72 / 108
デジャヴ
しおりを挟む
「いやいやいや…これは困たアル…困たアルよ…」
シズさんが俺達の家に住みだしてから一週間が経った。体力向上の為に日課にしている朝の散歩をしているとそんな声を耳にした。なんだかデジャブを感じてしまうな。困たって事は困ったって事だよな? 声がした方に視線を向けると、そこには真冬と同じくらいの歳の女の子の姿が。
その黒髪はお団子状に二つに纏められており、その服装はチャイナ服を着用しているのが見てとれる。余談だが…チャイナ服のスリットからは健康そうな太ももがチラリチラリ見え隠れしている。前世だったらこんな風に女性を見ていたら逮捕案件になりそうだな。
それはさておき…
「あの…もしかして困り事…ですか?」
「そうアルよ。爛々ちゃんとした事がどうにも道に迷ってし──」
女の子は振り向いて俺の顔を見ると言葉を詰まらせてしまった。しまったな。ウッカリしていた。俺は大多数の人には超絶ブサイクに見えるんだったな…。たぶん…女の子は俺のその姿を見て言葉が出なくなってしまったんだろうな…。良かれと思って声を掛けてしまったが失敗してしまったな…。とりあえず謝るべきだな。
「…えっ…と…すいません。ブサイクな俺が声を掛けてしまって…」
「…二ー」
「ん?」
「…我爱你っ……」
「えっ?」
今…この子は何て言ったんだ?ちょっと聞き取れなかったな…。外国の人だろうか?いや、でもさっきは日本語で喋ってたよな?
「すいません。今、何と言ったか聞き取れなかったので…もう一度いいでしょうか?」
「我爱你と言ったアル」
「えっ…と…我爱你?」
どこの言葉だったったけっ?ウォーアイニー、ウォーアイニー…何だか聞いた事ある言葉なんだけどな…。思い出せないな。
「と、とりあえず…その…我爱你という言葉が分からないんだけど…」
「これは失礼したアル。あまりにもトキメくものだから、つい本音が出てしまったアル」 「は、はぁ」
トキメく?トキめくと言ったのか?もしかして…この子は俺の本当の姿が見えてるのかな?
「ワタシ爛々言うアル♪お兄さんは何て名前アル?」
「名前?」
「そう!名前アル」
「俺は…隼豊和って言うんだけど…」
「…隼豊和…隼隼隼っ…よし!覚えたアル!ワタシは今日から隼爛々アル♪」
ちょおーいっ!?いつの間にか結婚したみたいになってるよっ!?早い早い早いよっ!?距離の詰め方が半端じゃねぇよっ!?
「そ、それは置いておくとして…」
「置かないで欲しいアルっ!?」
「み、道に迷ってたんだよね?」
「豊和に会う為に迷ってたと思うアル♡」
に、逃げた方がいいか?しかし逃げきれるだろうか?女性の身体能力は半端ねぇからな。でも…ポーっとしているみたいだし…案外いけるか?
「会った事もない姉に会いに来て僥倖だったアルよっ♪見知らぬ姉に感謝アル♪もう姉に会いに行く必要はないアルね?見知らぬ姉よ、爛々はこの人と幸せになるアルよ…」
んっ…?会った事もない姉に会いに来た?それって…先日…衝撃の事実が発覚したって大騒ぎしていたルナの件と色々と重なる部分がある気がするな…。顔をよく見てみると…何だかルナやシズさんの面影というか、似た雰囲気を感じてしまうな。後…そこはせっかくだし会おうよ…。
「ど、どうしたアルっ!?そんなに爛々を見つめて…そ、そんなに見つめられたら食べちゃいそうアルっ♡」
「ちょっと聞きたいんだけど…」
「何でも聞くが宜しいアル!ちなみにスリーサイズは上から──」
「いや、そうじゃなくて…君のお母さんって…もしかしてなんだけど西園寺シズさんじゃない?」
「…ほへっ!?何で母ちゃまの名前を知ってるアルかっ!?」
「ああ…なるほど…」
血は争えないってやつだな…。シズさんも迷ってたけど、まさか娘の爛々ちゃんまで迷っていたとは…。
「とりあえず…家に行こうか」
「さっ、早速アルかっ!?い、意外と大胆アルね…♡ ま、まあ…そういう所も他の男性にはないところみたいで好ましいアル♡初めてなので優しくして欲しいアルが…まあ、激しいのも望むところではあるアル…♡」
今のは俺の言い方が悪かったな。
「家にはシズさんと…君のお姉さんのルナが居るからさあ…」
「…!? なんですとぉぉー…アル…」
まあ、そんなわけで…俺とルナとの関係を説明しながら家への帰路へと着くことになった。初めて顔を合わせるわけだけど…何事もなければいいな…。
シズさんが俺達の家に住みだしてから一週間が経った。体力向上の為に日課にしている朝の散歩をしているとそんな声を耳にした。なんだかデジャブを感じてしまうな。困たって事は困ったって事だよな? 声がした方に視線を向けると、そこには真冬と同じくらいの歳の女の子の姿が。
その黒髪はお団子状に二つに纏められており、その服装はチャイナ服を着用しているのが見てとれる。余談だが…チャイナ服のスリットからは健康そうな太ももがチラリチラリ見え隠れしている。前世だったらこんな風に女性を見ていたら逮捕案件になりそうだな。
それはさておき…
「あの…もしかして困り事…ですか?」
「そうアルよ。爛々ちゃんとした事がどうにも道に迷ってし──」
女の子は振り向いて俺の顔を見ると言葉を詰まらせてしまった。しまったな。ウッカリしていた。俺は大多数の人には超絶ブサイクに見えるんだったな…。たぶん…女の子は俺のその姿を見て言葉が出なくなってしまったんだろうな…。良かれと思って声を掛けてしまったが失敗してしまったな…。とりあえず謝るべきだな。
「…えっ…と…すいません。ブサイクな俺が声を掛けてしまって…」
「…二ー」
「ん?」
「…我爱你っ……」
「えっ?」
今…この子は何て言ったんだ?ちょっと聞き取れなかったな…。外国の人だろうか?いや、でもさっきは日本語で喋ってたよな?
