【R18】一匹狼は愛とか恋とか面倒くさい

藍生らぱん

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高等部 一年目 卯月

015 その日1年S組はひとつになる、かもしれない

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朝7時半、1年S組の教室に本多整二(α)はヘアメイク用の用具類を入れたアタッシュケースを持って入室した。
「ハョー、委員長にすばる」
「おはよう本多君、朝早くにありがとう」
先に教室にいた牧島がニッコリと微笑んだ。
「整二、おはよ~」
続いて天野がニカッと微笑んだ。

「髪型の希望はある?」
本多は椅子に座った天野に散髪用のケープをつけた。
「手っ取り早く、バッサリ坊主頭」
「え~、勿体ないなぁ・・・」
本多は天野のアフロの中に手を突っ込んで毛髪や頭皮の状態をチェックしていく。
「今後も黒く染める?」
「その必要なくなったから地毛でいく。」
「ふーん、あ、眼鏡外すね・・・」
すばるの眼鏡を外し、その素顔を見た本多の動きが一瞬止まった。
「!!」
そしてクルリとすばるに背を向けて深呼吸をする。

「委員長、最終的にはさ、丸刈りでいいと思うんだけどさ、施術料代わりにヘアーショーしてもいい?」
「ショー?」
「S組オンリーで、今日テストで午後は授業無いし。」
「教室でやる分には許可取り必要ないから大丈夫だけど・・・」
「よし、決まり。天野すばるのアフロ断髪式~、すばる、OK?」
本多がすばるの方を振り返る。
「断髪式? 大相撲みたいだな」
楽しそうに目を輝かせて、すばるは頷いた。
「相撲・・・大銀杏にするには足りないかなぁ?」
本多はアフロを軽く摘まんで引っ張った。
「でも、小さめなまげなら作れそう、」

本多はコームですばるの髪の毛をフロント、サイド、クラウンと、部分毎に分けて次々ダッカールでとめていく。
小分けにした髪の毛に丁寧にセット用のローションを塗って馴染ませ、熟練の床山のような手捌てさばきで髪をまとめ、髷を作る。

「「「「ブラボー!!」」」」
髷が完成すると、いつの間にか登校していたS組の留学生たちと帰国子女たちが歓声を上げた。
1年S組所属の生徒会庶務の双子、各務かがみ左近と右京も教室入りしていたようでカシャカシャとスマホのカメラを構えていた。

そしてテストが終わって放課後、S組の全ての生徒たちが教室に残り、断髪式のハサミを入れる順番を決めるクジを引いていた。

「止め鋏は、誰かして貰いたい人はいる?」
と、本多がすばるに聞いた。
「止め鋏?」
「最後に髷を切り落とす人」
「健太と颯っちがいいな!」
「じゃあ、呼んでみるか。」
風紀委員の森崎がスマホを取り出すとハサミをすばるの髷の側に寄せて写真を撮った。
「各務兄弟は黒峯様にメールして!」
「「らじゃっ!」」
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