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第一部
試合開始
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『静岡地方大会二回戦、大海原高校対浜北中央高校の試合が始まりました。実況は大海原高校放送部天使と──』
『浜北中央高校放送部の益子でお送りします』
『一回の表。マウンドに立つのは我が校のエース鮫肌君』
『対するバッターは大海原高校一番打者の坂本君。左のバッターボックスに入ります』
『バッターが構えます。ピッチャー鮫肌君。オーバースローから第1球を──投げました』
「ストライクワァン!」
『…初球はストレートでしょうか』
『ストレートですね。インコースにズバっと決まりましたね』
『坂本君初球は見送った様子。深呼吸してバットを再び構えます。ピッチャー第2球目を投げた』
ピッチャーの右腕から放たれたその球はストレートよりも球速は遥かに遅いもののストライクゾーンの外側から、利き腕と反対の方向に大きく弧を描くようにストライクゾーンに落ちていく。
ブン──! スパァァン!
『バットが空を切りました!』
『スローカーブですね』
『ストレートとの球速差にバッターはタイミングを狂わされそうですね』
『実際その通りだと思います。スローカーブを待ってたらストレートがズバンと決まりますからね』
『バッターボックスに立つと余計にそれを実感しそうですね』
『ピッチャーが第3球目を投げました!』
──ズバン!
『──三振!坂本君三球三振です』
『先程話していた通り、ズバンとインコース高めにストレートが決まりましたね』
「見てたから分かると思うけど…」
「想像以上に緩急の差…だろ?」
「ああ」
一番バッター坂本がネクストバッターから打席に向かう久保にすれ違いざまに想像以上に厄介な事を伝える。
右対右。
久保に対する1球目。
「──ストライクワン!」
初球…百キロ台のスローカーブ。続く2球目目…真ん中よりやや左からアウトコースに変化していくスローカーブ。ボール球を振らされてしまい2ストライクに追い込まれる。3球目…ほぼ同じコースにスローカーブ。これを久保は見送りカウントはツーストライク、ワンボールに…。
『ピッチャー4球目を投げました!』
(ストレートに狙いを定める)
インコース低め!
(ドンピシャ!)
──クン!
(フォークっ!?)
バスンっ!
『──三しぃぃん!2者連続三振です!』
『追い込んでから落としてきましたね』
『久保君はストレートを狙っていたんじゃないでしょうか?バッテリー、フォークボールをうまく使いましたね』
キィィィン!
カキィィィィィン!
三番打者の倉谷先輩、四番打者の鷹村主将がヒットで出塁するも、残念ながら得点には至らず。続く五番打者の小田先輩がスローカーブを引っ掛け、一、二遊間に飛んだ打球をセカンドがさばきスリーアウトチェンジ。
「悪い…点取ってやれなかったな」
「いえ、俺も気合入れて投げますんで」
「頼むな」
「はい」
『一回の裏。マウンドに立つのは先日ノーヒットノーランを達成した神楽坂君』
『対するトップバッターは投球を終えたばかりの鮫肌君です。右打席に入ります』
『ピッチャーでも一番打者を務める事があるんですね』
『打順の繋がりを考慮しての判断ですね。鮫肌君は足もありますしね』
『なるほど』
『さあ、神楽坂君ロージンバックを手に取り、セットから第一球を投げたぁ!』
──カッキィィィィィィン!
っ!?
『初球引っ張ったぁぁぁ!打球はレフト線!』
『フェア!フェアです!』
『打ったバッターは二塁へ!』
『ツーベース!ツーベース!ツーベースヒット!』
やられた。初球ストレートの高めをうまく持っていかれてしまったな。キャッチャーの倉谷先輩もあれはしょうがないといったジェスチャー。
♢♢♢
「ゃっ…」
やったぁとつい声に出してしまいそうになる。
私は大海原高校のマネジャーなのに。
「……ぃっ」
「先輩」
つい彼の姿を追うのに夢中になってしまい、彼女達が声を掛けてくれたのに、その声に気がつくのが遅れてしまった…。
「ご、ごめんなさい。そ、それで…?どうしたのかしら?」
「先輩大丈夫ですか?」
「え、ええと…何が?」
「ええと…その…スコアブックを書く手が止まってましたので」
「あっ!?ご、ごめんなさい。すぐに記入するわ」
いつの間にか私の手は止まっていたみたい。慌ててスコアブックの記入漏れを埋めていく。
本当…駄目ね…。約束した相手にようやく逢えたからとは言え…私は大海原高校のマネジャーなのに…。
「…先輩の様子がおかしいのって…球場に入る前に相手ピッチャーと話していた事と関係あったりします?もしかして…彼が例の彼だったりして…」
「っ~~~!?」
朝倉さん…姉の天音ちゃんには見破られたようだ。天音ちゃんが小声で私の耳元てそう問いかけてくる。いや…まあ…私の態度からそんなのバレバレよね。彼女達には以前想いを寄せている相手がいる事は伝えていたしね…。
「…うん…そうみたい」
「やっぱりそうなんですね…。ですが…その…」
「何?」
天音ちゃんは言いにくそうにしながらも…
「ちょ、ちょっとチャラそうというか…大丈夫なんですか?先輩方があの人遊んでるみたいな事を口にしているのを耳にしたもんですから」
そ、それよね…。私もそこはそうなんじゃないかとは思ってはいたのよね…。
で、でも…ちゃんと私の気持ちを伝えたら…きっと…
『浜北中央高校放送部の益子でお送りします』
『一回の表。マウンドに立つのは我が校のエース鮫肌君』
『対するバッターは大海原高校一番打者の坂本君。左のバッターボックスに入ります』
『バッターが構えます。ピッチャー鮫肌君。オーバースローから第1球を──投げました』
「ストライクワァン!」
『…初球はストレートでしょうか』
『ストレートですね。インコースにズバっと決まりましたね』
『坂本君初球は見送った様子。深呼吸してバットを再び構えます。ピッチャー第2球目を投げた』
ピッチャーの右腕から放たれたその球はストレートよりも球速は遥かに遅いもののストライクゾーンの外側から、利き腕と反対の方向に大きく弧を描くようにストライクゾーンに落ちていく。
ブン──! スパァァン!
