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高等部 一年目 卯月
閑話 忠犬は厨二病な前世を振り返る
しおりを挟む腐った双子から送られた画像を見て俺は溜息をついた。
「駄犬が・・・」
*****
俺、黒峯健太には前世の記憶がある。
前世の俺は何処か別の世界の軍人で、柴犬獣人で雌のアルファだった。
ある日、婚約者(狼獣人 雄 アルファ)の弟──ひと回り年の離れた狼獣人の子供が士官学校に入る事になり、士官学校の近所にある俺達の家に同居することになった。
この婚約者の弟は士官学校の成績と見目が良いせいで、色恋沙汰のトラブルと喧嘩が絶えない問題児だった。
それでもトップの成績で卒業し、エリート街道─軍本部に採用が決まり、軍の宿舎に入る為に同居を解消することになった。
卒業祝いの晩餐で俺と婚約者は睡眠薬を盛られた。
気付いた時には婚約者が無表情で素っ裸の弟をたこ殴りにしていた。
俺も素っ裸で下腹部に違和感があった。
恐ろしいことに、婚約者の弟は殴られているのに嗤っていた。
俺と婚約者は婚約を解消した。
嫌だと泣かれたが強行した。
俺は軍を退役して故郷の辺境へ。
そこでどちらが父親なのか判らない子を産んだ。
臨月に入った頃、未知の感染症が猛威を振るっていた。
前世の俺はそれに罹患した状態での出産だった。
そして、初乳を与える事も出来ずに死んでしまった。
今の俺に生まれ変わって、生後間もない颯に初めて会った時、颯が前世の我が子の生まれ変わりだと悟った。
それから俺は前世の分も颯に愛情を向けた。
幼稚舎に颯が入園すると、俺と颯は高位アルファと思われる数名の男子と高位オメガっぽい男子と双子に絡まれるようになった。
俺にベッタリな颯をどうにか奪おうと空回りする奴らが殆どだった。
だが、京夜だけは違った。
京夜は俺と颯の関係性を否定する事無く、俺に抱き付く颯を愛おしそうに見守った。
「お前、颯の母ちゃんみてぇだな」
そして京夜が満面の笑顔でそう言ったから、京夜は颯の番候補として認めてもいいかな、と思った。
──────
健太は前世がヤンデレメーカー
一途な狼獣人兄弟を無自覚に翻弄する傾国の白柴犬獣人
柴犬って性格が猫なんですよ・・・
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