6 / 13
第一部
オーディションに落ちた少女③
しおりを挟む
「──ねぇ、豊にぃ…それにそこの発情した泥棒雌兎は何してるの…?」
生まれてこのかた聞いた事がない冷たい声。声の主は俺の可愛い妹である筈の深雪。帰宅一番深雪は俺の部屋へと真っ直ぐにやってきて放たれたのがこの言葉。
泥棒雌兎って彼女に失礼だろ!?声を大にして言いたいが深雪の雰囲気がそれを許さない。
「あれ?二人とも私の声が聞こえてないのかな?かな?私は何してるのと聞いてるんだけど?」
目の前に阿修羅…いや、般若か…?とにかく恐怖の大王が降臨なされてるぅぅぅぅ…。
と、とりあえず口を開いて弁明しないと。
「「い、いや…その…これは誤解──」」
「──誤解も何もないんじゃないかな?あっ、とりあえず二人ともその場に正座してくれる?」
誤解を解こうと口を開いたところ、彼女と奇しくも言葉がハモる事になったのだが、それが気に入らなかったようですぐさま深雪から言葉を被せられてしまった。
今…二人して正座って言った…?彼女にも正座させるつもりなの…?
「あ、あのな深雪っ「いいから正座っ!」…あ、はい」
「そこの泥棒猫もだよ」
「は、はいぃぃぃっ!」
俺と彼女は即座正座をかました。これは仕方ない。彼女はいまだにバスタオルしか身につけていないだよなぁ。その状態で正座させるとは…恐るべしは深雪よな…。せめて服くらいは着させてあげてもいいんじゃないかな…。
「じゃあ…一人ずつナニするつもりだったのか聞かせてくれるかな?まずはそこの泥棒雌兎からどうぞ」
彼女が心配になり、視線をチラっと向ける。視線を向けてしまったのは失敗だった。何故なら彼女の髪はまだ濡れみを帯びていて妙に色っぽいのだ。胸の谷間と露わになっている太ももも非常に目の毒だ。
「…ごくっ…」
思わず生唾を飲み込んでしまう…。
「こら!そこっ!泥棒雌兎にいやらしい視線を向けない!」
「い、いや…見てない」
「へぇ~…。嘘つくんだ…?」
「う、嘘では…」
「生唾も飲み込んでたのに?これ以上豊にぃが嘘をつくのなら…私に襲われる覚悟はあると思っていいんだよねぇ?必死に毎晩毎晩こちとら自分で自分を慰めて我慢しているんだから…」
これ以上嘘をつくと深雪は絶対にやる…。だって目がマジなんだもん…。
後半の言葉には色々とツッコみたくなるがツッコんだらいけない気がする…。よ、世の中触れない方がいいことってあるよね。
「は、はい…チラっと見てました」
「チラっとじゃなくてガン見だよね?」
「あ、はい。すいません」
深雪が先に彼女に服を着るように言葉にしてくれたらこんな事にはなってないんだけど…?
「何か言いたい事があるの?」
「いえ、ありません」
「…ふぇっ…?あわわわっ…わ、私…いやらしい視線を受けてたの!?それに私の体を見て生唾まで飲み込んでもらえたのっ!?」
彼女は彼女で何故だか照れながら両手を両頬にあてて体をくねらせながら喜んでいる。
それは…この場において悪手というやつでは…?
「泥棒雌兎は頬を染めて喜ばない!」
「つ、つい…す、すいませんでしたぁぁぁ」
ですよねぇ~。
「はい、泥棒雌兎!説明!」
「は、はい。私は…かっ、彼に誘われたので…ナニするつもりでした!」
「…でしょうね」
「ちょぉぉぉぉいっ!?百歩譲って誘ったのは確かに俺かも知れないけどナニするつもりでしたって何っ!?」
「「ナニってセックス」」
「そこは二人でハモるのかよ…」
「泥棒雌兎なら絶対にそう言うと私は思ってたわ。それで最早聞くまでもないけど…一応豊にぃの言い分は?」
「き、聞くまでもないって言われても…」
くっ…このままでは冤罪になってしまう…。とりあえず最初から何があったのかを説明してみる事に…。
結果…
「豊にぃやってるじゃん!?それ誘ってるじゃん!豊にぃギルティもギルティだよ!!しかも名前も聞いてないなんておかしいでしょっ!?言葉が抜けてるにも限度があるでしょう!」
「えっと…俺は天歌豊和」
「あっ…わ、私は感情優花…です。と、年は今年十六に──」
今年十六という事は同じ歳だったのかぁ…
「──そこっ!このタイミングで自己紹介しないっ!だいたいいつもいつも豊にぃには口を酸っぱくして言ってるけど──」
俺と感情さんの正座が解かれたのは実にここから二時間後の事だった…。
生まれてこのかた聞いた事がない冷たい声。声の主は俺の可愛い妹である筈の深雪。帰宅一番深雪は俺の部屋へと真っ直ぐにやってきて放たれたのがこの言葉。
泥棒雌兎って彼女に失礼だろ!?声を大にして言いたいが深雪の雰囲気がそれを許さない。
「あれ?二人とも私の声が聞こえてないのかな?かな?私は何してるのと聞いてるんだけど?」
目の前に阿修羅…いや、般若か…?とにかく恐怖の大王が降臨なされてるぅぅぅぅ…。
と、とりあえず口を開いて弁明しないと。
「「い、いや…その…これは誤解──」」
「──誤解も何もないんじゃないかな?あっ、とりあえず二人ともその場に正座してくれる?」
誤解を解こうと口を開いたところ、彼女と奇しくも言葉がハモる事になったのだが、それが気に入らなかったようですぐさま深雪から言葉を被せられてしまった。
今…二人して正座って言った…?彼女にも正座させるつもりなの…?
