男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴

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第二章

再会

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 陛下達が帰るとようやく一息つく事が出来た。国でも一番偉い人が領内にいるとやはり落ち着かないものだ。失礼な事は出来ないしね。  
 まあ、一番の理由はあの演説を聞かなくなって良かった事だな…。

 それで、陛下が帰るという事はティアも一緒に帰るという事でその事に関して正直に言うと寂しいと感じてしまう…。

 ティアと近くの川で釣りをしたり…村の中を時間が許す限り一緒に見て回ったり…とにかくティアの時間が許す限り一緒に過ごした。ティアは帰る時に泣いていたんだけど、必ず会いに行くからという約束を交わしたらとびきりの笑顔を見せてくれた。その笑顔にドキリとしてしまった。まぁ、これはしょうがない事だろう。ホントにその笑顔が素敵だったんだから…。

 ハートネス女王達は陛下達が帰ると同時に毎日の様にミリアとの婚約を薦めてきている。婚約の件に関しては取り敢えず保留にしてもらっている。

 そしていつも会話の最後は…『祖母娘丼が欲しいなら早く決めて頂戴ね?私も母も出来るだけ若い内に頂いて欲しいから…ねっ♡』と、言われる。どれだけ俺にソレを食べさせたいんだよ、全く。まあ、普通の男ならあの色気に堕ちてしまうだろうな。

 まあ、そんな感じで毎日色々ある訳なんだけど…。とある日にウーシェンに呼ばれたんだ。

『頼まれていた件、何とかなりました』って。

 ようやくだ…。ようやくその時が来た。ホントに時間が随分掛かってしまった。俺は急ぎ、レイラと共にウーシェンの元へと向かった。

「あの…御主人様…今日は何を?」

「そろそろ…御主人様って言うの止めない?」

「御主人様は御主人様ですので…」

「そのうち…普通に名前で呼んでよね?」

「…ええと…そ、そんな事よりも…」

「そんな事じゃないからね!?結構大事な事だと思うんだけどっ!?」

「マリア様からなのですが、もう少し私達に構う時間を作る様にと言付かっております」

「…なるほど…そっちの方が大事な事だったね…。了解了解。この後でになっちゃうけど、母さん達と過ごす事にするよ」

「そうされて下さいませ」






~sideレイラ~

 
 ウーシェン様の元に行く道すがら私はふと思い出した。

 御主人様に引き取られてもう2年が経ったんだなと。

 最初は遊び相手に私を欲したのだろうと思っていた。飽きたら私を捨てるだろうと。でも、そんな考えは引き取られてすぐに考えを改める事になる。

 だって御主人様は女性ではなく男性だったのだから…。それが分かったのはその日の夜の事だった。

 それは…マリア様のそろそろお風呂に入りましょうか?と、言う一言が切っ掛けだった。どうやら御主人様達はみんなでお風呂に入る人達みたい。仲がいいのだろう。だけど、そこで御主人様が声を張りあげた。

「待って!?母さん聞いて欲しい事があるんだっ!そろそろ僕も一人で「駄目に決まってるでしょう、エル?」…あ、はい」

 流石の御主人様もマリア様には逆らえないみたい。

「さあ、レイラも一緒に入ろうね?」

「…あ、はい」

「いやいや、流石にそれは駄目なんじゃないかな? だって僕、男だよ?」

 この時声をあげなかった私を誰か褒めて欲しい。御主人様が殿方なんて聞いてないのですけどっ!?えっ!?はっ!?マジですかっ!?

 殿方とお風呂なんて恥ずか死んじゃうんですけど!?それだけで孕んでしまいそうです!?  
で、でも殿方とお風呂なんてこんな機会じゃないと入れないしと葛藤しながらもそれを悟られない様に私は返事を返した。あの時の私って自分で言うのもなんだけど凄いよね?

「…私は構いません」

「…はっ?」

 御主人様のあの時の驚いた顔はずっと忘れられません。まあ、その後、ちょっと御主人様の股関にぶら下がっているものを凝視してしまったのは仕方ないといえるでしょう。


 それにすぐに私は奴隷の身分から解放されたのです。そして貴族であった頃と同じ様な生活をさせて頂く事になりました。流石にそんな事思ってもいませんでした…。なので自分からエル様に仕える事を決めたのです。

 そして次の日、私は。あっ、この話は今は思いだすのは止めましょう。下着を代えないといけなくなるので…。

 とにかくそれからは率先して私は御主人様の世話をやきたいと思い、寝る時も、お風呂も、どんな時も必ず一緒に居たいと思うようになりました。要は惚れてしまったという訳です。チョロいとか言われそうですが…だって、仕方なくないっ!?奴隷に堕ちて絶望していた私を救ってくれたのですよ!?そしてそんな私にずっと優しいんですよ!?だから、チョロくなんてないのです!!これで惚れない女性はいないでしょう?

 ちょっとシモの話にもなるのですが、殿方は、その~筆おろし…いわゆる夜伽の相手は侍女だと聞いた事があります。誰かがそう言ってました!それを耳にしたのです!密かにその相手が私だといいな…と、いうよりも私でして下さいと思っています。

 話は突然変わりますが、御主人様に対しての驚きはまだまだ続きます。私より歳下なのに思い付く事の全てが天才の発想。どうすればそんな風に思い付くのか…ホント驚かされるばかりです…。

 ただ…やっぱり…どんな時もお母様の事が気掛かりでなりません。ウーシェンさんから聞いた話では現在どこに居るのか分からないそうです。結局の所…私だけこんなに幸せでいいのだろうかとよく考えてしまいます。

 せめて…御主人様に恵まれて、元気に過ごして下さっていればと願うばかりです。






 思い返しているうちにウーシェンさんの屋敷へと着きました。そしてすぐに、私はウーシェンさんに呼ばれました。御主人様はというと、別室にて待機される様です。ウーシェンさんが何の用かは分かりませんが素早くその用を済ませて御主人様の元に戻ろうと私は意気込みます。

「ここの客間にあなたに会わせたい人が居るわ」

「私にですか?」

「ええ…過ごすといいわ」

「はい…ありがとうございます」

 誰かは分かりませんがそんなにゆっくりと過ごす訳には参りません。御主人様が待っていらっしゃるのですから。客間の扉を開け、目に入ったのは…

「……!?  お、お母……様?」

「レイラっ!」

「お母様ぁぁぁぁぁぁぁ――――!!」

 私は一目散にその場を駆け出し、迷わずお母様に抱き着きます。

「"お"か"あ"さ"ま"お"か"ぁ"ぁ"あ"さ"ま"!!!」
「"レ"イ"ラ"レ"イ"ラ"ッ"!!!」

 客間に居たのはお母様…。随分苦労されたのでしょう。記憶の中のお母様よりだいぶ痩せ細っておられたのだから…。私達は抱き合いながら時間を忘れ…再会を喜び…泣きに泣きまくってしまった…。

 私達がようやく落ち着きを取り戻した時、ウーシェンさんが私達のところへとやって来た。  
 私達がいる部屋のドアをノックして「そろそろ話せる?」と、わざわざ声を出し確認迄とってくれた。
 
 気を使って頂き感謝します、ウーシェン様…。そして私達親子はウーシェン様に頭を下げます。

「「本当にありがとうございました!お陰で再びお母様(娘)に会うことが出来ました!」」

「私にお礼はいりませんよ? 本当は…内緒と言われたんだけどね、その言葉はエル様に言った方がいい」

「御主人様に!?」

 御主人様がお母様を…

「正直に言うけど…レイラのお母さんを探すってだけで途轍もないお金が掛かったんだ…。奴隷になったお母さんを買い取る為のお金だったり、行方を知るための情報料だったり、その他諸々…色々とね?でも、それらは全てエル様が出されている。私にも出させなかったよ。その為にまず事業を為されてお金を作ったみたいだしね…」

「ご…御主人様ぁ…」

 最初から私の為にも動いてくれていたのですか…。そんな事まで…私…知らないで…。

「それから…遅くなって本当にごめんね?とも言っていたよ。それに関しては私からも謝らせて欲しい…すまない、時間がかかり過ぎてしまい…」

「謝らないで下さい…私は娘に会えた…それだけで…それだけで…」
「私もです…」

 御主人様とウーシェン様が謝る事なんて一つもありません。こうして会えただけで私達は…

「それとこれもエル様からの伝言で…『今日は既に町の宿をとっているから、そちらに泊まってゆっくり2人で過ごして欲しい』との事だよ?こちらの事は気にしないでいいってさ。本当にいい男だね…エル様は」

「エル…さま…エルさまぁ…」

 エル様…あなた様はどこまで…どこまでカッコいいのですか?どこまで惚れさせるつもりなんです?私は未来永劫どこまでも御側にいますからね?心からお慕い申し上げております…。この身はエル様だけに捧げてます…。捧げさせて下さい。



 そして私達はエル様の用意してくれた宿でエル様のお言葉通りに久しぶりの親子水入らずの時間を過ごす事が出来た。でも…当然話題はエル様の事ばかりとなった。

 余談ですがこの日の夕食を作って準備したのもエル様ということで最早私の気持ちは天元突破しています。

「エル様…大好きです」
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