『バットが空を切りました!』
『スローカーブですね』
『ストレートとの球速差にバッターはタイミングを狂わされそうですね』
『実際その通りだと思います。スローカーブを待ってたらストレートがズバンと決まりますからね』
『バッターボックスに立つと余計にそれを実感しそうですね』
『ピッチャーが第3球目を投げました!』
──ズバン!
『──三振!坂本君三球三振です』
『先程話していた通り、ズバンとインコース高めにストレートが決まりましたね』
「見てたから分かると思うけど…」
「想像以上に緩急の差…だろ?」
「ああ」
一番バッター坂本がネクストバッターから打席に向かう久保にすれ違いざまに想像以上に厄介な事を伝える。
右対右。
久保に対する1球目。
「──ストライクワン!」
初球…百キロ台のスローカーブ。続く2球目目…真ん中よりやや左からアウトコースに変化していくスローカーブ。ボール球を振らされてしまい2ストライクに追い込まれる。3球目…ほぼ同じコースにスローカーブ。これを久保は見送りカウントはツーストライク、ワンボールに…。
『ピッチャー4球目を投げました!』
(ストレートに狙いを定める)
インコース低め!
(ドンピシャ!)
──クン!
(フォークっ!?)
バスンっ!
『──三しぃぃん!2者連続三振です!』
『追い込んでから落としてきましたね』
『久保君はストレートを狙っていたんじゃないでしょうか?バッテリー、フォークボールをうまく使いましたね』
キィィィン!
カキィィィィィン!
三番打者の倉谷先輩、四番打者の鷹村主将がヒットで出塁するも、残念ながら得点には至らず。続く五番打者の小田先輩がスローカーブを引っ掛け、一、二遊間に飛んだ打球をセカンドがさばきスリーアウトチェンジ。
「悪い…点取ってやれなかったな」
「いえ、俺も気合入れて投げますんで」
「頼むな」
「はい」
『一回の裏。マウンドに立つのは先日ノーヒットノーランを達成した神楽坂君』
『対するトップバッターは投球を終えたばかりの鮫肌君です。右打席に入ります』
『ピッチャーでも一番打者を務める事があるんですね』
『打順の繋がりを考慮しての判断ですね。鮫肌君は足もありますしね』
『なるほど』
『さあ、神楽坂君ロージンバックを手に取り、セットから第一球を投げたぁ!』
──カッキィィィィィィン!
っ!?
『初球引っ張ったぁぁぁ!打球はレフト線!』
『フェア!フェアです!』
『打ったバッターは二塁へ!』
『ツーベース!ツーベース!ツーベースヒット!』
やられた。初球ストレートの高めをうまく持っていかれてしまったな。キャッチャーの倉谷先輩もあれはしょうがないといったジェスチャー。
♢♢♢
「ゃっ…」
やったぁとつい声に出してしまいそうになる。
私は大海原高校のマネジャーなのに。
「……ぃっ」
「先輩」
つい彼の姿を追うのに夢中になってしまい、彼女達が声を掛けてくれたのに、その声に気がつくのが遅れてしまった…。
「ご、ごめんなさい。そ、それで…?どうしたのかしら?」
「先輩大丈夫ですか?」
「え、ええと…何が?」
「ええと…その…スコアブックを書く手が止まってましたので」
「あっ!?ご、ごめんなさい。すぐに記入するわ」
いつの間にか私の手は止まっていたみたい。慌ててスコアブックの記入漏れを埋めていく。
本当…駄目ね…。約束した相手にようやく逢えたからとは言え…私は大海原高校のマネジャーなのに…。
「…先輩の様子がおかしいのって…球場に入る前に相手ピッチャーと話していた事と関係あったりします?もしかして…彼が例の彼だったりして…」
「っ~~~!?」
朝倉さん…姉の天音ちゃんには見破られたようだ。天音ちゃんが小声で私の耳元てそう問いかけてくる。いや…まあ…私の態度からそんなのバレバレよね。彼女達には以前想いを寄せている相手がいる事は伝えていたしね…。
「…うん…そうみたい」
「やっぱりそうなんですね…。ですが…その…」
「何?」
天音ちゃんは言いにくそうにしながらも…
「ちょ、ちょっとチャラそうというか…大丈夫なんですか?先輩方があの人遊んでるみたいな事を口にしているのを耳にしたもんですから」
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