【R18】一匹狼は愛とか恋とか面倒くさい

藍生らぱん

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高等部 一年目 皐月

066 駄犬の皮を被った狼達は忠犬を諦めない

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**すばる視点**

「俺、好きな人が出来た。」

健太が俺の為に作ってくれた玉子焼サンドを食べ終わったタイミングで、信じられない事を言われた。
「だからもう、昨日のようなことはしないでくれ。」
健太からの拒絶に頭の中が真っ白になった。
「・・・俺を・・・捨てるの?」

昨日、酷い抱き方したから?

「捨てるも何も俺達、付き合ってない。」
「でも、セックスしたじゃん!」

好きだから、キスもそれ以上もしたんじゃないの?

「ごめん、それは俺が悪い。」
「何で?」

何で、謝るの?

「・・・俺もだけどさ、お前も言ってないよな?」
「何を?」
「好きとか愛してるって、お互いに今まで面と向かってさ、一度も、一言も言ってない。」
「あ・・・」

健太に言われて気付いた。
再会してから今まで、確かに言ってない。
「運命」とか「番」は何度も言ってたけど・・・

「俺たち、一番大事な事、すっ飛ばしてた。」
「でも、好きだからしたんじゃん!」

好きだから、抱いたんだ!

「うん、好きだった。」
「何で、過去形?」
「愛してた。」
「だからっ、何で?」
「お前であってお前じゃない人を、俺であって俺じゃない女が愛してた。」
「何、言ってんの?」

俺であって俺でない人って誰?
健太であって健太じゃない「女」って何だよ!?

「ごめん、せっかく生まれ変わったのに、記憶があるのに、俺の一番は唯一は、お前じゃない。」

生まれ変わったとか記憶とか、何言ってんだよ?
何で俺が健太の一番で唯一じゃないの?

「俺の一番も唯一も健太だよ? 健太だけなんだよ?」
「ごめん、すばる。」

謝らないでよ、
今までの事、全部否定されてるみたいで苦しいよ・・・

「・・・いいよ、わかった。」

健太の部屋を出て、何処をどう歩いたのか覚えていない。
気が付いたら、理事長室のソファーに寝転んでた。
そして叔父さんが心配そうに俺を覗き込んでいた。
「健太にフラれた・・・」
「すばる、黒峯君に嫌われるような事、したのか?」
「・・・・・・」

昨日、乱暴に突っ込んで犯した。
その腹いせで意地悪言われたれただけなら良かったのに。

「健太に、俺は一番でも唯一でも無いって言われた。」
「黒峯君の一番で唯一は神月君に決まってる。そこは揺るがないって分かってなかったのか?」
「分かってる、だから、颯っちと同じ位好かれたかった。愛されたかった。なのに、他に好きな人出来たって、酷くない?」
「すばる・・・」
叔父さんは呆れたような顔で溜息をついた。
「同じ位って、バカですか・・・」
「叔父さんに言われたくない」
「バカすばる。神月君と同じ位って、黒峯君の子供になりたかったのか?」
「んなわけっ・・・あ・・・」

健太に颯っちと同じ位かそれ以上好きになって欲しくて、俺は小さい頃から颯っちの真似ばかりしてた。
離れている時も、母親同士の繋がりを通して、健太と颯っちの動画を見せて貰って、喋り方、声のトーン、仕草、癖、颯っちを観察して研究してた。

颯っちは健太の恋人でも番でもない。
だけど颯っちは健太の唯一無二。
何で?
どうしてなのか、理由を一度も聞いたこと無かった。

──俺たち、一番大事な事、すっ飛ばしてた──

「気持ちだけ焦って、言葉が足りなかった。会話が全然足りてなかった・・・」

健太が言いたかった事に今やっと気付いた。
俺、健太のこと何も知らない、知ろうとしなかった。
ただ自分の気持ちだけ押し付けてた。

「諦めるのか?」
「叔父さんは諦めたの?」
「まさか! 今は駄目でも未来はどうなるか分からない。私は私のやり方で黒峯君を振り向かせるだけだ。」
「俺も諦めない。」

今度はきちんと「好き」ってちゃんと言う。
颯っちを真似るのも止める。
颯っちを基準にして、同じ立ち位置に並ぼうとしたのが間違いだった。
並ぶ必要なんかなかったんだ。

健太が誰を好きでも構わない。
ぶっ潰すから。

絶対に誰にも渡さない!




**理事長視点**

朝早く、焦燥したすばるが理事長室にやって来た。

黒峯君にフラれたと、話しを聞けば聞く程、すばるのバカさ加減に呆れた。

しかし黒峯君を諦める選択肢は無いようで、話しているうちに勝手に立ち直った。

──すばるが元気の無い状態は淋しくもあるので、これでいいのだが・・・

恋のライバルではあるけれど、可愛い甥であることに代わりはない。

それにしても・・・

──黒峯君が好きになった人って誰?

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