異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第5章 竜王の暮らし篇

第58話 特別な関係

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 ミラとの一日を満喫した後、数日が経過した。クリアと俺が休みの日になった。例のごとく、クリアにも聞く。

 「クリアなんでも言ってくれ、出来ることならなんでもやるぞ?」

 「う、うん」

 何やら元気がないように見える。

 「どうした?体調が悪いのか?」

 「大丈夫!なんでもないよ!リュートと二人きりかぁ…せっかくだから街に出かけようか」

 「了解」

 クリアと街に出かける。服を買ったり、美味しいものを食べたりして過ごす。しばらく経過したが、やはりクリアはあまり元気がない。

 「やっぱりクリア様子が変だ。どうしたんだ」

 「えっ。そ、そんなことないよ!元気だよ。次の所に行こうよ」

 その後もしばらく二人で時間を潰すが、クリアは元気がないままだ。クリアは何かに悩んでいるようだ。相談に乗った方がいいのだろうか。下手に踏み込んで、余計な傷を付けたくはない。だが、クリアにはやはり笑顔になって貰いたい。

 「クリア、こっち来て」

 人通りが少ない落ち着ける広場に着く。

 「座って」 

 「う、うん」

 切り込もう。

 「クリア、俺に相談してくれないか?何かに悩んでいるんだろう?」

 「で、でも…リュートに嫌われたくない」

 「俺はお前を嫌ったりしない!いつまでもずっと一緒にいてやる!」

 俺にしては珍しく、熱くなる。

 「わかったリュートに話す」

 黙ってクリアの話に耳を傾ける。 

 「わ、私…リュートと特別な関係になりたいの!」

 「リュートが周りに女の子を増やすのは別に何とも思わない。だけど、私が飽きられて捨てられないかと不安になっちゃう時があるの。リュートの事は信じているけど私、怖いの」

 「私はリュートのことを愛してるの!私のことをリュートは愛してくれるの?私と結婚してくれないの?」

 クリアは泣きそうな顔で言う。

 「言っちゃった…」

 もう元の関係には戻れない。パーティメンバーと秘書、その一線を越えようとしている。 

 「はっはっは!そんな事で悩んでたのか?」

 「どうして笑うの?」

 「だって…」

 「だって?」

 「もう俺の嫁みたいなものじゃん?」

 「よ、嫁?私が?」

 だってもう肉体関係持ってるし、一緒の家に住んでるし、もう結婚してるようなものだ。これまでもこれからもクリアやみんなを手放すつもりは毛頭ない。

 「俺は最初からそのつもりだったんだけど、クリアには言わないと伝わらないようだから言うよ」

 「クリアはもう俺の大切な嫁だ。誰にも渡さないし、お前を手放したりしない」

 「あぁリュート、リュートぉ!」

 泣いて抱きついてくる。

 「嬉しい。嬉しいよ」

 この世界の結婚定義はガバガバだ。手続きとかもないし、決まりもない。だから俺はすっかり結婚した気でいたのだが、クリアたちには言わなければ伝わらないことのようだ。

 「これまでもこれからもクリアは俺の嫁だ」

 「うん。ありがとうリュート。でもリュート?サレナたちにも言ってあげた方がいいよ?」

 「えっ?」

 「だって私たち一度もリュートと結婚してるなんて思ったことないもの」

 えー。全員?伝えることって大事だ。

 「結婚するならいっぱいしないとね?リュートに箔が付くし」

 この世界では一夫多妻は普通のようだ。うーん。パーティメンバーに入れて肉体関係を持った時点で、俺の嫁になったようなものだと思うんだが。

 「じゃあリュート?全員分の指輪買ってね?」 

 「わかった。買おう」

 こうして、一夜にして4人の妻が出来た。
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