16 / 20
第一部
予想通り
しおりを挟む
曽根崎さんの家に泊まった翌日の事だ。当然学校には小野寺さんと曽根崎さんと登校する事に。俺だけ早く出ようと思ったんだけど、それは叶わなかった。百歩譲って登校までは良かったのだが、教室に入ってからが一段と問題だった。
俺の席の右隣に奏。左隣には優花の席が用意されていたのだ。一体どういう事だってばよっ!?
「昨日のうちに先生に豊和君の席の隣にして欲しいと言っておいたの」
にこやかにそう告げるのは奏。
「あ~しも昨日のうちにこのクラスにして欲しい事と席を隣にして欲しいと伝えてたしょっ」
優花もにこやかに伝えてくる。ただし優花は距離が近くないか?肩が触れ合ってるから意識しちまうだろっ!?両方から女の子のいい匂いが漂ってくるしドキドキしてしまうんよ。
「あ、あいつ…」
「くっ…殺してぇ~」
「なんでアイツがっ!?」
「ぼ、僕の小野寺さんが…」
「曽根崎さんまで…」
「豊和の野郎…」
「前世でどんだけ徳を積めばあんな…」
クラスメイトからはやはり怨嗟の声が聞こえてくる。だが何点かは突っ込ませて欲しい。まずは池面君。小野寺さんは君のじゃないよね?それとしれっと大地も怨嗟の声をあげないように。そして最後に俺は徳等は全くといっていい程積めてはいない。積んだのは童貞の期間だけだ。
まあ、暫くすると落ち着くだろ。落ち着くよな?寧ろ落ち着かないのは教室の後ろに立ってる女性警護官の人達の姿に落ち着かないんだけどな。八人も立ってるんだぞ?授業参観じゃないのに後ろからの視線が増えた事を気にするべきだろうに…。
俺がおかしいのか?
授業が始まる前には先生から──
「もうみんな知ってると思うが、うちのクラスに曽根崎が入った。んで、二人の要望により席は隼の隣。ちなみにこの学年の間は固定にして欲しいとも言われてるので席替えは三人を除いた者達だけでするから。とりあえず今からやっとくか?」
「そ、そんな…」
「あんまりだぁぁぁぁぁぁー」
「席替えの意味ねぇぇ…」
「いや、彼女達の前の席を狙うんだ」
「そ、そうかっ!」
「なるほど…」
「も、もう一度…小野寺さんの近くに…」
「絶対席替えする」
「あの子の前に…」
阿鼻叫喚ってこういうのを言うんじゃないか?池面君は小野寺さんの前の席を狙っているようだな。分かりやすく俺の今の席を伝えるならこうなっている。
黒 板
席席 席 席 席席
席席 席 席 席席
席席 席席席 席席
優俺奏
女性警護官の人達八人
みんなから羨ましがられるのもこれもまた仕方ないよな。女子に両隣を挟まれているのだから。
とにかくすぐさま男子達による席替えが行われる事になった。俺の前は大地。優花の前は太田君。奏の前の席には父原君。池面君はというと黒板から一番近い前の席となった。
「そんなぁ~…こうなったら力ずくで…」
いやいや…それは言ったらまずい言葉だろ!?奏の女性警護官の人達も聞いていたんだろう。四人のうち二人が池面君に近づき、彼をすぐさま抱えて教室を出ていく…。
「い、今のは…つい口から出てしまっただけで…だ、誰か助けてぇぇぇ~~~」
池面君の必死な嘆願。
「よ~く教育してもらうんだぞ、池面?そんな言葉を口にしたらいかんわ」
まあ、先生の言う通りだ。危害を加えるような言い方は駄目。絶対。嘘じゃない。教育されるだけだからしっかり学んできて欲しいと思う。
池面君は…真面目になって戻ってくると思うので一旦置いておくとするか。先生も席替えは完了したし、池面君教育的指導という事で何事もなかったかのように授業をすでに始めたしな。俺も集中するとしよう。
♢♢♢
「昼か。豊和今日も購買に買いに行くか?学食食いに行くか?」
「そうだなぁ…」
大地の言葉に席を立とうとすると…袖をクイクイと引っ張っられた。優花の仕業だ。
「と、豊っち…。あ、あ~しが豊っちの分も作ってきてるから…」
「「マジでっ!?」」
朝早く起きてると思っていたら弁当を作ってくれてたのっ!?そうなると…
「すまない大地。そういうわけだ」
「ちきしょー!裏切る者が…」
大地は捨て台詞を残し学食を食べに向かった。優花はその間にテキパキとお弁当を広げたりする。
「奏っちの分も作ってるし」
「ホント♪ありがとうね優花ちゃん」
「優花ちゃんはまだ作れないし、当然しょっ」
「しっ…しぃぃぃ~~~。それは内緒にしておいてよっ!?」
「にしししっ…」
「優花ちゃんたら…」
微笑ましいやりとりに心が浄化されそうです。
「と、豊っち…その…あ、あ~ん」
浄化されてる間に優花がこちらに箸で掴んだものを食べさせようとしてくる。
こここここ、これはっ!?で、伝説の…あ~んなのか…?いいのか…?あ~んしてもらっても…。俺の口が恐る恐る開いていく。今更なんちゃってとか言われたらショックなんだが?
「私もあ~んしてあげるから早く優花ちゃんの方を食べてね?」
んなっ!?Wあ~んだと!?いいのか…?ホントにいいんだな…?あ~んするぞ?
「あ、あ~ん…」
クラスメイトの羨ましそうな視線を浴びつつも初めてのあ~んに心が満たされてしまう俺だった。
しかも後で気がついたんだが箸は使い回している為に間接キスやん!?
ホントマジか!?童貞の魔法使いがラブコメの魔法使いに進化したのかも!?
