41 / 46
第41話 - 地下迷宮 戦利品
しおりを挟む
テーブルの上に、黄金の籠手と、神秘的な大剣が並べられてる。
それぞれが伝説級の妖精武器である。厳選された戦士しか扱うことを許されない、壮絶な武器が二つ、並んでいる。
テーブルの前には、二つの椅子があり、そこには一人ずつ座っている者がいる。
全身を包帯でぐるぐる巻きにしている少年と。
左腕を包帯でぐるぐる巻きにしている白い少女だ。
その二人と対するようにして、一人の中年が佇んでいる。
ゆったりとしたローブを身に纏い、豪華な装飾品に身を包んだ彼は手を叩き、大きな音を鳴らしていた。
「素晴らしい。素晴らしい。素晴らしいよ、君たち。本当に、成し遂げてしまうだなんて。ここにある戦利品……妖精武器という成果が絶対だ。君たちは間違いなく、勝者であり、強者だよ。おめでとう。はは、本当に、凄い!」
「なんの得にもならない祝福なんか、よしてくれハーヴィス。僕らは約束を果たしたんだ。いよいよあんたの番だぞ」
「ははははは! レウ、お前のそういうところ、嫌いじゃないぜ! 若い奴は跳ね返ってなんぼだからな。ほら、とりあえずささやかなプレゼントだ。これを飲んどけ」
そういってハーヴィスは、銀色の液体が入った小瓶を、シャロとレウに投げてよこした。
レウは、全身の激痛に耐えながらそれをなんとか受け止める。
銀の液体からは、凄まじい魔力を感じる。おそらく、なにかの霊薬だろう。怪我を瞬く間に治してしまうような、最高級の回復薬であるに違いない。
小瓶一本で街一つが買えるような値段がするはずだ。そんな貴重な代物を、軽く二つも渡すハーヴィスは、やはり《星崩し》と同じ、ギルドが誇る規格外のS級冒険者なのだと、改めて実感をする。
とはいえ、遠慮なくそれの栓を開け、中身を飲み干す二人は、もはやそんな威光に震えるようなタマではなくなってしまっていたのだが。
その様子を見てハーヴィスは、うんうんと頷く。
「一晩寝れば、お前らのダメージはすっかりなかったことになるだろう。逆に言えば、一晩は待たないといけない、ということだ。今日は休め。そして、明日、俺はここに来る。同時にそれがお前らとの最後でもある。シャロの姉さんのところまで飛ばしてやろう」
「また簡単に言ってるけどさぁ。ギルドの本部に突撃するわけだろ? それはどう攻略しろっていうんだよ」
「いや、違う。これはちょっと訳アリでな。明日行くのは本部じゃない。研究院だ」
ハーヴィスはさらりとそう告げる。レウとシャロは、その言葉に少なからず驚いた。
「研究院? なんでそんなところに」
「さあな。だがまあ、想像はつくだろ。妖精の末裔なんざ、幾らでも研究の価値はある。むしろ本部で幽閉するよりもよっぽど合理的だろうさ」
そして中年は、ばさりと腕を広げる。
「研究院の地下は、保管庫という名の牢獄になっている。希少な魔物、稀有な魔法を宿す人間、その他危険な物質、生物。それらが押し込められた秘密の場所だが、言わばそれはダンジョンだな。つまり俺の魔法で飛べるということだ。直接地下に飛ぶ。そして、お前の姉さんもそこにいるはずだ。探し出して、確保し、ここにまた戻って来る」
「……」
いよいよ遂に、助けることができる。
その事実を前にしても、シャロの表情は複雑であった。それを見て、ハーヴィスは、やれやれなんて顔で、溜息を吐く。
「言っておくが、チャンスは明日しかないと思え。レウ、お前さんの大活躍のお陰で今、ギルドと王国が揉めに揉めている。姉の処遇どころではない今しか好機がない。可能な限り早く、事を為すぞ。その妖精武器を持ってこい。そして、これは餞別だ」
そう言って彼は、手に嵌めていた蒼い指輪をレウに放り投げた。
かつて《黄金騎士》との戦いでシャロが身に着けていた妖精武器【妖精王の碧眼】である。
膨大な魔力を秘める指輪は、覗く者全てを魅入るほど美しい。
「レウ。それを付けておけ。【星剣】を使うには魔力がいるからな。もしも明日、妖精が現れたら躊躇わず、二つの妖精武器に【碧眼】の魔力を回すんだ」
「……なんだ、えらく太っ腹だな」
「最後だからな。オジサンの好意は受け取っとくもんだぜ。――それと、もう一つ言うなら。最後なんだから、仲直りするなら今しかないぞ」
ハーヴィスは、シャロの顔を見て、にやりと笑い、片手を挙げた。
そして次の瞬間、彼は忽然と姿を消したのであった。
この場には、レウとシャロの二人だけが残り。
少年の隣に座るシャロは、むくーっと、頬を膨らませているのであった。
それぞれが伝説級の妖精武器である。厳選された戦士しか扱うことを許されない、壮絶な武器が二つ、並んでいる。
テーブルの前には、二つの椅子があり、そこには一人ずつ座っている者がいる。
全身を包帯でぐるぐる巻きにしている少年と。
左腕を包帯でぐるぐる巻きにしている白い少女だ。
その二人と対するようにして、一人の中年が佇んでいる。
ゆったりとしたローブを身に纏い、豪華な装飾品に身を包んだ彼は手を叩き、大きな音を鳴らしていた。
「素晴らしい。素晴らしい。素晴らしいよ、君たち。本当に、成し遂げてしまうだなんて。ここにある戦利品……妖精武器という成果が絶対だ。君たちは間違いなく、勝者であり、強者だよ。おめでとう。はは、本当に、凄い!」
「なんの得にもならない祝福なんか、よしてくれハーヴィス。僕らは約束を果たしたんだ。いよいよあんたの番だぞ」
「ははははは! レウ、お前のそういうところ、嫌いじゃないぜ! 若い奴は跳ね返ってなんぼだからな。ほら、とりあえずささやかなプレゼントだ。これを飲んどけ」
そういってハーヴィスは、銀色の液体が入った小瓶を、シャロとレウに投げてよこした。
レウは、全身の激痛に耐えながらそれをなんとか受け止める。
銀の液体からは、凄まじい魔力を感じる。おそらく、なにかの霊薬だろう。怪我を瞬く間に治してしまうような、最高級の回復薬であるに違いない。