「すいません。今、何と言ったか聞き取れなかったので…もう一度いいでしょうか?」
「我爱你と言ったアル」
「えっ…と…我爱你?」
どこの言葉だったったけっ?ウォーアイニー、ウォーアイニー…何だか聞いた事ある言葉なんだけどな…。思い出せないな。
「と、とりあえず…その…我爱你という言葉が分からないんだけど…」
「これは失礼したアル。あまりにもトキメくものだから、つい本音が出てしまったアル」 「は、はぁ」
トキメく?トキめくと言ったのか?もしかして…この子は俺の本当の姿が見えてるのかな?
「ワタシ爛々言うアル♪お兄さんは何て名前アル?」
「名前?」
「そう!名前アル」
「俺は…隼豊和って言うんだけど…」
「…隼豊和…隼隼隼っ…よし!覚えたアル!ワタシは今日から隼爛々アル♪」
ちょおーいっ!?いつの間にか結婚したみたいになってるよっ!?早い早い早いよっ!?距離の詰め方が半端じゃねぇよっ!?
「そ、それは置いておくとして…」
「置かないで欲しいアルっ!?」
「み、道に迷ってたんだよね?」
「豊和に会う為に迷ってたと思うアル♡」
に、逃げた方がいいか?しかし逃げきれるだろうか?女性の身体能力は半端ねぇからな。でも…ポーっとしているみたいだし…案外いけるか?
「会った事もない姉に会いに来て僥倖だったアルよっ♪見知らぬ姉に感謝アル♪もう姉に会いに行く必要はないアルね?見知らぬ姉よ、爛々はこの人と幸せになるアルよ…」
んっ…?会った事もない姉に会いに来た?それって…先日…衝撃の事実が発覚したって大騒ぎしていたルナの件と色々と重なる部分がある気がするな…。顔をよく見てみると…何だかルナやシズさんの面影というか、似た雰囲気を感じてしまうな。後…そこはせっかくだし会おうよ…。
「ど、どうしたアルっ!?そんなに爛々を見つめて…そ、そんなに見つめられたら食べちゃいそうアルっ♡」
「ちょっと聞きたいんだけど…」
「何でも聞くが宜しいアル!ちなみにスリーサイズは上から──」
「いや、そうじゃなくて…君のお母さんって…もしかしてなんだけど西園寺シズさんじゃない?」
「…ほへっ!?何で母ちゃまの名前を知ってるアルかっ!?」
「ああ…なるほど…」
血は争えないってやつだな…。シズさんも迷ってたけど、まさか娘の爛々ちゃんまで迷っていたとは…。
「とりあえず…家に行こうか」
「さっ、早速アルかっ!?い、意外と大胆アルね…♡ ま、まあ…そういう所も他の男性にはないところみたいで好ましいアル♡初めてなので優しくして欲しいアルが…まあ、激しいのも望むところではあるアル…♡」
今のは俺の言い方が悪かったな。
「家にはシズさんと…君のお姉さんのルナが居るからさあ…」
「…!? なんですとぉぉー…アル…」
まあ、そんなわけで…俺とルナとの関係を説明しながら家への帰路へと着くことになった。初めて顔を合わせるわけだけど…何事もなければいいな…。
32
あなたにおすすめの小説
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
数年振りに再会した幼馴染のお兄ちゃんが、お兄ちゃんじゃなくなった日
プリオネ
恋愛
田舎町から上京したこの春、5歳年上の近所の幼馴染「さわ兄」と再会した新社会人の伊織。同じく昔一緒に遊んだ友達の家に遊びに行くため東京から千葉へ2人で移動する事になるが、その道中で今まで意識した事の無かったさわ兄の言動に初めて違和感を覚える。そしてその夜、ハプニングが起きて………。
春にぴったりの、さらっと読める短編ラブストーリー。※Rシーンは無いに等しいです※スマホがまだない時代設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる