[巨]食人植物王国

アサタケ

文字の大きさ
上 下
4 / 10

4.行方

しおりを挟む
本部につくとそれはそれは大きなサイレンが鳴り響き、資料をかき集める職員たちがいた。
しかし、C地区というと食虫植物のような奴らがいる場所。一番厄介な相手だ。
モウセンゴケのような植物は、ネバネバの液体で動けなくさせ、溶かして養分にする。
ハエトリグサのような植物は、もう強敵そのもの。なんといったってあいつは動いて俺たちを噛もうとしてくる。お前は植物だろうが!と言いたくなるのだが、言ってもなにも起こらない。奴らは植物だからだ。


「なにが起こったんだ!?」
「C地区の連絡が急に途絶えた!」
かなり皆騒いでいる。まぁ、いつも騒いでいるのだが、今回は違った。

「C地区に調査に行けないか?」
テイラーが口を開いた。
皆 一斉にこちらを向く。
   “え…”
     “無茶だ…”
そんな声が聞こえる。
「俺は行く!」
誰かが言った。
テイラーは知らなかったが、
最近 対食人植物部隊に入った青年 オーキーだ。
「え」
テイラーも予想していない者が志願した。
「覚悟があるのか?」
「もちろん。ここに入ったならばそのくらいの危険は覚悟しています。」
長官は黙って見ていた。全てをテイラーに託すように。

青年が志願したことでその場の雰囲気が和んだ。“和んだ”というと違うかもしれない。
しかし和んだのである。

みんな志願し始めた。
“テイラー大尉”は少し笑ったかもしれない。

C地区が崩壊寸前と知らずに。
しおりを挟む

処理中です...