小瓶一本で街一つが買えるような値段がするはずだ。そんな貴重な代物を、軽く二つも渡すハーヴィスは、やはり《星崩し》と同じ、ギルドが誇る規格外のS級冒険者なのだと、改めて実感をする。
とはいえ、遠慮なくそれの栓を開け、中身を飲み干す二人は、もはやそんな威光に震えるようなタマではなくなってしまっていたのだが。
その様子を見てハーヴィスは、うんうんと頷く。
「一晩寝れば、お前らのダメージはすっかりなかったことになるだろう。逆に言えば、一晩は待たないといけない、ということだ。今日は休め。そして、明日、俺はここに来る。同時にそれがお前らとの最後でもある。シャロの姉さんのところまで飛ばしてやろう」
「また簡単に言ってるけどさぁ。ギルドの本部に突撃するわけだろ? それはどう攻略しろっていうんだよ」
「いや、違う。これはちょっと訳アリでな。明日行くのは本部じゃない。研究院だ」
ハーヴィスはさらりとそう告げる。レウとシャロは、その言葉に少なからず驚いた。
「研究院? なんでそんなところに」
「さあな。だがまあ、想像はつくだろ。妖精の末裔なんざ、幾らでも研究の価値はある。むしろ本部で幽閉するよりもよっぽど合理的だろうさ」
そして中年は、ばさりと腕を広げる。
「研究院の地下は、保管庫という名の牢獄になっている。希少な魔物、稀有な魔法を宿す人間、その他危険な物質、生物。それらが押し込められた秘密の場所だが、言わばそれはダンジョンだな。つまり俺の魔法で飛べるということだ。直接地下に飛ぶ。そして、お前の姉さんもそこにいるはずだ。探し出して、確保し、ここにまた戻って来る」
「……」
いよいよ遂に、助けることができる。
その事実を前にしても、シャロの表情は複雑であった。それを見て、ハーヴィスは、やれやれなんて顔で、溜息を吐く。
「言っておくが、チャンスは明日しかないと思え。レウ、お前さんの大活躍のお陰で今、ギルドと王国が揉めに揉めている。姉の処遇どころではない今しか好機がない。可能な限り早く、事を為すぞ。その妖精武器を持ってこい。そして、これは餞別だ」
そう言って彼は、手に嵌めていた蒼い指輪をレウに放り投げた。
かつて《黄金騎士》との戦いでシャロが身に着けていた妖精武器【妖精王の碧眼】である。
膨大な魔力を秘める指輪は、覗く者全てを魅入るほど美しい。
「レウ。それを付けておけ。【星剣】を使うには魔力がいるからな。もしも明日、妖精が現れたら躊躇わず、二つの妖精武器に【碧眼】の魔力を回すんだ」
「……なんだ、えらく太っ腹だな」
「最後だからな。オジサンの好意は受け取っとくもんだぜ。――それと、もう一つ言うなら。最後なんだから、仲直りするなら今しかないぞ」
ハーヴィスは、シャロの顔を見て、にやりと笑い、片手を挙げた。
そして次の瞬間、彼は忽然と姿を消したのであった。
この場には、レウとシャロの二人だけが残り。
少年の隣に座るシャロは、むくーっと、頬を膨らませているのであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!
雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。
ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。
観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中…
ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。
それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。
帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく…
さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!
「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした
黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。
地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。
魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。
これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。
「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」
Sランクパーティを追放されたヒーラーの俺、禁忌スキル【完全蘇生】に覚醒する。俺を捨てたパーティがボスに全滅させられ泣きついてきたが、もう遅い
夏見ナイ
ファンタジー
Sランクパーティ【熾天の剣】で《ヒール》しか使えないアレンは、「無能」と蔑まれ追放された。絶望の淵で彼が覚醒したのは、死者さえ完全に蘇らせる禁忌のユニークスキル【完全蘇生】だった。
故郷の辺境で、心に傷を負ったエルフの少女や元女騎士といった“真の仲間”と出会ったアレンは、新パーティ【黎明の翼】を結成。回復魔法の常識を覆す戦術で「死なないパーティ」として名を馳せていく。
一方、アレンを失った元パーティは急速に凋落し、高難易度ダンジョンで全滅。泣きながら戻ってきてくれと懇願する彼らに、アレンは冷たく言い放つ。
「もう遅い」と。
これは、無能と蔑まれたヒーラーが最強の英雄となる、痛快な逆転ファンタジー!
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる