異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第5章 竜王の暮らし篇

第60話 王の招集

　王城の中には王が居る王の間がある。そこには、白髪で王冠を被った50代位のおじさんがいる。ムガ王である。ムガ王は、持ち前の温厚な性格と知識の豊富さで、国民からの信頼も厚い。

　そんな王の間では、ムガ王とマギが話している。　

　「ほう。その者の名はリュートと言うのか」

　俺の活躍はついに王にまで届いていた。まぁ500人分の魔力を提供し、更には兵士を格段に強くしたやつなんてあっという間に有名になるだろう。

　「彼には是非ともこのまま、我々に協力して欲しいものだ」

　「はい」

　すると、一人の兵が慌てた様子で入ってくる。

　「大変です王！」

　「どうした？」

　「南のメルーグが我が国に進軍を開始しました！」

　「なんだと？」

　南のメルーグ帝国がムガ王国に進軍を開始した。メルーグ帝国はほかの全ての国を潰して、この大陸を制圧することが目的だ。圧倒的な軍事力を誇り、兵士の数はムガ王国の数十倍にも及ぶ。

　「どうやら彼らは本気でこの国を落とすつもりらしいです」

　「くっ。話し合いには応じないだろうな。やむを得ん。マギ！兵士を南に配置し、進軍に備えろ！」

　「了解しました！」

　「新型兵器も配備するんだ。この国の民に一人も犠牲は出させん！」

　「手配します」

　「しかしこのままでは数で押し切られてしまう。仕方ない…。今、来た兵士よ！」

　「はっ！」

　「リュートをここに呼んできてくれ」

　「了解しました！」

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　今日も王城で仕事だ。今日は珍しく、五人全員が一緒に城に呼ばれている。
　王城に着いたが、やけに騒がしい。

　「リュート殿！」

　一人の兵士に声をかけられる。

　「今すぐ王に会いに行ってください。緊急事態です」

　初めての王からの招集にただ事ではない雰囲気を感じ取る。すぐに王の間に向かう。

　「来たかリュートよ。待っていた。君の活躍は私の耳にも届いている。」

　「あなたがムガ王か。初めまして」

　「ちょっ！リュート！相手は王様だよ！」

　「そうですわ」

　「もう少し態度をだな…」

　ルージュ、サレナ、ミラが慌てたように言う。

　「はっはっは！構わない。リュートには感謝しているからな」

　「それで？王が俺たちに一体何の様だ？」

　「実はな…」

　先程の一部始終を聞く。

　「そこで、君たちに頼みがある。君たちは5人だけで我が国の兵力を超える力を持っているだろう。どうかその力を我が国に貸してほしい。このままの兵では恐らくメルーグ帝国には勝てない。数が違いすぎるからだ」

　「何をすればいい？」

　「我が兵たちの指揮をしてはくれないだろうか。君たちは、兵たちの訓練もしてくれたんだろう？君たちの力を借りればこの国を守れるかもしれない。どうか力を貸して欲しい」

　王が頭を下げる。前代未聞の行動に周りの兵たちやサレナたちまで驚く。

　「王が頭を下げるものじゃない。この国は気に入ってるし、破壊されるのは癪だ。俺たちが力を貸そう」

　「ありがとう恩に着る」

　「みんなもいいよな？」

　「もちろんだよ！」

　「私たちの大切な住処もありますし」

　「ここの人たちにはお世話になってきた」

　「私も！戦争を仕掛けるなんて、許せません！」

　こうして、俺たちとムガ王国連合軍対メルーグ帝国軍の戦争が始まろうとしていた。