貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴

文字の大きさ
66 / 108

ライバル

しおりを挟む
「イチっ!お願いっ!」

 “シュッ────────ッ! パシッ!” 

「任せてかなっ!」

 味方からパスを受け取ったイチがスリーポイントシュートを放つ。綺麗なフォームから繰り出されたシュートは弧を描きながらゴールリングへと吸い込まれいき…パサッっと、バスケットボールがリングネットを揺らした音が響く…。 

「ナイスシュートっ!イチっ!」 

 俺の声にニッコリと笑って応えるとすぐにディフェンスにつくイチ。今日のイチも動きがキレてるな。スピードもパワーも気迫も人一倍あるような感じだ。安心してプレイを観ていられるって感じだ。 

「ナイスシュート、イチ!」 

「かな♪」 

「イチ中心にボール集めていくから宜しくっ!」 

「オッケー!」 

「了解っ!」 

 チームメイトとそんなやり取りをしているのが聞こえてくる。その声は当然相手チームにも聞こえているみたいでイチへの警戒を強めているのが分かる。相手チームの軽快なパス回しから… 

「甘いっ!」 

「くっ!?」 

 味方がそのパスを途中でカット。そのまま速攻をかける。そして自らダンク! 決まった。 この世界の女子は身体能力が高すぎて最早前世でいうところのバスケットのスーパースター達のプレイを生で観ているかのようだ。 相手がドリブルで切り込んで来ても、素早くボールを奪うと、ボールはイチへと回る。スリーポイントラインまでドリブルで攻め込むとイチが得意なスリーポイントが放たれる。また決まった。これでイチが放ったスリーポイントは十本目。十本全て決めている事になる。百発百中というわけだ。 

 相手チームはその後、イチに二人つけたり色々しているけど、イチへの警戒を強めれば他の選手がフリーになる。点差は広がっていくばかりだ。気がつけば前半終了時には62対32という30点もの点差がついていた。ちょうどイチが決めたスリーポイントの点数分だな。 

「十本目だよね」 

「今日も好調じゃん♪」 

「この調子でガンガン頼むわね?」 

「今日のイチなら余裕しょっ?」 

「うん♪勿論頑張るかな。でも…」 

「「「「?」」」」 

「後半はあの子が出てくると思うかな…だから…一本一本大事になってくると思うかな」 

「嗚呼…」 

「彼女か…」 

「…厄介よね」 

「イチのライバルだよね?」 

「うん。そうなるかな」 

 後半も余裕だろうと思いながら俺は試合を観ていたんだけど…後半から出てきた相手チームの選手によって流れが変わったのだ。後から聞いた話だけど彼女はイチのライバルらしい。 

「止めるっ!」 

「行かせない!」 

「…甘い」 

 切り込んでいくと見せかけて、下がりながらその場からシュートを放つ。いやいや…センターラインの近くだぞ!?イチの放ったシュートのように長めの弧を描きながらゴールリングへと吸い込まれていくボール。 嘘だろ…入っちまったよ…。 

「…やられたね」 

「…ニナはセンターラインを越えたら、どこからでも狙ってくるから気をつけて欲しいかな」 

「そうだったわね。ごめん…」 

「大丈夫かな!まだまだ点差はある…かな」 

「…うん」 

 相手チームはそのまま勢いに乗りイチ達からボールを奪うと、ニナにボールを回し始める。パスを受け取るとすぐさまスリーポイントを放ってくるニナ。その全てがゴールリングへと導かれるようにゴールリングネットを揺らしていく。 

「私がニナにつく…かな」 

「…だね。任せるよ」 

「彼女を止められるのはイチだけだと思う」

 どうやらこのままではマズイと思ったのかイチがニナに対してマンツーマンで対応。二人の攻防の凄まじい事凄まじい事…。 





 試合が終わってみると113対103という展開だった。勿論今回はイチのチームが勝ったんだけど…あのニナって子…凄かったな。後半から出てきてそこまで追い上げたのだから…。まあ、彼女が後半から出てきたのは怪我から復帰したばかりで念の為に大事をとっての事らしい。練習試合だしな。 

「ど、どうっしょっ!?い、イチには負けてないしょっ!?」 

「いやいや…私の腰使いにはまだまだ遠いかな♪」 

「こっちは…経験なかったんだし…その分を差し引いたらあ~しの勝ちっしょっ?」 

「そんなのは関係ないかな♪」 

「くっ…悔しいしっ…」 

「あの~」 

 俺の声が連れ込み教室に響く。 

「どうしたかな?」 

「どうしたし?」 

「俺は何で…連れ込み教室でイチはともかく…ニナさんの相手をしているのかと思いまして…」 

「ライバルだからかな♪」
「ライバルだからしっ♪それに…ニナさんなんて他人行儀過ぎるしっ!ニナでいいしっ!」 

 いやいや…そんな綺麗に二人でハモられてもねぇ…。今度…試合がある時はどっちを応援すればいいんだろうな? 

「それはあたしかな♪」 

「それはあ~しっしょっ♪」 


 どういうオチだよ…。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が自分の欲望のままに生きる話。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...