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竜がいた国『パプリカ王国編』
見ちゃダメ! 自然界ならトイレ休憩も命取り
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「どっせええええええええええええええええええええええええええええええええええええいいいッッッッッッッッッッッッッッッ!!」
ミドが木偶棒を器用に振り回してドッペルフに突き出すと、木偶棒がビュンッと時速四〇キロ以上の速度で一直線に伸びていく。するとポンっとつま先立ちになって空に逃げていくドッペルフ。ミドは木偶棒を縮めて構え直し、ドッペルフを見上げた。
ドッペルフは上空に浮かんでおり、三階建ての建物ほどの高さからミドを見下ろしている。ミドは木偶棒を元の長さに戻した。するとドッペルフが言う。
「目障りな雑草ごと竜人の業火で燃やし尽くしてあげましょう」
するとドッペルフが両手を合わせ、その間に金色のオーラの弾が膨らみ出す。それは螺旋を描くように回っており、空気との摩擦熱で高温になっているのが遠目からでも分かる。
ミドは真っ直ぐドッペルフを睨んでいる。するとドッペルフはミド目掛けて金色の弾を撃ち放った。金色の弾丸は飛んでくる間にも温度が上昇していき、白く発光する。
それを見たミドは地面に触れて言う。
「森羅万象!」
ニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキ!
すると一瞬でミドを覆い隠せるほどの大樹が生えてきた。ミドはそれに身を隠して金色の弾丸を防ぐ。
ドッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……。
木偶棒の影に隠れたミドの周りは一瞬で真っ白に照らされて、同時に木が焼け焦げるような臭いが漂ってくる。ミドは顔を歪めて鼻をつまんだ。
ミドは触れた場所から植物を生やす女神の寵愛がある。安全装置を少しだけ解除したのはミドの草木が生えている場所ならどこでも植物を生やす力を最速、且つ最大で発揮しやすくなるからだ。
しかし、それも火ですぐに燃やされてしまっては能力も半減だ。生きた草木からは芽を出しやすいが、焼かれた草木からは不可能ではないが大変なのだ。
ドッペルフは炎でチリチリに焼けこげた大樹を見下ろす。周辺の草木も同様に真っ黒になって焦げた臭いを出しており、所々まだ焼けているのか橙色に発光している。
ドッペルフは上空に浮かんで見下ろしながら言った。
「隠れていないで出てきたらどうですか。旅人さん?」
「………………」
「どうやって私に触れたかは分かりませんが、近づけさせなければ良いだけの話です。このまま灰になるまで竜人の火を浴びせてあげますよ。んふふふふふ……」
ミドは焼け焦げた大樹の陰に身を隠しながらドッペルフに聞こえないようにつぶやく。
「竜人の火か……植物とは相性悪いね」
説明するまでもないが、植物と炎ではどちらが有利かは明白である。いくら草木を生み出しても、一瞬で黒焦げにされたのでは意味がない。
「出てこないなら構いませんよ。その場所を覆いつくすほどの力で全てを焼くだけです。竜人の業火に焼かれて、私の邪魔をしたことを後悔しなさい」
そう言うとドッペルフは両手で金色の弾を作り出す。今度はそれを空に掲げるように両手を上げた。金色の弾はどんどん膨れ上がっていき、あっという間に王家の墓の屋上の面積を覆いつくすほどの巨大な金色の火の弾が生まれた。
「……はは、こりゃ参ったね~」
それを見たミドは苦笑いをしてつぶやいた。そして続けて言う。
「そっちが火で来るなら……こっちは水でもアイツの顔面に撒き散らしてやろうかな──」
そしてミドは地面に手を触れると、何か吸い上げるように体がドクンドクンと振動する。同時に木偶棒も少し膨らんだ。
そしてミドはおもむろに大樹の横からドッペルフの前に姿を現す。眉をピクリと動かしてドッペルフが言う。
「おや、もう諦めたのですか? カッコつけて登場したくせに意外と呆気ないですね。旅人さん」
「いやいや、ちょっと尿意をもよおしてきたからトイレ休憩を挟もうと思ってね」
「排泄時は最も殺されやすい瞬間です、自然界では常識ですよ」
そう言うとドッペルフは問答無用で金色の炎弾を生み出して構える。それに応えるようにニヤリと笑ってミドが言う。
「ああ、知ってる。構わないよ、ボクの恥ずかしい排泄シーンを覗きたいってんなら……その顔面に小便をぶちまけてやるだけだ」
「下品な旅人だ……死になさい」
ドッペルフはミド目掛けて金色の火の弾を放った。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオと燃える音を発しながら、螺旋を描きながら金色の炎弾が落ちてくる。
片手で木偶棒の先端をドッペルフに向けてミドが構える。すると木偶棒の先端に水滴がプクーと膨らんで生まれた。ミドが静かにつぶやく。
「──水滴の弾丸!」
──ダァンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!
すると水の弾丸がドッペルフ目掛けて放たれた──。
ミドが木偶棒を器用に振り回してドッペルフに突き出すと、木偶棒がビュンッと時速四〇キロ以上の速度で一直線に伸びていく。するとポンっとつま先立ちになって空に逃げていくドッペルフ。ミドは木偶棒を縮めて構え直し、ドッペルフを見上げた。
ドッペルフは上空に浮かんでおり、三階建ての建物ほどの高さからミドを見下ろしている。ミドは木偶棒を元の長さに戻した。するとドッペルフが言う。
「目障りな雑草ごと竜人の業火で燃やし尽くしてあげましょう」
するとドッペルフが両手を合わせ、その間に金色のオーラの弾が膨らみ出す。それは螺旋を描くように回っており、空気との摩擦熱で高温になっているのが遠目からでも分かる。
ミドは真っ直ぐドッペルフを睨んでいる。するとドッペルフはミド目掛けて金色の弾を撃ち放った。金色の弾丸は飛んでくる間にも温度が上昇していき、白く発光する。
それを見たミドは地面に触れて言う。
「森羅万象!」
ニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキニョキ!
すると一瞬でミドを覆い隠せるほどの大樹が生えてきた。ミドはそれに身を隠して金色の弾丸を防ぐ。
ドッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……。
木偶棒の影に隠れたミドの周りは一瞬で真っ白に照らされて、同時に木が焼け焦げるような臭いが漂ってくる。ミドは顔を歪めて鼻をつまんだ。
ミドは触れた場所から植物を生やす女神の寵愛がある。安全装置を少しだけ解除したのはミドの草木が生えている場所ならどこでも植物を生やす力を最速、且つ最大で発揮しやすくなるからだ。
しかし、それも火ですぐに燃やされてしまっては能力も半減だ。生きた草木からは芽を出しやすいが、焼かれた草木からは不可能ではないが大変なのだ。
ドッペルフは炎でチリチリに焼けこげた大樹を見下ろす。周辺の草木も同様に真っ黒になって焦げた臭いを出しており、所々まだ焼けているのか橙色に発光している。
ドッペルフは上空に浮かんで見下ろしながら言った。
「隠れていないで出てきたらどうですか。旅人さん?」
「………………」
「どうやって私に触れたかは分かりませんが、近づけさせなければ良いだけの話です。このまま灰になるまで竜人の火を浴びせてあげますよ。んふふふふふ……」
ミドは焼け焦げた大樹の陰に身を隠しながらドッペルフに聞こえないようにつぶやく。
「竜人の火か……植物とは相性悪いね」
説明するまでもないが、植物と炎ではどちらが有利かは明白である。いくら草木を生み出しても、一瞬で黒焦げにされたのでは意味がない。
「出てこないなら構いませんよ。その場所を覆いつくすほどの力で全てを焼くだけです。竜人の業火に焼かれて、私の邪魔をしたことを後悔しなさい」
そう言うとドッペルフは両手で金色の弾を作り出す。今度はそれを空に掲げるように両手を上げた。金色の弾はどんどん膨れ上がっていき、あっという間に王家の墓の屋上の面積を覆いつくすほどの巨大な金色の火の弾が生まれた。
「……はは、こりゃ参ったね~」
それを見たミドは苦笑いをしてつぶやいた。そして続けて言う。
「そっちが火で来るなら……こっちは水でもアイツの顔面に撒き散らしてやろうかな──」
そしてミドは地面に手を触れると、何か吸い上げるように体がドクンドクンと振動する。同時に木偶棒も少し膨らんだ。
そしてミドはおもむろに大樹の横からドッペルフの前に姿を現す。眉をピクリと動かしてドッペルフが言う。
「おや、もう諦めたのですか? カッコつけて登場したくせに意外と呆気ないですね。旅人さん」
「いやいや、ちょっと尿意をもよおしてきたからトイレ休憩を挟もうと思ってね」
「排泄時は最も殺されやすい瞬間です、自然界では常識ですよ」
そう言うとドッペルフは問答無用で金色の炎弾を生み出して構える。それに応えるようにニヤリと笑ってミドが言う。
「ああ、知ってる。構わないよ、ボクの恥ずかしい排泄シーンを覗きたいってんなら……その顔面に小便をぶちまけてやるだけだ」
「下品な旅人だ……死になさい」
ドッペルフはミド目掛けて金色の火の弾を放った。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオと燃える音を発しながら、螺旋を描きながら金色の炎弾が落ちてくる。
片手で木偶棒の先端をドッペルフに向けてミドが構える。すると木偶棒の先端に水滴がプクーと膨らんで生まれた。ミドが静かにつぶやく。
「──水滴の弾丸!」
──ダァンッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!
すると水の弾丸がドッペルフ目掛けて放たれた──。
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