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第14章 侵略する帝国篇
第166話 完全なる者
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サレナとミラの二人は、研究所の最奥へたどり着いた。そこには鎖に繋がれたルージュの姿があった。
「ルージュ様!」
「ルージュ!」
ルージュは二人の呼びかけには答えない。眠らされているのだろうか。二人がルージュを解放しようと近づくと、背後から声がした。
「ようこそ、感情的な色彩のお二人。私の研究所へ」
そこには、ソーマの姿があった。
「貴方がマガト・ソーマですか?」
「ルージュを返してもらうぞ!」
「まぁそう、焦らないで下さい。既に実験は終了しています」
「なん…だと…?」
「彼女は新たな種族としてこの地に再臨するのですよ」
「ふざけるな!ルージュを元に戻せ!」
ミラが怒る。ソーマ目掛けて、弓を引き絞る。
「よくもルージュを!」
ミラが放った矢がソーマを貫く。
「あぁ、無駄ですよ」
ずる!ずるずる!ソーマの体が歪む。
「一体どうなってますの?」
「これは一体?」
ソーマの体が抜け殻のように脱げ、中から歪みの塊のようなものが現れた。
「私は、完全なるもの。今までもこの体も所詮は仮の姿。私の真の名はヴォイド・フロン!」
「ヴォイドって…」
「まさか!」
「あぁそうだ!ルージュの製造者にして父親。人類の到達点と言ってもいい」
「そんな姿、ただの化け物ですわ」
「お前はもう人間でもルージュの親でもない!」
「これ以上の悪行はさせませんわ!」
「まだ状況が理解出来ていないのか?理解力が乏しいな…。もう実験は終了したと言っただろう?これから私は新たな身体を得て、さらなる完全なものとなるのだ」
ヴォイドの思念が、ルージュの身体にまとわりつく。
「まさか!」
「あぁそうだ!新たな器になるのはルージュ自身だ。私はルージュと融合する事で完全な存在となる。血が繋がったルージュは馴染み、良い器になるだろう」
「させませんわ!」
サレナが剣を抜き飛びかかる。
「遅い!」
ピカッ!眩い光が部屋中を包む。ヴォイドは閃光弾のようなものを使った。
「み、見えませんわ」
「くそ!ルージュ!」
光が収まり、二人は目を開ける。
「んん!これが新たな器か…力がみなぎって来る!」
そこには鎖が外れたルージュが立っていた。
「そんな…」
「女の体というのは初めてだが、悪くない。これから様々な機能を確認しなくては」
ヴォイドは新たな自分の身体を確かめるようにあらゆる箇所を調べる。
「ルージュから、出ていけ!」
ミラは再び、弓を構える。
「あぁ!先生!止めてください!どうして私を撃つんですか?」
「!?」
ヴォイドはルージュの記憶を一部読み取ることが出来た。つまり、ヴォイドは完全にルージュに成りすますことが可能なのである。ルージュの見た目と声をしたヴォイドに、ミラは弓を構えるのを止めた。
「無理だ…私には撃てない…」
ミラは膝から崩れ落ちる。
「じゃあ二人まとめて消えて下さいね?先生?サレナさん?」
サレナとミラの前に巨大な魔法陣が出現する。
「ミラ様!」
「済まない…リュート…ルージュ…」
そして、研究所は炎に包まれた。
「ルージュ様!」
「ルージュ!」
ルージュは二人の呼びかけには答えない。眠らされているのだろうか。二人がルージュを解放しようと近づくと、背後から声がした。
「ようこそ、感情的な色彩のお二人。私の研究所へ」
そこには、ソーマの姿があった。
「貴方がマガト・ソーマですか?」
「ルージュを返してもらうぞ!」
「まぁそう、焦らないで下さい。既に実験は終了しています」
「なん…だと…?」
「彼女は新たな種族としてこの地に再臨するのですよ」
「ふざけるな!ルージュを元に戻せ!」
ミラが怒る。ソーマ目掛けて、弓を引き絞る。
「よくもルージュを!」
ミラが放った矢がソーマを貫く。
「あぁ、無駄ですよ」
ずる!ずるずる!ソーマの体が歪む。
「一体どうなってますの?」
「これは一体?」
ソーマの体が抜け殻のように脱げ、中から歪みの塊のようなものが現れた。
「私は、完全なるもの。今までもこの体も所詮は仮の姿。私の真の名はヴォイド・フロン!」
「ヴォイドって…」
「まさか!」
「あぁそうだ!ルージュの製造者にして父親。人類の到達点と言ってもいい」
「そんな姿、ただの化け物ですわ」
「お前はもう人間でもルージュの親でもない!」
「これ以上の悪行はさせませんわ!」
「まだ状況が理解出来ていないのか?理解力が乏しいな…。もう実験は終了したと言っただろう?これから私は新たな身体を得て、さらなる完全なものとなるのだ」
ヴォイドの思念が、ルージュの身体にまとわりつく。
「まさか!」
「あぁそうだ!新たな器になるのはルージュ自身だ。私はルージュと融合する事で完全な存在となる。血が繋がったルージュは馴染み、良い器になるだろう」
「させませんわ!」
サレナが剣を抜き飛びかかる。
「遅い!」
ピカッ!眩い光が部屋中を包む。ヴォイドは閃光弾のようなものを使った。
「み、見えませんわ」
「くそ!ルージュ!」
光が収まり、二人は目を開ける。
「んん!これが新たな器か…力がみなぎって来る!」
そこには鎖が外れたルージュが立っていた。
「そんな…」
「女の体というのは初めてだが、悪くない。これから様々な機能を確認しなくては」
ヴォイドは新たな自分の身体を確かめるようにあらゆる箇所を調べる。
「ルージュから、出ていけ!」
ミラは再び、弓を構える。
「あぁ!先生!止めてください!どうして私を撃つんですか?」
「!?」
ヴォイドはルージュの記憶を一部読み取ることが出来た。つまり、ヴォイドは完全にルージュに成りすますことが可能なのである。ルージュの見た目と声をしたヴォイドに、ミラは弓を構えるのを止めた。
「無理だ…私には撃てない…」
ミラは膝から崩れ落ちる。
「じゃあ二人まとめて消えて下さいね?先生?サレナさん?」
サレナとミラの前に巨大な魔法陣が出現する。
「ミラ様!」
「済まない…リュート…ルージュ…」
そして、研究所は炎に包まれた。
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