マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴

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第一章

マンションのオーナーは…

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 幼馴染の美樹子に電話で呼び出された俺は待ち合わせ場所の喫茶店へと向かう事に。

「美樹子に連れられて以前来た喫茶店って確かここだったよな」

 店内に入るとカウンターには渋めの男性の姿が。確かこの喫茶店のマスターだったよな?いらっしゃいっという声に軽く頭を下げる。そしてマスターにここで待ち合わせしてる事を伝えようとすると──


「──あっ、来た来た!こっちこっち」


 非常に聞き覚えがある声が静かな店内に響いた。視線を声がした方向に向けると店内の片隅に美樹子の姿が。もう一度マスターに視線を向けると「どうぞ」という声。何も頼まないのは気が引けるのでコーヒーを頼んでから美樹子が待つ席へと向かう。そこには美樹子とは別にもう一人女性が座っていた…。

『と、いう事は彼女がマンションの最上階にあるの一室を借りたい女性か…』

 俺は彼女達の対面になる席の前で軽く二人に挨拶しながら頭を下げて席に着く。同時に美樹子の隣に居る女性の顔を見て驚いてしまった。

 頼んだコーヒーがもう来た事にも驚いてしまったけども…。しかも話の邪魔にならないようにスッ…と置いて頭を下げて消える…。流石マスターと呼ばれるだけはある…。

 いや…それどころじゃないな。

「う、歌羽根さん!?」

早房君はやぶさくん…!?」

「えっ…?二人とも知った顔なの…?」


 俺はその女性を知っている。彼女が今をときめくアイドルだから彼女を知ってるんじゃなくて、彼女は俺が通う高校のクラスメイト。しかも席が隣…。なんたる偶然…。

 驚いてる美樹子にその事を説明する。

「世間ってこういう時狭いと感じるわね」

「それな」

「私は美樹子と早房君が知り合いなんて思ってもいなかったよ」

「知り合いというか…幼馴染…よ」

「幼馴染っ!?美樹子に幼馴染いたの!?私初耳なんだけど」

「言ってなかったっけっ?」

「言ってないよ!」 
 

 美樹子から仲が良い親友が居る事と親友の名前は天音という事は聞いた事は何度かあるんだけど、それがアイドルの歌羽根さんとは思ってもいなかったな。まあ、考えてみれば一人はアイドル、もう一人はモデルをやっているという事で色々と接点もあったりすんだろうな…。 

 二人をやり取りを見ていると本当に仲が良いのも伝わってくる。  


 それはさておき…とりあえず改めて名乗っておくか。

「改めて…美樹子の幼馴染の早房豊和はやぶさとよかずです」

「あっ、ご丁寧にすいません。私は歌羽根天音。一応アイドルやってまして、美樹子とは親友です」

「美樹子からある程度話は伺ってますが…俺が所有するマンションの特別室を借りたいという事で間違いないですか?」  

「…は、はい。借りたいのは借りたいのですが…特別室ですか…?」

「美樹子…そこら辺の説明を詳しくはしてないの?」

「してないわよ。ただ家賃とボディーガードを含めた事とかは伝えてるけど…。あっ、後…料理の事も伝えてるわよ」


 こりゃあ最初から説明しておいた方がいいか…。


「──最初から説明しますね」

「宜しくお願いします」

「美樹子が住んでる三三階建てのタワーマンションはご存知ですか?」

「はい。美樹子の部屋に遊びに行った事が何度かあるので分かります」

 それならマンションの場所の説明はいらないか…。

「特別室というのはマンションの三十階から三十二階までのフロアにある各部屋の事になります。三三階の説明もしておくと、特別室を借りてる人だけが使える屋上テラスになります。希望者は料理はそこで召し上がる事ができます。作るのは俺です。一応伝えておきますが美樹子が借りてる部屋は三十二階の一室になります。尚、LDKS

 俺の言葉に真剣に耳を傾ける歌羽根さん。歌羽根さんが一番聞きたい話はここからだろうな。

「特別室を借りたお客様には去年の年収の半分を家賃とボディーガード料としていただいています。ぶっちゃけると金を多く稼いだ人ほど高くなってしまいます。まあ、特別室を借りたいという人で稼ぎが少ない人は…今の所はいませんね。それは裏を返すと稼ぐ人ほど心配事が多かったり、狙われたりするものなのかも知れませんね。──で、歌羽根さんが一番聞きたいと思われる肝心のストーカー被害についてですが」

「は、はい」

「当然契約した日から心配いらなくなる事は約束しますよ」

「あ、あの…警察の方でも…手に負えなかったというか…動けないというか…そんな相手でも本当に…?」

「ええ。それは間違いなく。言っておきます相手を消すとかそういうのではないのでその辺もご安心下さい」

「ど、どうやってそれを…?」

「その辺りの詳細はしてからになりますのでご了承下さい」

「…分かりました。では…をお願いできますか」

「分かりました。では…はマンションで行うと致しましょうか。ここではアレなので…」

「ようやく話は終わったみたいね?」

「終わってないが!?今から契約して色々説明もあるだろ」

「それはそうだろうけど…」

「んじゃあとりあえず喫茶店を出るとしようか」

「うん」
「はい」

 店を出る前にコーヒーをグビッと飲み干す…。ホント美味しいな、ここのコーヒーは…。今度コーヒー豆を売ってもらえないか時間ある時にでも聞こうかな。

 勘定を済ませ…店の外へ…。


『──へぇ…仕事熱心…いや、犯罪熱心って言った方がいいかな…?とにかくここもしっかり嗅ぎつけてるとは恐れ入ったよ…』


「どうかしたの?」

「うん?何でもない。とりあえず美樹子は歌羽根さんと手を繋いでくれる?」

「うん、分かった」

 歌羽根さんはなんだろうと不思議な顔しているな。いきなり手を繋ぐように言われたらそりゃあ不思議か。

「美樹子」

「わ、分かってるわよ…んっ!」

 美樹子は頬を少し赤くしながらそっぽ向く形で歌羽根さんと繋いでいない右手をこちらに差し出してくる。

 俺は美樹子のそんな様子に苦笑しながらも、その手を掴み──




 ──その場から一瞬にして消える事になる。










 

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