「あ、あのな深雪っ「いいから正座っ!」…あ、はい」
「そこの泥棒猫もだよ」
「は、はいぃぃぃっ!」
俺と彼女は即座正座をかました。これは仕方ない。彼女はいまだにバスタオルしか身につけていないだよなぁ。その状態で正座させるとは…恐るべしは深雪よな…。せめて服くらいは着させてあげてもいいんじゃないかな…。
「じゃあ…一人ずつナニするつもりだったのか聞かせてくれるかな?まずはそこの泥棒雌兎からどうぞ」
彼女が心配になり、視線をチラっと向ける。視線を向けてしまったのは失敗だった。何故なら彼女の髪はまだ濡れみを帯びていて妙に色っぽいのだ。胸の谷間と露わになっている太ももも非常に目の毒だ。
「…ごくっ…」
思わず生唾を飲み込んでしまう…。
「こら!そこっ!泥棒雌兎にいやらしい視線を向けない!」
「い、いや…見てない」
「へぇ~…。嘘つくんだ…?」
「う、嘘では…」
「生唾も飲み込んでたのに?これ以上豊にぃが嘘をつくのなら…私に襲われる覚悟はあると思っていいんだよねぇ?必死に毎晩毎晩こちとら自分で自分を慰めて我慢しているんだから…」
これ以上嘘をつくと深雪は絶対にやる…。だって目がマジなんだもん…。
後半の言葉には色々とツッコみたくなるがツッコんだらいけない気がする…。よ、世の中触れない方がいいことってあるよね。
「は、はい…チラっと見てました」
「チラっとじゃなくてガン見だよね?」
「あ、はい。すいません」
深雪が先に彼女に服を着るように言葉にしてくれたらこんな事にはなってないんだけど…?
「何か言いたい事があるの?」
「いえ、ありません」
「…ふぇっ…?あわわわっ…わ、私…いやらしい視線を受けてたの!?それに私の体を見て生唾まで飲み込んでもらえたのっ!?」
彼女は彼女で何故だか照れながら両手を両頬にあてて体をくねらせながら喜んでいる。
それは…この場において悪手というやつでは…?
「泥棒雌兎は頬を染めて喜ばない!」
「つ、つい…す、すいませんでしたぁぁぁ」
ですよねぇ~。
「はい、泥棒雌兎!説明!」
「は、はい。私は…かっ、彼に誘われたので…ナニするつもりでした!」
「…でしょうね」
「ちょぉぉぉぉいっ!?百歩譲って誘ったのは確かに俺かも知れないけどナニするつもりでしたって何っ!?」
「「ナニってセックス」」
「そこは二人でハモるのかよ…」
「泥棒雌兎なら絶対にそう言うと私は思ってたわ。それで最早聞くまでもないけど…一応豊にぃの言い分は?」
「き、聞くまでもないって言われても…」
くっ…このままでは冤罪になってしまう…。とりあえず最初から何があったのかを説明してみる事に…。
結果…
「豊にぃやってるじゃん!?それ誘ってるじゃん!豊にぃギルティもギルティだよ!!しかも名前も聞いてないなんておかしいでしょっ!?言葉が抜けてるにも限度があるでしょう!」
「えっと…俺は天歌豊和」
「あっ…わ、私は感情優花…です。と、年は今年十六に──」
今年十六という事は同じ歳だったのかぁ…
「──そこっ!このタイミングで自己紹介しないっ!だいたいいつもいつも豊にぃには口を酸っぱくして言ってるけど──」
俺と感情さんの正座が解かれたのは実にここから二時間後の事だった…。
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢が攻略対象ではないオレに夢中なのだが?!
naomikoryo
ファンタジー
【★♪★♪★♪★本当に完結!!読んでくれた皆さん、ありがとうございます★♪★♪★♪★】
気づけば異世界、しかも「ただの数学教師」になってもうた――。
大阪生まれ大阪育ち、関西弁まるだしの元高校教師カイは、偶然助けた学園長の口利きで王立魔法学園の臨時教師に。
魔方陣を数式で解きほぐし、強大な魔法を片っ端から「授業」で説明してしまう彼の授業は、生徒たちにとって革命そのものだった。
しかし、なぜか公爵令嬢ルーティアに追いかけ回され、
気づけば「奥様気取り」で世話を焼かれ、学園も学園長も黙認状態。
王子やヒロイン候補も巻き込み、王国全体を揺るがす大事件に次々と遭遇していくカイ。
「ワイはただ、教師やりたいだけやのに!」
異世界で数学教師が無自覚にチートを発揮し、
悪役令嬢と繰り広げる夫婦漫才のような恋模様と、国家規模のトラブルに振り回される物語。
笑いとバトルと甘々が詰まった異世界ラブコメ×ファンタジー!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる