女性比が少ない世界に転生した件

美鈴

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第一部

予想通り

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 曽根崎さんの家に泊まった翌日の事だ。当然学校には小野寺さんと曽根崎さんと登校する事に。俺だけ早く出ようと思ったんだけど、それは叶わなかった。百歩譲って登校までは良かったのだが、教室に入ってからが一段と問題だった。

 俺の席の右隣に奏。左隣には優花の席が用意されていたのだ。一体どういう事だってばよっ!?

「昨日のうちに先生に豊和君の席の隣にして欲しいと言っておいたの」

 にこやかにそう告げるのは奏。

「あ~しも昨日のうちにこのクラスにして欲しい事と席を隣にして欲しいと伝えてたしょっ」

 優花もにこやかに伝えてくる。ただし優花は距離が近くないか?肩が触れ合ってるから意識しちまうだろっ!?両方から女の子のいい匂いが漂ってくるしドキドキしてしまうんよ。


「あ、あいつ…」
「くっ…殺してぇ~」
「なんでアイツがっ!?」
「ぼ、僕の小野寺さんが…」
「曽根崎さんまで…」
「豊和の野郎…」
「前世でどんだけ徳を積めばあんな…」


 クラスメイトからはやはり怨嗟の声が聞こえてくる。だが何点かは突っ込ませて欲しい。まずは池面君。小野寺さんは君のじゃないよね?それとしれっと大地も怨嗟の声をあげないように。そして最後に俺は徳等は全くといっていい程積めてはいない。積んだのは童貞の期間だけだ。


 まあ、暫くすると落ち着くだろ。落ち着くよな?寧ろ落ち着かないのは教室の後ろに立ってる女性警護官の人達の姿に落ち着かないんだけどな。八人も立ってるんだぞ?授業参観じゃないのに後ろからの視線が増えた事を気にするべきだろうに…。

 俺がおかしいのか?


 授業が始まる前には先生から──


「もうみんな知ってると思うが、うちのクラスに曽根崎が入った。んで、二人の要望により席は隼の隣。ちなみにこの学年の間は固定にして欲しいとも言われてるので席替えは三人を除いた者達だけでするから。とりあえず今からやっとくか?」

「そ、そんな…」
「あんまりだぁぁぁぁぁぁー」
「席替えの意味ねぇぇ…」
「いや、彼女達の前の席を狙うんだ」
「そ、そうかっ!」
「なるほど…」
「も、もう一度…小野寺さんの近くに…」
「絶対席替えする」
「あの子の前に…」

 阿鼻叫喚ってこういうのを言うんじゃないか?池面君は小野寺さんの前の席を狙っているようだな。分かりやすく俺の今の席を伝えるならこうなっている。



       黒 板

 
    席席 席 席 席席  

    席席 席 席 席席 

    席席 席席席 席席
        
       優俺奏


    女性警護官の人達八人


 みんなから羨ましがられるのもこれもまた仕方ないよな。女子に両隣を挟まれているのだから。

 とにかくすぐさま男子達による席替えが行われる事になった。俺の前は大地。優花の前は太田君。奏の前の席には父原君。池面君はというと黒板から一番近い前の席となった。

「そんなぁ~…こうなったら力ずくで…」

 いやいや…それは言ったらまずい言葉だろ!?奏の女性警護官の人達も聞いていたんだろう。四人のうち二人が池面君に近づき、彼をすぐさま抱えて教室を出ていく…。

「い、今のは…つい口から出てしまっただけで…だ、誰か助けてぇぇぇ~~~」

 池面君の必死な嘆願。

「よ~く教育してもらうんだぞ、池面?そんな言葉を口にしたらいかんわ」

 まあ、先生の言う通りだ。危害を加えるような言い方は駄目。絶対。嘘じゃない。教育されるだけだからしっかり学んできて欲しいと思う。


 池面君は…真面目になって戻ってくると思うので一旦置いておくとするか。先生も席替えは完了したし、池面君教育的指導という事で何事もなかったかのように授業をすでに始めたしな。俺も集中するとしよう。



♢♢♢

「昼か。豊和今日も購買に買いに行くか?学食食いに行くか?」

「そうだなぁ…」

 大地の言葉に席を立とうとすると…袖をクイクイと引っ張っられた。優花の仕業だ。

「と、豊っち…。あ、あ~しが豊っちの分も作ってきてるから…」

「「マジでっ!?」」

 朝早く起きてると思っていたら弁当を作ってくれてたのっ!?そうなると…

「すまない大地。そういうわけだ」

「ちきしょー!裏切る者が…」

 大地は捨て台詞を残し学食を食べに向かった。優花はその間にテキパキとお弁当を広げたりする。

「奏っちの分も作ってるし」

「ホント♪ありがとうね優花ちゃん」

「優花ちゃんはまだ作れないし、当然しょっ」

「しっ…しぃぃぃ~~~。それは内緒にしておいてよっ!?」

「にしししっ…」

「優花ちゃんたら…」

 微笑ましいやりとりに心が浄化されそうです。

「と、豊っち…その…あ、あ~ん」

 浄化されてる間に優花がこちらに箸で掴んだものを食べさせようとしてくる。

 こここここ、これはっ!?で、伝説の…あ~んなのか…?いいのか…?あ~んしてもらっても…。俺の口が恐る恐る開いていく。今更なんちゃってとか言われたらショックなんだが?

「私もあ~んしてあげるから早く優花ちゃんの方を食べてね?」

 んなっ!?Wあ~んだと!?いいのか…?ホントにいいんだな…?あ~んするぞ?

「あ、あ~ん…」


 クラスメイトの羨ましそうな視線を浴びつつも初めてのあ~んに心が満たされてしまう俺だった。


 しかも後で気がついたんだが箸は使い回している為に間接キスやん!?

 ホントマジか!?童貞の魔法使いがラブコメの魔法使いに進化したのかも!?


 そんな風に思ってしまう今日この頃…。








「──あれって…あの時の隼君ですよね?女の子とあんなに仲良く…なんかイライラしてきます…」
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