男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴

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第二章

王都に向かって

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~王都に向けて旅立つ前日~ 



 前世をはじめ、漫画やアニメ、映画等も含めて悪い輩は必ず存在する。領内が賑わって来た事により、やはりという感じで、そこに目を付ける悪い輩はやっぱりこの世界にも居るわけで……。 

「母さん…ごめんなさい」 

「どうしてエルが謝るの?」 

「僕のせいで…盗賊というか山賊というか…とにかく悪い人が以前に比べると領内で増えているんだよね?」

 前から荷馬車が襲われる事はたまにはあった。ここ最近で特にその数が増えた。町の中でも窃盗等が起こり、他にも色々あったしね。

 そのせいで母さん達が領内の人達を守る為等に家を空ける事や母さんがする事が増えてしまったんだ。これは明らかに僕のせいだ。この領地で作られてる味噌等。そして一番の要因はようやく出来た醤油と酢のせいだと思われる。大量生産なんてまだ出来ないからね。

 どこから嗅ぎ付けたのか、奪ってでも新しい物を手に入れるという人達が出て来てしまったんだ…。 

「そんな顔しないで、エル。エルのお陰でみんな美味しい物を食べられるんだし、領内の人達の生活も潤っているのだから。だから、そうやって奪おうとする人達が悪いんであって、決してエルのせいではないんだからね?」 

 俺もその辺は分かってるつもりではある。奪ってとる方が悪い事は分かってるのに気持ちの整理ってなかなかし辛いものがある。それに母さんだけに留まらず他にもその件に関わるみんなの手を煩わせてしまったのは反省すべきだと思ってるんだよね…。 

「マリア様の言う通りアルよ?私達も居るし、ハートネス王国から派遣された人達もいるアルから悪い奴等は片っ端から捕まってるアル!」

 リンリンが言った様に醤油が出来る前からハートネス女王が兵士やら人材やらを派遣してくれた。試作品の段階で醤油が気に入ったからだとはいえ、本当にありがたい事だ。

 ティアとランスには明日直接渡す予定なんだ。2人共喜んでくれるといいけど。王都にもその際、少しだけ納める予定だ。何故この国の陛下よりもハートネス女王の方が先に醤油を口にしたのかは察して欲しい…。あの人ちょくちょくミリアを連れてここに来るんだもの…。

「ん…エル様が作った物は奪わせない…。特に醤油なんてまだ作れる量が少ないのに…」

 そういえばレーティは刺し身を醤油とワサビで食べるのが気に入ったみたいだったね。特にハマチの刺し身。身は勿論の事、アラはアラで煮付けに最適だしハマチはいいよな!俺も大好物だ。

「エル様は今まで通りで構いません!後は私達大人の仕事ですから!」

 ミーニャ…いつも本当にありがとうね? 

「エル様は絶対に私が護りますから!」 

 レイラは子供の割に剣術がかなりの腕らしい。何でもカイラさんに鍛えあげられたみたい…。俺とあまり変わらないのに凄い…。 

「わたくしも微力ながらお力になりますから!」

  カイラさんは全然微力じゃないよね!?それこそミーニャと模擬試合だけど良い勝負してたよね!? カイラさん曰く、ミーニャ到底には敵わないとの事だったけど…。 

「とにかく!エルは私達よりも一足早く王都へと明日旅立つんだからそっちの心配をしていなさい?ティア殿下をちゃんと祝ってあげないと駄目よ?まぁ、その辺は大丈夫だとは思うけど…。それから道中は気を付けてね?まあ、ミーニャが付いてるから心配はしてないけどね?」 

 母さんが遅れて王都に来るのも僕の尻拭いみたいなものだし…。王都で宰相さんと話せる機会があればその辺の治安の事を話してみようかな。ティアの話では一番頼りになるらしいしね! それにしても何で念を押すようにくれぐれもって言ったんだろうか?そこら辺はちゃんとするよ?






 そして出発の日の朝になった。

「エル…それじゃあ気を付けて行くのよ?」 「うん、母さん。行ってきます!王都で待ってるからね?」 

 母さんとハグを交わす。そういえば母さんと一日でも離れるなんて初めてじゃないかな?だからか、いつもよりも長めのハグをして、俺は王都へ向けて旅立ったんだ。

 俺と一緒に王都へと先に向かうのは俺とミーニャ、エリン、レイラ、レインローズ騎士団の人達21名。母さん、リンリン、レーティは後からやって来る事になっている。カイラさんは今回は留守番を買って出てくれたんだ。村で何かあった場合ウーシェンと共に対応してもらう形になっている。



 ♢


 旅は順調だった…。途中で荷馬車が壊れる迄は…。まあ、こればっかりはしょうがないよね?荷馬車の修理には少しだけ時間を要するみたいで取り敢えず先にみんなで食事をする事になったんだ。   


  そしたら… 

「「っ!?」」 
  
 味噌汁が入ったお椀をミーニャとエリンが手にした瞬間だった。

「味噌汁を口にするなっ!!!」 
「口にした者は今すぐ吐き出せっ!!!」 

 普段聞いた事がないミーニャとエリンの怒気を孕んだ様な大きな声が辺りに響き渡った…。
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