優しい彼女がいるのにドSなお姉さんとどうにかなってしまう話

霜月このは

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「……どうしてほしい?」

 恵さんはわたしの両手首を片手で掴んで押さえつけて。
 吐息がかかる至近距離で、そうささやく。

 低めの艶々した声が、耳に毒だった。

「そ、そんな、別に……っ」

 じっと見つめてくる目に視線を合わせるのが気まずくて、わたしは思わず顔をそらす。

「へえ……?」

 恵さんはわたしの膝から太ももにかけてをすーっと撫でる。触れるか触れないかの絶妙なラインで。

「え、ちょっと……」

 反応して熱くなってくる身体を、意識しないわけにはいかなくなる。心臓がドクドクと鳴るのを感じる。スカートが捲られ、下着を脱がされそうになったのでつい身を捩ると、恵さんはわざとらしくため息をついて言う。

「私に脱がされるの、嫌なら、自分で脱ぎなよ?」

 挑発するようなその言い方に、普段ならカチンときそうなものなのに、どういうわけか逆らうことができない。

 わたしは言われるがままに、一つずつ、身につけていた衣類を脱いでいく。

「いい子だね」

 下着姿になったところで、恵さんはわたしの髪を撫でながら、さっきまでとは違った優しい声色で、ささやく。

「じゃあ、してあげる」

 そう言うと、どこからともなく取り出したロープをわたしの手首にかけはじめた。

「この間のよりも、絵里ちゃんはこっちのほうが好きでしょ」

 恵さんはわたしの手首を後ろ手に縛ると、ロープの反対側をベッド脇のポールにくくりつけた。

「これでもう動けないね」

 にっこり笑うその表情はなんとも言えない妖艶さで。これから何をされるのだろうと不安になるのに、身体の芯はどんどん熱くなってきていて。

「座って」

 そう言われて、言われるがままに床に座り込んだ。

「舐めて」

 恵さんは自分の服をはだけさせて、そう言う。恵さんの胸は意外に大きくて、きれいなピンク色の突起が存在感を放っている。

 わたしは舌を出してぺろ、とそこを舐める。

 ん、と一瞬、甘い声を上げたのをきっかけに、わたしは恵さんの胸にしゃぶりつく。舌を這わせ、吸いつき、転がす。

「ん、そう。いい子だね……」

 時折、吐息を漏らしながらも、まだまだ余裕といった様子で、わたしの頭を撫でる。
 小さい子のようにそうされるのは不思議と心地が良くて。

 だけど、こんなふうにひたすら舐めさせられていると、まるで犬にでもなったみたいで、おかしな気持ちになる。

「こっちも、お願い」

 恵さんはわたしを床に押し倒すと、身につけていたものを全て外して、そしてわたしの顔の上に下半身を押し当てる。視界が恵さんでいっぱいになって、何も見えなくなる。

 お風呂上がりだからなんだろうか、なんだか甘い香りがした。

 舌先を伸ばすと、また甘い吐息が漏れて、

「絵里、上手だね。……まだ、やめちゃダメだよ」

 だけど、さっきよりも一段、冷たい声でそう言われると、ぞくっとして、わたしはまた必死になってそこを舐めはじめる。

 どうしてなんだろう。

 手が縛られていて、身動きできる範囲が限られているというのに。ぐっと引っ張るとロープが食い込んで痛むくらいなのに、それがかえって心地いい、なんて。
 
 しばらくすると、恵さんは小さく声をあげて身を震わせた。達することができたようだった。

「お疲れ様。……じゃあ次は、絵里の番。ほら、立って」

 言われるがままに立つと、唇に軽くキスをされる。今度はわたしの鎖骨に舌を這わせて、そして同時にまた、太ももに手を這わせてくる。

「ん……っ」

 どうしようもなく吐息が漏れて。その間に下着が外される。

「もう、大変なことになってるね」

 脱がしたものを見られてそんなことを言われて。恥ずかしくて顔から火が出そうなのに。

 恵さんはそんなわたしを見て満足げに笑う。

「ここは、こうされるのが好きなんだよね?」

 そう言って、胸の突起に唇をつける。長い舌をぺろ、っと出して舐めて。吸い付いて、舌で転がして。そう、わたしがさっきしたように、されてるんだとわかって、すごく恥ずかしくて。

 手を縛られているから、じたばたすることもできず、ひたすら刺激を受けるしかなくなる。

「あっ……ん……ダメ……です……っ」
「……嘘だね」

 言葉にならない声を上げるわたしに、恵さんは舌を這わせてくる。

「次は、ここね」

 恵さんはわたしの足の間に顔を入れて、そこを舐めてくる。やっぱり、同じように。さっきわたしがしたのと同じ行為を、返してくる。

「ず、ずるいですっ」
「へえ……なにが?」

 恵さんはにやりと笑うだけで、絶対に止めてはくれない。

「こっちも、してあげる」

 そう言うと、今度は指をそこに当てる。そのまますっかりとろけてしまっているそこへ、差し入れられてしまう。

「もう、ぬるぬるだね」

 指を出し入れしながら、そんなことを言われるけれど、あまりの快感に頭の中が真っ白になってしまった、何も受け答えができなくなっていた。

 ……何、これ。

 頭の中が溶けそうになる。誰もがそう言ったものだけど、その感覚は、わたしにとって初めて感じるものだった。それは、きっと今までわたしが心の底から求めていて、だけど知らなかったもの。

 何度も身体が震えて、弛緩して。でも、恵さんは許してくれなかった。

「もう、ダメ……。やめて……おかしくなる……っ」

 長い指がわたしを捕らえて、また執拗に攻められる。何度も何度も、責め立てるように。

「や、あああああっ」

 息ができなくなって、わたしの意識はそこで途切れた。
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