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第二部
思い出して…
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「やあ…」
「久しぶり…と言っていいのかな?」
目の前にはもう1人の僕。心なしかその姿は今にも消えてしまいそう…。そんな風に思ってしまった。
「…君の思った通りだよ?僕はもうすぐ消える。消えるというよりは元に戻ると言った方が正しいのかも知れないね…。僕は君自身に真実を伝える為、守る為に君から生み出された様なモノだからね…」
「そうなんだね…」
「そんな悲しい顔しなくてもいいんだよ?何しろ元に戻るだけな様なもんなんだし…」
「…うん…。でも生み出されたって?」
「それは…僕にも分からないよ…。しいて言えば神様とかそういった存在なんじゃないかな?このような世界に転生しているんだし、何より君に色々伝える為に僕は存在してるんだから…」
「神様…か…」
(そうだね…。神様がいないと説明つかないよね…)
「じゃあ…早速…どこまで思い出した?」
「…転生前に幼馴染みが居た事…。でも、顔とか名前とかは分からなくて…ただ…その子がとても大切だったのを…憶えてる……」
「そうだね…。とても大切なその子を残して君は亡くなった…。階段から落ちて…」
「階段から落ちた所迄は憶えてるよ…」
「…彼女はとても君を愛していた…。お腹に子供が居なければ君の後を追う位に…ね」
「!?…子供が?」
「そんな中で…どういう因果なのか…運命なのか分からないけど彼女はこの世界に紛れこんだんだ…」
「この世界に!?今も…今も彼女は!?」
「…残念ながら…病で亡くなっているよ…」
「…そん…な」
名前を呼んで叫びたいのに僕は君の名前さえ憶えていないなんて…それに………子供…
はっ!?
「子供は!?子供はこの世界に居るんだよね!?」
「それを伝える前に君は知っておくべき事があるんだ…。大切だった幼馴染みの彼女の名前は神楽坂夕映…今の君の母親だよ…」
「えっ…」
「彼女は身籠った時には既にその身を病に侵されていたんだ…」
「僕は…彼女が病に侵されてる事も知らなかった…の…」
「病が進んだのは君を亡くしてからだよ…。それまではゆっくり体を蝕んでいたんだ…。彼女自身気付かないスピードで…」
「…どちらにしても…僕が…」
「何も出来ない事はあるもんだよ?…そんな中で彼女は願ったんだ…。君に会いたいと…。君に会ってもう一度幸せになりたいと……。そして…君の幸せを願った…。もしかしたら彼女は神様に会ったのかも知れないね?この世界に来たのだから…。ただ病迄は治らなかったんだ…」
「…そこで…父さん、母さんに会ったんだね?」
「うん…その通りだよ…。本当にいい人達だった…。彼女は誰も知り合いがいない世界で君を産む事が出来たのは初音さん夫妻のお陰だよ…。彼女は君を産んで間も無く亡くなってしまったけど、彼等は君を自分の息子の様に愛情を持って育ててくれたしね…」
「うん…分かってる」
(父さん…母さん…ありがとう…)
「そして…さっきも言ったけど彼女が神様に会ったかも知れないと言ったのは…彼女がこの世界に既に生まれ変わっているからだよ」
「本当に!?どこに…彼女はどこに!?どこに居るの!?教えて欲しい!!!」
「落ち着いて欲しい…君は既に彼女に会っているのだから…」
「…会って…いる?」
「そうだよ…。その前にもう一つ…。君が両親に連れられて彼女のお墓参りに行った時の事だけど、君は夫妻の後を追い…そして…追い掛け回していた連中が逃げる際に視界が悪い場所で轢かれたんだよ…」
「それで…その衝撃で記憶がないんだね?」
「うん…そうだね…。連中に轢かれた君はガードレールを越え、崖を落ちていったんだ…。連中は猪か何かと思ってたみたいだけどね…」
「…よく生きてたね、僕?」
「死んだんじゃないかな…多分。でも…神様が彼女の願いを叶えたんだと思ってる…」
「じゃあ…もしかして…僕があの公園に居たのは…」
「そう…彼女の元に神様が送ってくれたんだろうね…」
「じゃあ…もしかして…柚希が!?」
「うん…彼女が彼女の生まれ変わりだよ…だから…今度こそ幸せになるんだよ?彼女と一緒に…。二度と手離さない様に…ね?」
「!?…体が…」
目の前の僕が消えていく…。
「そろそろお別れだね。…必要な記憶は僕が消えると戻る筈だよ…じゃあね、僕?」
「…あ、ありがとう…僕…」
「…あっ、そうそう…ヤる時はヤらないとね?それが男だよ?」
「…ん…そこら辺は考えてからね…」
バイバイ…僕─。そして…辺りは真っ暗に…。目を覚ますとそこは僕の部屋だった…。お父さんの事もお母さんの事も…そして…夕映との記憶を思い出し僕は泣いたんだ…。
