悪役令嬢になった私は運命に抗う

花咲千之汰

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なんやかんやで部屋に連れてきた三人。

私は部屋にあるソファーに腰掛けて好き勝手に私の部屋を探索する三人に苦笑いを浮かべながらも気になっていたことを訪ねた。

「いきなりなんだけど、上位精霊ってこの世界に何人いるの?」

途端に動きを止めた三人はお互いに顔を見合わせて何やら話し合う。

『え、フレイム。何人か分かる?』

『あ?分かんねぇ、メリーはどうだ?』

『私にもちょっと……。ただ言えるのはこの世に存在する全てに上位精霊はいるということぐらいかしら?』

そして、リームは『例えば……』と言っていくつかの例を挙げていく。

『貴女のよく知っているリーフやここにいるアクアやフレイムのような草や水や炎みたいに常日頃から貴女達にとって身近な存在に宿っている者もいれば、リームみたいに夢を司っているものもいれば時間や空間を司って守っている目には見えない存在に宿っている者もいる。眠りっていうのもまたいたわね、確か』

『まあ、簡単に言えば人間が使える魔法があるでしょ?その魔法の数だけ私達はいるって事ね!』

つまりは人の心を操る魔法もあるからそれに関する精霊もいるのか。

そう思いながらふと自身の隣にいた眠たそうな顔をした黒色のワンピースを着た精霊に「あなたはなんの精霊なの?」と問い掛けて返ってきたのは『闇、だよ……』という暗い声色での返事。

私は瞼を擦る彼の頭を撫でるとそのまま楽しげにこちらを見る上位精霊達へ目を向けた。

「なんか割と数え切れないほどいそうね」

すると、『まあ馬鹿みたいにいるわな』というフレイム。

だがそこで彼は小さく私にこういった。

『でも、上位精霊も馬鹿みたいにいるにはいるがその中の何人かはもう何千年も眠ったまんまだ』

「え……」

ぽかんと口を開けながら彼らに目を向ければフレイムの隣にいたアクアがこう口を開く。

『でもまあ仕方ないことなんだよ。私達はこの世界が出来た頃から存在する生き物だから代わり映えのない日々を過ごし過ぎてそんな日々を過ごすのに飽きてきちゃうし』

『そしたらもうやる事をやってくれるこの子達に自身の頭の中にある自分がやるべき事を全て叩き込んで自分はそのまま寝るの』

そう言ってメリーが手の上に乗せたのは彼女の髪の色と同じ真っ白なワンピースを着た精霊。

フレイムがそれを一瞥しながら頷く。

『別に俺達が全てをしなくちゃいけないってわけじゃねえからな。こいつらに必要なことを叩き込んで、本当に俺達が必要になるような事が起きない限りはそのまま爆睡だ』

「なんか案外この子達に任せっきりなのね……」

ぽつりと一言そう口にすれば『オリヴィアも何千年も生きて同じ作業ばっかりしてたらこの気持ちが分かるよ……』というアクアに苦笑いを向ける。

「それは遠慮したいかな……?」

彼女らは私の疑問符を付けた返事に笑いながら頭を撫でてきた。

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