そんな風に思ってしまう今日この頃…。
「──あれって…あの時の隼君ですよね?女の子とあんなに仲良く…なんかイライラしてきます…」
俺の席の右隣に奏。左隣には優花の席が用意されていたのだ。一体どういう事だってばよっ!?
「昨日のうちに先生に豊和君の席の隣にして欲しいと言っておいたの」
にこやかにそう告げるのは奏。
「あ~しも昨日のうちにこのクラスにして欲しい事と席を隣にして欲しいと伝えてたしょっ」
優花もにこやかに伝えてくる。ただし優花は距離が近くないか?肩が触れ合ってるから意識しちまうだろっ!?両方から女の子のいい匂いが漂ってくるしドキドキしてしまうんよ。
「あ、あいつ…」
「くっ…殺してぇ~」
「なんでアイツがっ!?」
「ぼ、僕の小野寺さんが…」
「曽根崎さんまで…」
「豊和の野郎…」
「前世でどんだけ徳を積めばあんな…」
クラスメイトからはやはり怨嗟の声が聞こえてくる。だが何点かは突っ込ませて欲しい。まずは池面君。小野寺さんは君のじゃないよね?それとしれっと大地も怨嗟の声をあげないように。そして最後に俺は徳等は全くといっていい程積めてはいない。積んだのは童貞の期間だけだ。
まあ、暫くすると落ち着くだろ。落ち着くよな?寧ろ落ち着かないのは教室の後ろに立ってる女性警護官の人達の姿に落ち着かないんだけどな。八人も立ってるんだぞ?授業参観じゃないのに後ろからの視線が増えた事を気にするべきだろうに…。
俺がおかしいのか?
授業が始まる前には先生から──
「もうみんな知ってると思うが、うちのクラスに曽根崎が入った。んで、二人の要望により席は隼の隣。ちなみにこの学年の間は固定にして欲しいとも言われてるので席替えは三人を除いた者達だけでするから。とりあえず今からやっとくか?」
「そ、そんな…」
「あんまりだぁぁぁぁぁぁー」
「席替えの意味ねぇぇ…」
「いや、彼女達の前の席を狙うんだ」
「そ、そうかっ!」
「なるほど…」
「も、もう一度…小野寺さんの近くに…」
「絶対席替えする」
「あの子の前に…」
阿鼻叫喚ってこういうのを言うんじゃないか?池面君は小野寺さんの前の席を狙っているようだな。分かりやすく俺の今の席を伝えるならこうなっている。
黒 板
席席 席 席 席席
席席 席 席 席席
席席 席席席 席席
優俺奏
女性警護官の人達八人
みんなから羨ましがられるのもこれもまた仕方ないよな。女子に両隣を挟まれているのだから。
とにかくすぐさま男子達による席替えが行われる事になった。俺の前は大地。優花の前は太田君。奏の前の席には父原君。池面君はというと黒板から一番近い前の席となった。
「そんなぁ~…こうなったら力ずくで…」
いやいや…それは言ったらまずい言葉だろ!?奏の女性警護官の人達も聞いていたんだろう。四人のうち二人が池面君に近づき、彼をすぐさま抱えて教室を出ていく…。
「い、今のは…つい口から出てしまっただけで…だ、誰か助けてぇぇぇ~~~」
池面君の必死な嘆願。
「よ~く教育してもらうんだぞ、池面?そんな言葉を口にしたらいかんわ」
まあ、先生の言う通りだ。危害を加えるような言い方は駄目。絶対。嘘じゃない。教育されるだけだからしっかり学んできて欲しいと思う。
池面君は…真面目になって戻ってくると思うので一旦置いておくとするか。先生も席替えは完了したし、池面君教育的指導という事で何事もなかったかのように授業をすでに始めたしな。俺も集中するとしよう。
♢♢♢
「昼か。豊和今日も購買に買いに行くか?学食食いに行くか?」
「そうだなぁ…」
大地の言葉に席を立とうとすると…袖をクイクイと引っ張っられた。優花の仕業だ。
「と、豊っち…。あ、あ~しが豊っちの分も作ってきてるから…」
「「マジでっ!?」」
朝早く起きてると思っていたら弁当を作ってくれてたのっ!?そうなると…
「すまない大地。そういうわけだ」
「ちきしょー!裏切る者が…」
大地は捨て台詞を残し学食を食べに向かった。優花はその間にテキパキとお弁当を広げたりする。
「奏っちの分も作ってるし」
「ホント♪ありがとうね優花ちゃん」
「優花ちゃんはまだ作れないし、当然しょっ」
「しっ…しぃぃぃ~~~。それは内緒にしておいてよっ!?」
「にしししっ…」
「優花ちゃんたら…」
微笑ましいやりとりに心が浄化されそうです。
「と、豊っち…その…あ、あ~ん」
浄化されてる間に優花がこちらに箸で掴んだものを食べさせようとしてくる。
こここここ、これはっ!?で、伝説の…あ~んなのか…?いいのか…?あ~んしてもらっても…。俺の口が恐る恐る開いていく。今更なんちゃってとか言われたらショックなんだが?
「私もあ~んしてあげるから早く優花ちゃんの方を食べてね?」
んなっ!?Wあ~んだと!?いいのか…?ホントにいいんだな…?あ~んするぞ?
「あ、あ~ん…」
クラスメイトの羨ましそうな視線を浴びつつも初めてのあ~んに心が満たされてしまう俺だった。
しかも後で気がついたんだが箸は使い回している為に間接キスやん!?
ホントマジか!?童貞の魔法使いがラブコメの魔法使いに進化したのかも!?
そんな風に思ってしまう今日この頃…。
「──あれって…あの時の隼君ですよね?女の子とあんなに仲良く…なんかイライラしてきます…」
15
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる