ギャルゲー世界だけど俺は野球をする!

美鈴

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第一部

勉強会

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「ご、ごめん…はぁはぁ…待たせた…よね?」
「…ごめんね…遅くなっちゃって…」

「いや、全然待ってないから大丈夫」

 息を切らせながら約束の時間に遅れた事を謝ってくる朝倉さん姉妹。遅れたといっても五分だし、急いで来たのが二人の様子から見てとれるので気にしないように伝える。

「言い訳する訳じゃないんだけど…凛音が中々服を決められなくて」

「…そ、それは天音もだよね!?」

「わ、私は別に…」

「…何度も鏡見て服装チェックしてたのに?」

「ちょっ!?何で言うのよ!?」

「…天音が先に言ったからだけど…?」


「ま、まあまあ…二人とも。その辺で」


 二人の言葉から察するに悩みに悩んだろうな。例え勉強会でも出掛ける以上はお洒落に気を遣うもんなんだろう。女性は特に。有紗もそうだし、母さんやおばさんもそうだしな。

「分かった。これ以上は止めとく…。そ、そういえばさぁ…何か言う事あったりしない?」

 何か言う事…?二人に視線を向けると、何かを言って欲しそうにしている。  

 そういえば…確か母さんに言われた事があるな。女性がお洒落してたらちゃんと褒めるのよって…。さっき服装に悩んだと言ってたし…そういう事に対する感想を言えっていってるんだよな…。

「二人とも…その服装よく似合ってる。トレーニングウェアを着てる俺なんかに褒められても嬉しくはないだろうけども」

 ホントによく似合ってる。それぞれの個性というか性格というか、そういうのが服装にも出るもんなんだな。姉の天音さんはミニスカートに首回りが少し大きく開いてるシャツ、妹の凛音さんはロングスカートに薄手のブラウスを着用している。

「そんな事ないわよ。ほ、褒められると嬉しいし、トレーニングウェアって、なんか神楽坂らしくていいと思うし」

「…うん。私もそう思うよ。ありがとうね、褒めてくれて…」

 なんか…小っ恥ずかしいもんだな、こういうやり取りは…。なんとなく二人の頬が赤くなってるような気がするし、俺も赤くなってると思う。ずっと野球一筋だったから分からないんだよな。こういうの…。

「と、とりあえず行こうか」

「「う、うん」」



 そんなこんなで向かう先は俺の家。昨日朝倉さん達に頼まれたんだ。勉強を教えて欲しいって。んで、話を聞いていると、二人とも野球なんてほぼ知らないままマネジャーになって、授業中も先生の目を盗んでは野球のルールブックやらを見て、少しでも野球の事を覚えようとしてたみたいなんだよ。

 まあ、本当は授業中にそういうのは良くないけど、色々と頑張ってるから力になってあげたいと思ったんだよな。

 それに…たぶん…俺の予想では…二人とも有紗と同じ…ヒロインなんじゃないだろうか?物語を見てると強制力が働くとかいう言葉を聞いた事ないか?俺はその物語の強制力とやらが働いて主人公の大河と出会うイベントが早まったんじゃないかと思うんだよな…。

 このギャルゲーの舞台って確か大河が高校生になってからだったと思うんだよ。そうゲームのパッケージ書いてた覚えがある。

 だからすんなり勉強する場所も俺の家に決まったんだと俺は思っている。


 ともかく。家に帰れば大河とのイベントっていうの?そういうのが発生するかも知れない。俺は内心そんな事を思いながら彼女達を連れ家へと向かったんだ。




♢♢♢


~豊和が家を出た直後の神楽坂家~



「うおーいっ!?おまっ、お前っ!何しようとしてんのっ!?どっからそんなもん持って来たんだよっ!?っていうか、勝手に俺の部屋に入ってくんじゃねぇよ!」


 大河は焦っていた。幼馴染有紗のその行動に…。


「どいて大河。流石にあなたを貫きたくないから…」

「当たり前だろうがっ!貫かれたら死んじまうってぇのっ!何考えてんだお前っ!?」

「豊にぃの事はすでに聞いているもん。なら私に出来る事をしないとでしょ?」

「お前まさか…穴開けて覗こうと…?」

「それ以外にドリルの使い道あるの?」

「さも当然みたいに言うんじゃねぇよ!いくら兄貴と俺の部屋が壁一枚隔てられてるだけだからって、ドリルで覗き穴を開けようとすんじゃねぇよ!?とりあえずドリル捨てて出直してこい!」

「時間がないの…大河」

「知らねぇよ!それにドリルなんてどこから持って来たんだ」

「お母さんからだけど?」

「おばさんかよ!?おばさんも何考えてるんだよ!?とにかく!絶対開けさせねぇからなっ!?」

「いいからどいて」

「どくかぁー!」



 人知れず…いや…豊和が知らないところで一進一退の攻防が繰り広げられていたとかいないとか…。





♢♢♢


「一応ここが俺の部屋」


 部屋に二人を招き入れる。

 家に二人を連れて来た直後は主に母さんが大変だった。色々二人に聞こうとして。

 
「ふ、ふ~ん。ここがあんたの部屋…案外綺麗にしてるんだ」
「お、男の子の部屋にあがるなんて…初めてだよね…私達…」

 綺麗にしてるように見えるだけかも。ただシンプルなんだよな。勉強机にベッド、それにちょっとしたテーブルが置いてるだけ。

 まあ、壁にバットやらグラブ、それにこの世界のプロ野球選手のサインのレプリカを飾ってるだけだしな。

 後は…

「あっ…あれ」
「あっ…」

 二人がそれに気づいた。ちょっと恥ずかしいけど、二人がその視界に入れているのは、【目指せ!甲子園!】と、俺が習字の筆を使って書いた紙。

「それ。俺が書いたんだ。夢なんだよな…甲子園に行くのが…」

 前世からずっと…。

「そ、そうなんだ…行けるわよ、あんたなら」
「…うん。私もそう思う…」

「ありがとうな。二人とも」

 とりあえず二人並んで座ってもらい…

「じゃあ…早速勉強に取り掛かろうか」
「「宜しくお願いします!」」


 
 
 
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