異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第13章 天竜の試練篇

第150話 足りない体

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 コットンを仲間に入れて喜んでいると、

『破棄されたスキルが経験値に変換されました』

 脳内アナウンスが響いた。どうやら経験値が増えたようだ。

 『規定のランクを突破しました。進化が可能です。進化しますか?』

 『はい いいえ』

 来た!進化だ。これで私の目的も達成出来る。もちろん答えは決まっている。

 「はい」

 体が白い光に包まれ、体に快感が走る。やはり進化する感覚は気持ちいい。だが、昇華を体験した後だとだいぶ物足りない。
 ぐぐんと身長が伸びるのを感じる。これで子供の体とは、おさらばだ。

 『進化が完了しました』

 白い光が晴れていく。これでリュートに喜んでもらえる胸が!自らの胸に手を伸ばし揉む。

 ぺたぺた。

 ん?あれ?何かが足りない。自分の体に目をやる。

 ぺたーん。

 無い!胸が無い!この身長なのに下が見える!この身長の時に私は常に胸に巨大なものをぶら下げていたので、この視線の高さで下がかなり見えるのは不思議な感覚だった。
 改めて体を隅々まで確認する。身長はしっかりと大人サイズに成長した。角も少しだが大きくなって立派になった。手を後ろに回し、尻を触ってみる。こちらは前ほどではないが実っていたので少し安堵する。しかし、一番欲しかったが無く、私はぺったんこな体になってしまった。

 なんという事だ。私は完全に慢心していた。進化さえすれば、胸が育つと思っていたが、間違いだったようだ。
 最初に人型になった時から胸には巨大なものが実っていた。最初は重いし、揺れるし邪魔でしか無かったが、リュートが大きい胸が大好きでいっぱい愛してくれたのでその気持ちはどこかに消え去った。
 しかし、今の私はどうだ。自分でもびっくりするようなまな板っぷりだ。これではダメだ。こんな私でもリュートは愛してくれるのだろうが、私が納得出来ない。

 「待っててねリュート!私はリュート好みの体に成長してみせるから!」

 ぶるる!肌寒いと思ったら、私は進化後特有の脱衣状態で、裸のままだった。どうやら私はしばらくの時間、裸で体を触っていたようだ。周囲を確認するが、周囲にはコットンしかいない。人がいなくて良かった。
 一応予備の服は持って来ていたので、着替えることにした。

 「はぁ…体が軽いなぁ…」

 すかっ。すかっ。着替えてても胸に手がぶつからない。楽には楽なのだが、逆に違和感を感じる。
 
 さて、進化したのでステータスを確認してみる。

 名前 クリア
 種族 天竜人・神種-超過(ヘヴンリィドラゴニュート・ディバインオーバー)
 rank 121
 称号 慈愛の透女

 神号 感情覚醒者[愛]
 
 技能 重力操作 慈愛 成長超促進 身体超強化 透明化 変身 天力 

 新たな種族になり、ランクは上がったが、特にスキルは増えていない。その点を含めてやはり、まだ、足りない。ランクを上げて進化しなくては。

 「くぅーん」

 コットンが励ますように擦り寄ってくる。

 「ごめんね。心配かけて」

 「くぅーん。くぅん」

 コットンがどこかに案内しようとしている。コットンについて行く。案内した先は豪華な寝室だった。

 「休んどいた方がいいって?」

 「くぅん」

 「ありがとうコットン」

 この先にもボスが待っている。私たちは少し休んでいくことにした。
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