「久しぶり…と言っていいのかな?」
目の前にはもう1人の僕。心なしかその姿は今にも消えてしまいそう…。そんな風に思ってしまった。
「…君の思った通りだよ?僕はもうすぐ消える。消えるというよりは元に戻ると言った方が正しいのかも知れないね…。僕は君自身に真実を伝える為、守る為に君から生み出された様なモノだからね…」
「そうなんだね…」
「そんな悲しい顔しなくてもいいんだよ?何しろ元に戻るだけな様なもんなんだし…」
「…うん…。でも生み出されたって?」
「それは…僕にも分からないよ…。しいて言えば神様とかそういった存在なんじゃないかな?このような世界に転生しているんだし、何より君に色々伝える為に僕は存在してるんだから…」
「神様…か…」
(そうだね…。神様がいないと説明つかないよね…)
「じゃあ…早速…どこまで思い出した?」
「…転生前に幼馴染みが居た事…。でも、顔とか名前とかは分からなくて…ただ…その子がとても大切だったのを…憶えてる……」
「そうだね…。とても大切なその子を残して君は亡くなった…。階段から落ちて…」
「階段から落ちた所迄は憶えてるよ…」
「…彼女はとても君を愛していた…。お腹に子供が居なければ君の後を追う位に…ね」
「!?…子供が?」
「そんな中で…どういう因果なのか…運命なのか分からないけど彼女はこの世界に紛れこんだんだ…」
「この世界に!?今も…今も彼女は!?」
「…残念ながら…病で亡くなっているよ…」
「…そん…な」
名前を呼んで叫びたいのに僕は君の名前さえ憶えていないなんて…それに………子供…
はっ!?
「子供は!?子供はこの世界に居るんだよね!?」
「それを伝える前に君は知っておくべき事があるんだ…。大切だった幼馴染みの彼女の名前は神楽坂夕映…今の君の母親だよ…」
「えっ…」
「彼女は身籠った時には既にその身を病に侵されていたんだ…」
「僕は…彼女が病に侵されてる事も知らなかった…の…」
「病が進んだのは君を亡くしてからだよ…。それまではゆっくり体を蝕んでいたんだ…。彼女自身気付かないスピードで…」
「…どちらにしても…僕が…」
「何も出来ない事はあるもんだよ?…そんな中で彼女は願ったんだ…。君に会いたいと…。君に会ってもう一度幸せになりたいと……。そして…君の幸せを願った…。もしかしたら彼女は神様に会ったのかも知れないね?この世界に来たのだから…。ただ病迄は治らなかったんだ…」
「…そこで…父さん、母さんに会ったんだね?」
「うん…その通りだよ…。本当にいい人達だった…。彼女は誰も知り合いがいない世界で君を産む事が出来たのは初音さん夫妻のお陰だよ…。彼女は君を産んで間も無く亡くなってしまったけど、彼等は君を自分の息子の様に愛情を持って育ててくれたしね…」
「うん…分かってる」
(父さん…母さん…ありがとう…)
「そして…さっきも言ったけど彼女が神様に会ったかも知れないと言ったのは…彼女がこの世界に既に生まれ変わっているからだよ」
「本当に!?どこに…彼女はどこに!?どこに居るの!?教えて欲しい!!!」
「落ち着いて欲しい…君は既に彼女に会っているのだから…」
「…会って…いる?」
「そうだよ…。その前にもう一つ…。君が両親に連れられて彼女のお墓参りに行った時の事だけど、君は夫妻の後を追い…そして…追い掛け回していた連中が逃げる際に視界が悪い場所で轢かれたんだよ…」
「それで…その衝撃で記憶がないんだね?」
「うん…そうだね…。連中に轢かれた君はガードレールを越え、崖を落ちていったんだ…。連中は猪か何かと思ってたみたいだけどね…」
「…よく生きてたね、僕?」
「死んだんじゃないかな…多分。でも…神様が彼女の願いを叶えたんだと思ってる…」
「じゃあ…もしかして…僕があの公園に居たのは…」
「そう…彼女の元に神様が送ってくれたんだろうね…」
「じゃあ…もしかして…柚希が!?」
「うん…彼女が彼女の生まれ変わりだよ…だから…今度こそ幸せになるんだよ?彼女と一緒に…。二度と手離さない様に…ね?」
「!?…体が…」
目の前の僕が消えていく…。
「そろそろお別れだね。…必要な記憶は僕が消えると戻る筈だよ…じゃあね、僕?」
「…あ、ありがとう…僕…」
「…あっ、そうそう…ヤる時はヤらないとね?それが男だよ?」
「…ん…そこら辺は考えてからね…」
バイバイ…僕─。そして…辺りは真っ暗に…。目を覚ますとそこは僕の部屋だった…。お父さんの事もお母さんの事も…そして…夕映との記憶を思い出し僕は泣いたんだ…。
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