異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第12章 反撃の狼煙篇

第143話 終戦

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 澱んでいた空が晴れていく。

 『覚醒状態を解除します』

 脳内アナウンスが響くと同時に、肉体変化が元に戻っていく。しばらく経ち、覚醒前の肉体に戻った。

 『戦闘が終了したため、経験値が付与されます』

 『未取得だった経験値がまとめて付与されました』

 ドクン!何だかいつもより強くなれた気がする。どうやら未来で戦った分の経験値も同時に入って来たようだ。

 ステータスを確認してみよう。

 名前 リュート・ヤガミ
 種族 真竜神・神越種-超過(ジェニュインドラゴンディエティ・ディバインクロスオーバー)
 rank 894
 称号 怒り猛る竜神

 神号 五つの災厄[心] 感情覚醒者[怒] 神々の標的
 
 技能 次元操作 真眼 神越 勇者 神域 飛翔 覚醒

 rankも800を超え、スキルに覚醒が増えている。これからは任意のタイミングで、覚醒が使えるようだ。 

 「おーい!リュート!」

 クリアの声がしたので後ろに振り返ると、どうやら感情的な色彩のメンバーとアイティオがこちらに向かって来ていた。

 「魔王を倒してしまうなんて、流石はリュート様ですわ」

 「あたしの出番は無かったみたいだね」

 サレナとアイティオも無事だ。本当に良かった。

 「ありがとなサレナ」

 嬉しくなってサレナに抱きついてしまった。

 「リュ、リュート様!いけませんわ!」

 「サレナずるい!」

 「いいなぁ…」

 「そうですよ!私たちも頑張りましたよ!」

 クリア、ローザ、ルージュの三人はサレナを羨ましがっていた。

 「何かあったのか?リュート」

 ミラは俺に何かがあったことに気がついたみたいだ。

 「いや、なんでもないんだ」

 「隠し事は止めてくれ。リュートに何かあったのはわかってる。どうか、話してくれないか?」

 「わかった。みんなも聞いてくれ」

 俺は魔王との戦いで何があったのか、みんなに話した。

 「私が…死んだ…」

 「あたしもか…」

 「あぁ、そうだ。だが、最悪の未来は俺が変えた。みんなは安心してくれ」

 すると、クリアが小さい体で俺を抱きしめる。

 「リュートは一人で戦ってたんだね…何も出来なくてごめんね」

 クリアは可愛いなぁ!体は小さいままだが、癒されるのは間違いない。

 「大丈夫さ。みんなが居たから今の俺がいるんだ。気にすることは無いよ」

 こうして、魔族と人間の生存をかけた大きな戦いは、人間側の大勝利で幕を閉じた。
 生き残った魔族は各々の考えで動いた。ヌードと共に人間との共存を選ぶもの。最後まで抵抗し、暴れに暴れ人間に征伐されるもの。どちらにも付かず、草葉の陰に隠れるもの。様々な魔族が居た。

 暴力的な考え方の魔王デイヴィスは消えた。これからは人間と魔族は協力して生きていくことが出来るだろう。

 アル大陸につかの間の平和が訪れたのだった。
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