異世界を統べるのは人ではなく竜だ

第14章 侵略する帝国篇

第165話 人造魔人計画

　機械の箱の扉が開く。サレナとミラは地下研究所に足を踏み入れる。

　「どうやら着いたようですわ」

　「何が居るかわからない。慎重に進もう」

　地下研究所の内部は今までよりもかなり入り組んでいる。至る所に見たことのない機械や道具がある。恐らくこの研究所で開発されたものだろう。

　「この部屋、怪しいですわ」

　「調べてみよう」

　その部屋にはたくさんの資料が散乱していた。どうやらここは資料室のようだ。二人はいくつかの資料を手に取る。

　「どれどれ…兵器生産録･3、スナイパーライフル…これは！私を狙っていた兵器のことが載っていますわ！」

　「こっちは…兵器生産録･1、ミサイル…これはまさか！ムガ王国を攻撃した兵器か！」

　そこには様々な兵器の開発記録が並んでいた。色々と調べたが、どうやらこの部屋にはこれ以上の情報は無いようだ。

　「これはかなりまずいですわ…」

　「確かに。この数の兵器が作られようとしていると考えるとゾッとする」

　「しかし、その研究者は何故ルージュ様を？」

　「わからない。ルージュが人間じゃないと言っていたが…」

　「考えていても仕方ありませんわ！先に進みましょう！」

　「そうだな」

　二人は更に先に進む。こんなに広い研究所なのに、まるで人影がない。

　「不気味ですわ」

　「いつ敵が来るかわからない。油断は禁物だ」

　二人は一際大きな部屋にたどり着いた。

　「こ、これは！」

　「一体どうなっている！」

　その部屋には巨大なモニターがあり、国中の様々な場所がモニターに映っていた。モニターの前には様々なボタンがある、不思議な形の機械が設置してある。

　「ええい！一か八か！」

　ミラはボタンを押してみる。画面が映像から文字に切り替わる。

　「人造魔人計画？」

　そこに映った文字を読み進める。

　『人造魔人計画:発案者 ヴォイド･フロン。この計画は、この国最大の兵器をつくりだすものだ。人間とは比べ物にならない力を持つ魔人。それを人工的に作り出し、我が国の兵士にするというものだ。昔から構想はあったが、技術的な面で様々な壁があった。かつて、私が一番最初に作り出した試作品第一号は失敗に終わった。私が考えた方法は産まれる前から胎内の子供に大量の魔力を与え続け、更に母親に魔族の肉を食べさせ続けるというものだ。私の妻は快く実験を受け入れてくれた。こうして生まさせた第一号だが、何故か生まれながらにして持っていた魔力は通常の人間にも劣る、失敗作だった。だから、私は自分の娘でもある第一号を見捨てた。私の思い通りにならなかった娘など不要である。そして、この研究は白紙になると思われた。しかし、数十年の時が経ち遂に希望が見えた。マガト･ソーマが現れたのだ。彼は、我々の知らない技術を提供してくれた。この技術を使えば、私が犯した唯一の失敗作を成功に変えられるかもしれない。だから、待って居るがいい、我が娘ルージュ』

　「そんな…」

　「こんなことが…」

　二人は衝撃の事実を知ったのだった。