異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第4章 竜人の試練篇

第45話 リュートの試練

　みんなが別の空間に飛ばされた後、俺は猛スピードで20階層に向かう。俺の移動方法には飛行があるのだが、クリアの重力移動程の速さは出ない。だから、

　「創成・アーマー」
 　
　全身を軽量化したアーマーで覆う。さながら、某特撮ヒーローっぽい仕上がりだ。せっかくだからこのアーマーに名前をつけたい。そうだな…名付けるなら「装竜戦士・オリジン」なんてどうだろうか。これからは変身でオリジンになることにしよう。そっちの方がロマンだ。

　何故俺はアーマーを着たかと言うと、高速で移動するためである。

　アーマーの足裏に、アーマーが無いとダメージを受けるくらいの電撃を付与する。セムラを参考にして思い付いた方法だ。そして、一気に駆け抜ける。バリィ！と音を立てて、一瞬でその場からいなくなる。これはいい。アーマーを来ているので、空気抵抗を気にしなくていいし、敵からも視認されない。変装なんかにも使えるかもしれない。

　圧倒的な速度でダンジョンを進み、20階層のボス部屋までやって来た。オリジンから変身を解く。
　よくもみんなをバラバラにしやがって。一瞬で消し飛ばしてやるよ。そんな事を、内心思いながら部屋に突入する。部屋に足を踏み入れると、

　俺がいた。

　名前　リュート・ヤガミ(偽)
　種族　真竜人・神越種(ジェニュインドラゴニュート・ディバインクロス)
　rank 　699
　称号　次元の冠者
　
　技能　次元操作 神眼 耐性(全) 神性 創成 魔力錬成 超越感覚 自動発動 魔法(全) 神圧 付与術 複製 変身 合成 

　ほうほう。ステータスまで同じのようだ。みんなも同じような感じで自分との戦いをしているんだろうか。みんなの事だから大丈夫だろう。俺もこいつを倒さなくては。

　こういう自分との戦いみたいなものは必ず弱点がある。昔の自分は未来の自分を超えられないという事だ。つまりこの戦いは、必ず勝てる。新技を使えば相手は対処できないはずだ。

　相手は無言でオリジンに変身する。無言で変身するのも悪くないな。だが、アーマーごと一気に消し飛ばせば、相手は何も出来ずに敗北するだろう。

　「全属性解放オールアトリビュート・オープン」

　相手も同じような動きをする。このまま打ち合えば互いに相殺するだろう。しかし、俺には知能がある。ここで新しい魔法を生み出す。

　「合成ユナイト」

　七つあった光の玉が、ひとつに合体していく。

　敵は既に魔法を放出している。だが、こっちが勝つ。

　「全属性合成魔法・根源ゼロ！」

　虹色の玉が飛んでいく。虹色の玉は飛んできた七つの玉を吸収しさらに大きくなる。

　相手は逃げようとするが、既に先読みして鎖で縛っておいた。逃げられなくなり、自身の前に大量の数のシールドを創成、複製し、守りを固め始めた。

　「無駄だ！」

　俺の魔法はシールドを何も無かったかのように、通過していく。正確には貫通している。何百とあったシールドを全て貫通し、アーマーに到達した。悪あがきをして、いろいろな魔法をぶつけるが、まるで効果がない。そのまま玉は体に入り、体内で止まる。

　「あばよ！」

　そのまま敵は体内から光が溢れ、その光に包まれ消えた。

　これでみんなが帰ってこれるだろうか。俺はみんなの帰還を待つのだった。