぞ、」

「あーー!野菜全然食べてないじゃん!もう、体に悪いよ?」

「いや、それは…ね…」 ここは言うべきか… よし。

「いや、だって舞ちゃん野菜大きく切りすぎだよ!顔痛くて口開かないから食べれないよ~」


「ごっめ~ん!私不器用だから。でも、頑張ったんだよ?」

「うん。美味しかったよ!まぁ~野菜がもう少し小さかったら100点だったのになー」

「も~ そんな事言ったらもう作ってあげないよ?」

あれ、意外と上手くいった?なーんだ!こういう冗談通じるじゃん! めちゃくちゃ楽しいわ~  何かカップルって感じ。

「あ、そうだ。大事な事忘れてた。これ!」
舞ちゃんにCDを渡した。


「俺も、ずっと聴いてたんだ!凄いハマッてさ、中見てみ!」

「え、うそ。」 舞ちゃんが泣いた。

「ご、ごめん。何かした…俺。…?」

「もーーー!!サプライズ?やめてよ!ホントに嬉しくて。もう。石浦くん。私。」


「付き合ってよ、」気付いたらそう言っていた。
やべ。タイミング間違えた?しかも、何で言った?俺、かなり大胆になってる?

「私も、好きだよ。付き合ってほしい。って思ってた。」

「ほ、ほんとに?俺なんかでいいの?」

「うん。石浦くんがいいんだよ?」 

やった。やったぞ俺!やったぞ!

「じゃあ、よろしくね!」 こうして俺らは付き合うことになった。


「私もあのbarでいつか鈴さんに会えるかな?でも、きっと会えても気付かないんだろうなぁ~」

「え、何で?好きなバンドのボーカルの顔くらい見ればすぐわかるじゃん!」

「普通ならね?でも、そうじゃないんだよ。Lilyってね、メジャーデビューライブの時に初めて顔出しする!ってなってたんだ~ でも、デビュー出来なくなったから結局顔出しもしないで解散したんだよ。」

「そうだったんだ。」それから舞ちゃんからLilyの事を沢山聞いた。
 


好きな人といる時間てこんなに早いモノなんだなぁ~



あっという間にに11時が過ぎ、舞ちゃんを駅まで送った。

「またね!帰ったら連絡するね!」

 そう言って舞ちゃんは駅の階段を上っていった。


こんな幸せがいつまでも続けばいいな。



明日もバイトだし帰って寝よう。


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