異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta

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第18章 竜神の日常篇

第215話 傲慢な天狼

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 「どうだ、我の力は!」

 コットンは得意げに腰に手を当てて胸を張る。色々と丸見えだ。

 「凄いよコットン!」

 クリアがコットンに抱きつき、頭を撫でる。

 「ご主人様!」

 コットンは喜びで尻尾をブンブンと揺らす。

 「確かに、あの俊敏さは中々のものだな」

 「私も負けないようにしなくてはなりませんわ」

 これで事件の元凶も倒れた事だ。後は帰宅するだけだろう。

 「よし、片付いたし帰ろうか」

 全員で洞窟の外へ向かう。だが、帰る前に俺には一つ気がかりなことがあった。

 「…」

 「どうしたのだ下郎」

 俺の呼び方はもうこの際どうでも良いとして、コットンには言いたいことがある。

 「おい?お前いつまでその姿で居るつもりだ?」

 コットンはスケルトンとの戦闘で人間化した後ずっとそのままで居た。

 「我はこの姿が気に入った。当分はこの姿のままで居るぞ」

 まぁそれも構わない。それならば、尚更言わねばならぬ事がある。

 「服を着ろ!」

 「断る!」

 コットンはずっと裸だ。こいつはこのまま一糸まとわぬ姿のまま居続けるつもりなのだろうか。

 「クリア。頼めるか」

 「了解。コットン?その姿で過ごしたいなら服を着なきゃダメだよ」

 「ご主人様。しかし、我は布など纏いたくはない…」

 「じゃあ、これは?」

 ローザが普段着ていたフード付きローブをコットンに着せる。

 「ふむ。まぁ悪くは無い。これならば許す」

 どうやら、お気に召してくれたみたいだ。

 「ローザ。助かったよ」

 「まぁ私もコットンの気持ちが分からないでもないからね。裸の方が心地いいと言えば心地いいし」

 うーむ…その発言には色々と問題があるのでは…?まぁいいか。

 「ローザには新しいローブを創るよ」

 「ありがとう、リュート」

 何とか服?を着てくれたコットンを引き連れつつ、帰宅の途に着く。竜形態の背中はとても揺れるので、コットンに何度も怒られた。報酬等は後日に俺の家に送られてくるらしいので真っ直ぐムガ王国を目指した。

 ムガ王国の門で、門番に行きの時より一人増えていることについて聞かれた。

 「そちらの方は一体?」

 「我を誰と心得る?我は…」

 「ちょっと黙っててくれ?あぁ…コイツは…」

 いきなりペットが人間になりましたと言っても驚かれるので、無難な説明をしてこの場を切り抜ける。

 「ふぅ。帰宅っと…」

 俺はいつものソファで横になる。

 「ふん。我の住処の中なら貴様も文句は言うまい!」

 バサッ!そういうと、コットンは帰って早々ローブ脱ぎ捨て真っ裸になる。どうやら家の中ではこの姿で過ごすらしい。いやいや、頼むから外では脱がないでくれよ?と、内心でそう思うのであった。

 こうして、傲慢な狼が我が家で闊歩することになったのだった。
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